IP RIP ~チザイの雑談~

知的財産(Intellectual Property)の「かゆいところに手が届く(Reach the Itchy Place)」お話です。

弁理士「繁忙期における生活スタイル」[らるご~]

特許事務所勤務のらるご~です。年明けから続いていた繁忙期が先日ようやく終わり、ここ数日は気が抜けたのかボンヤリとしています。

今年の繁忙期では、1月下旬から仕事の依頼が殺到し(少し盛っています)、それらを3月中旬まで淡々と捌いておりました。思えば1月下旬時点では、その仕事量に呆然としておりましたが、今は、繁忙期に依頼のあった案件すべてを納期通りにお客さんに納められたので安堵しております。今回は、自分の備忘録として、どのような仕事のやり方(生活スタイル)で今年の繁忙期を乗り切ったかを書いておくことにしました。

 

◆自分の状況

膨大な仕事量に対して膨大な時間を投入できれば良いのですが、私の場合、日々仕事の時間だけでなく育児の時間(主に、保育園へのお迎え&帰宅してから子供を寝かしつけるまでの時間)も捻出する必要がありました。そのため、仕事の時間量を増量して膨大な仕事量に対処するのは難しい状況でした。したがって、単位時間あたりの仕事効率を上げて対処することにしました。具体的に行った対処法としては、以下2点です。

電動自転車で3人乗りするお母さんのイラスト

◆具体的な対処法1:在宅勤務

現在の私の職場は、出社or在宅を自分の裁量で選択できる職場であったため、繁忙期の間は、基本的に出社の必要がない限り在宅で仕事をすることに決めました。理由は、外界からの刺激を極力減らして自分の仕事にひたすら没頭するためです。また、在宅により通勤時間が無くなることで、可処分時間が増やせることも利点でした。在宅環境としては、自宅に仕事専用の部屋を確保していますが、そこに引きこもり続けることはせず、定期的に部屋から出ては掃除等の別作業をして、仕事の合間に気分転換を挟むようにしていました。長時間座って作業していると、頭が凝り固まって仕事効率が落ちると感覚的に思っているからです。

 

◆具体的な対処法2:規則正しい生活

仕事を始める時間、昼食を食べる時間は毎日同じにして、1日のリズムを一定にするよう心掛けました。また、処理すべき仕事量は膨大でしたが、基本的に次の日に疲れを残すような働き方はせず、睡眠時間もキッチリ確保していました。私の場合、睡眠不足になると、単位時間当たりの仕事効率が顕著に低下することから、この睡眠時間の確保については、特に気を付けていました。逆に言えば、睡眠時間を確保するために仕事時間の延長は許さないようにしていたことから、自然と仕事効率を上げることにもつながっていたと思います。また、睡眠不足だと子供の世話をしている際にイライラしがちになり、イライラによる精神的な疲労が仕事にまで尾を引く経験があったことからも、睡眠時間確保はマストでした。

 

と、上記2点が繁忙期の対処法だったのですが、仰々しく書いてみたものの、振り返ってみれば、割とありがちな対処法でしたね。ただ私の場合は、上記2点の対処法により繁忙期を乗り切ることができました。まぁ「具体的な対処法2」の「規則正しい生活」を守れている時点で、私の繁忙期などその程度であったと推し量ることもできますね。

 

以上、私の「繁忙期における生活スタイル」でした。来年の繁忙期はどうなることやらですが、来年のことを言えば鬼が笑うということで、来年のことは来年心配することにします。ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

 

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弁理士「委員会活動にはじめて参加しました」【マータ】

みなさま、こんにちは。

f:id:discussiong1:20211012012531p:plainhttps://twitter.com/b8L18UnY7nPd5NC

 

だいぶ暖かくなってきましたね。

先週末は、久しぶりにTOEICの試験を受けており、記事の更新が遅くなってしまいました(^o^;)

 

今日は弁理士の『委員会』に関するお話をしたいと思います。

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弁理士会には、様々な委員会があります。

例えば、弁理士会の「本会」の委員会としては、「特許委員会」「意匠委員会」「商標委員会」「著作権委員会」「バイオ・ライフサイエンス委員会」などなど。

https://www.jpaa.or.jp/cms/wp-content/uploads/2021/05/2021foldcatalog.pdf

 

また、弁理士会の支部、例えば弁理士会東海会の委員会としては、「知的財産権制度推進委員会」「知的財産支援委員会」「広報企画委員会」などなど。(一部しか挙げれず、すみません)

https://www.jpaa-tokai.jp/aboutUs/member/index.html

 

委員会の活動は、基本的に会員のボランティアにより成り立っており、その目的は社会貢献であったり、会員の自己啓発、会務を通じて得られた知見のクライアントへの提供など多岐にわたります。

 

私は、委員会というものに長年興味はあったのですが、どうやって参加するのかイマイチ分かっていませんでした。また、企業勤めということもあり、月1回の委員会活動に伴う東京出張の許可を会社に取るのも何となく気が引けていました。

 

そんなこんなで、委員会活動は何となく諦めていましたが、昨年、MIさんのお力添えもあり、とある委員会(以下、〇〇委員会)に参加できることになりました。また、近年はコロナ禍ということもあり、委員会活動が全てオンラインになったので出張の必要もなくなりました。

 

ちなみに、委員会のメンバーになるための選考方法には、公募もありますが、会派(〇〇弁理士クラブ、〇〇会・・・)からの推薦の影響も大きいようです。私も会派から推薦をして頂きました。会派に所属していると、多くの情報を得られたり人脈が広がることに加えて、委員会への推薦が受けられるというメリットもありそうですね!!   

 

今回の記事では、私の人生初の委員会活動を振り返ってみたいと思います(2021年4月~2022年3月)。結論、参加してよかった!!と感じています。

 

今回私が参加した委員会では、委員会内で小グループ(部会)に分かれ、月1回ミーティングを行い、知的財産に関する各テーマについて調査・研究を行いました。そして、その結果を報告書としてまとめ、最終月の報告会で発表するというものでした。ちなみにミーティングは、上記で述べた通り全てオンラインでした。

 

以下が1年間の流れです。

 

2021年4月

・4月初旬、応募していた委員会に参加できることが決定・通知される。私が参加した委員会は、全メンバーの数が40名弱でした。

・4月中旬、第1回目のミーティング(当委員会に関する説明など)。

・4月下旬、希望する『部会』に関するアンケートが実施される(委員会は、さらに細分化された部会というグループに分かれていました。各部会はそれぞれ異なったテーマで調査・研究を行います。一つの部会は5~6名ずつ)。

 

2021年5月

・5月中旬、部会メンバーが決定・通知され、名簿が配られる。今回、私は第一希望の部会に入ることができました。

・5月下旬、「〇〇委員会全体のミーティング」と「部会ごとのミーティング」がありました。その後、オンライン懇親会

以下、毎月、委員会の全体ミーティングと部会ミーティングが同日にありました。

 

2021年6月、7月

・月1回ずつミーティング。7月のミーティングで、我々の部会の調査テーマ及び各自の担当部分が決まる。

 

2021年8月―12月

・月1回ずつミーティング。各自の調査の進捗状況を毎月報告。報告書の全体的な構成が決まる。

 

2022年1月

・各自、報告書の担当部分のドラフトを作成。

・1月中旬のミーティング前に、上記ドラフトを提出。

・部会のとりまとめの方が全員分のドラフトをまとめ、一つの報告書として編集する。

・発表会に向けたパワポ資料の作成方針についても打ち合わせる。各自発表会までに自分の担当部分のパワポ資料を作成。

 

2022年2月、3月

・2月、3月の委員会は、各部会からの口頭発表

・3月の発表会の終了後、オンライン懇親会

 

まとめ

 今回、初めて委員会に参加しましたが、参加して本当によかったと感じました。自分の所属している組織の外の方と一緒に、特定のテーマについて調査・研究を行い、成果としてまとめるという経験はとても新鮮で貴重でした。また、外部の弁理士さんと交流することで、色々な情報を得ることができますし、大変刺激になりました。また、委員会、部会ともに雰囲気がすごくよく、懇親会もとても楽しかったです。2021年度の委員会は終了し、部会メンバーはこれにて解散となりますが、ミーティングなどで使用した交流ツール(Slackなど)は生きていますので、今後もご縁があればお付き合いをさせて頂きたいと考えています。委員会活動についても、今後も積極的に参加していきたいと思いました。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!!

 

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著作『ニュース解説のYoutube配信と著作権』[リッキー]

最近はニュースをテレビで見ることはほとんどなくなりましたが、Youtubeにもニュース番組がアップロードされていますね。テレビ局が放送するニュースをYoutubeで見ることもないのですが、テレビ局でないYoutuberがニュースを解説しているのを見ます。主に金融系なのですが。当然、著作権を侵害しないようにニュース解説をしているのですが、具体的に見ていこうと思います。

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ニュース



ニュース記事に著作物性はあるのか?

 

事実と共に、記者の知見や経験が活かされた文章が記載されているであろうから、著作物性があると思います。ただし、文章が極端に短い場合は、「思想又は感情を創作的に表現したもの」に該当せず、著作物に該当しなくなります。例外としては、俳句、短歌でしょう。俳句であれば約17文字、短歌であれば約31文字に短くまとめられますが、まさに「思想又は感情を創作的に表現したもの」ばかりで、「思想又は感情を創作的に表現したもの」でないほうが珍しいかもしれません。しかし、ニュースを31文字にまとめたら、ほぼ著作物に該当しないでしょう。なぜならば、事実を直接述べた部分については、誰かに独占権を与えてしまうと社会活動に支障をきたしてしまいますので、そもそも著作物に該当しないこととされています。事実を述べるだけで31文字ぐらいあっという間に使ってしまうでしょう。

 

それでは、本題に進みまして、Youtuberがインターネット上のニュース記事を引用してニュースを解説している場面を考えましょう。

 

多くの場合は、ニュース記事を参照するものの、すべてを読み上げることはなく、一部だけ参照してYoutuberが個人の見解を述べるものと思います。

 

この行為は、著作物であるニュース記事をYoutubeで配信(公衆送信)して、ニュース記事を読み上げて(口述)いますので、公衆送信権、口述権を侵害していると取れます。著作権を侵害しているのでしょうか?

著作権法では、引用する場合、著作権の権利行使が制限されます。つまり、著作権侵害になりません。ニュース記事は、公表された著作物ですから、引用して利用することのできる著作物です。報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならないのですが、「正当な範囲」の解釈が難しいので、「正当な範囲」か否かはグレーかもしれません。もちろん、引用として認められれば、グレーでも何でもありません。白です。また、ニュース記事に動画が添付されていて、Youtubeでの配信においてその動画を再生するとどうでしょうか?私は「正当な範囲」に入らないと思います。ニュース記事を棒読みするのに等しい行為であり、他人の著作物にタダ乗りしており、権利制限とする趣旨に合わないからです。

 

さて、Youtuberが元ネタとしているニュース記事の中には、映像や写真もありまして、ニュース記事の制作者以外の著作権のある映像や写真が紛れ込んでいることも多々あると思いますが、これらの映像や写真の著作権についてはどうなると思いますか?

 

時事の事件の報道をする場合には、報道の目的上正当な範囲において、複製すること、当該事件の報道に伴って利用することができます。「報道の目的上正当な範囲」とは何ぞやと、解釈の難しいところもあるのですが、ほぼ、ニュース記事であれば「報道の目的上正当な範囲」と認められると思います。

 

 

まとめ

Youtuberがニュースを解説している場面を想定して、著作権がどうかかわるか、検討してみました。今回に関連する条文の中に解釈の幅がある文言があり、判断が分かれることもあると思います。ちなみに、いつも著作権法を遵守しているかチェックしながら、Youtube配信を見ているわけではありません。

 

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リッキー

 

商標「メタバース関連の商標について」【MI】

こんにちは。MIです。

先月娘が熱を出したのに続き、私も体調を崩してしまいました。。。熱はすぐに下がったんですが、まだ咳が出ます。これはコロナ罹りましたね。。。とは言え、この業界は在宅勤務がし易いのがウリな訳で、繁忙期を乗り切るべく自宅でガンバっております。

さて、今回は、先日マータさんが以下の記事で紹介してくれた「Googleアラート」で通知された「メタバース関連の商標」について、調べてみたことを書いてみたいと思います。

discussiong1.hatenablog.com

 

 

きっかけになった記事

きっかけになった記事は以下のものです。

手羽先チェーン、メタバース進出へ商標出願…「1年以内にあらゆるブランドが出願するだろう」と専門家は予測 | Business Insider Japan

先日、Googleアラートの登録ワード「商標」で通知されました。

「あらゆるブランドが出願する」?!、、、ということは、ウチのお客さんからもいきなり出願依頼がくるかも。。。別件の打合せ時に話題になって、何も話せないのもマズいな。。。いうことで、調べてみました。

 

指定商品・役務はどうする?

商品・役務名検索より

まず気になったのが「指定商品・役務はどうする?」ということです。

そこで、J-Platpatの「商品・役務名検索」でキーワード「仮想現実」を検索したところ19件ヒットしました。主なものは以下のとおりです。

35類(35B01)

  • 仮想現実システムを用いた商品の販売に関する情報の提供;商願2003-079036

41類(41K01 41Z99)

  • オンラインによる仮想現実ゲームの提供;TM5 IDリスト
  • ウェブサイト上における仮想現実(バーチャルリアリティ)空間で遊ぶゲームの提供;審査において採用された商品・役務名(日本語又は英語表記のみ)

42類

  • 仮想現実用ソフトウエアの設計及び開発(42P02);TM5 IDリスト、WIPO Madrid Goods and Services Manager
  • 仮想現実用ソフトウエアの提供(42X11);商願2016-100224

 

商標検索「称呼(類似検索)」より

何かちょっと違うな、、、というのも上記の記事にも記載があった『バーチャルな飲食物など 「ダウンロード可能なバーチャルグッズ」』等がカバーできていないような気がします。そこで、続いて「商標検索」の「称呼(類似検索)」でキーワード「メタバース」を検索したところ81件のヒットがありました。

気になった指定商品・役務は以下のとおりです。

 

○商願2022-011264「メタバースフォーラム\Metaverse Forum

(出願人:株式会社パソナグループ)

41類

  • オンラインによるアバター・キャラクター画像(静止画・動画を含む。)の提供
  • インターネットによるアニメーション・ゲームなどのキャラクターに関する音声・画像の提供

42類

  • キャラクタデザイン及びグラフィックアートデザインの考案

 

○商願2022-002085「MetaverseEvent(標準文字)」

(出願人:株式会社ジクウ)

42類

  • インターネットなどの通信ネットワークの仮想空間に娯楽施設、運動施設、文化施設、教育施設、店舗、区役所などの各種施設を設け、それらの施設を通じて、商品の販売や役務の提供をすることができるコンピュータプログラムの設計・作成又は保守
  • 仮想現実(バーチャルリアリティー)システム・拡張現実(オーグメンテッドリアリティ)システム・複合現実(ミクストリアリティー)システム又は代替現実(サブスティチューショナルリアリティ)システム用のコンピュータプログラムの設計・作成又は保守,仮想現実用コンピュータソフトウエアの設計・作成又は保守
  • インターネットなどの通信ネットワークの仮想空間に娯楽施設、運動施設、文化施設、教育施設、店舗、区役所などの各種施設を設け、それらの施設を通じて、商品の販売や役務の提供をすることができるコンピュータシステムを構成する機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計

各社(各代理人)適切な表現に苦労している感じが伺えます。とりあえず、上記の出願の行く末をウォッチングして、クライアントからの相談が来る前に審査結果が出れば参考にしたいなと思います。

 

本日のまとめ

すいません。何か話が逸れてしまいました。繁忙期ということでご容赦ください。

おそらく、既存のブランドが「メタバース」関連の出願する場合は、既存の商標(またはそれに「メタバース」用のロゴや文字を追加したもの)で、新たに指定商品・役務を指定して出願することになると思います。既存の商標でもカバーできると判断される場合(元々41類や42類の指定がある場合)、改めて出願することもないかもしれません。

既存のブランドの最近の商標出願を調べるのも時間があればやってみたいです。

本日もお読みいただきありがとうございました!

 

P.S.

余談ですが、ベストライセンス社(以下、BL社)さんも出願されてました。商願2021-129679「METAVERSE(標準文字)」です。指定商品・役務に目新しいものはないように見えます。出願日は2021年の10月18日なので、フェイスブック社が社名を「Meta(メタ)」に変更すると発表した10月28日よりも前の出願です。さすがの嗅覚です。

商標「チキップダンサーズと商標戦略」[らるご~]

年明けから引き続き繁忙期が継続中。特許事務所勤務のらるご~です。

前回マータさんが「マルチマルチクレームの使用制限」について記事にされていましたね。実務に関わる大きな変更点、4月からは本当にご注意です。

discussiong1.hatenablog.com

 

さて、今回は繁忙期ということで、緩めの内容でお許しください。

読者の皆様の中には、お子様の要望に応えてNHKのEテレをご覧になる機会が多い方もいるかと思います。そんなEテレで、2021年10月よりアニメ「チキップダンサーズ」が始まりました。

www.youtube.com

チキップダンサーズは、年間200億円を売り上げるすみっこぐらしを擁するサンエックス株式会社の新キャラクターです。そして、このチキップダンサーズのアニメは、なんとサンエックス初の地上波アニメだそうです。これまで同社のキャラクターであるリラックマやすみっこぐらしは、長年のグッズ販売の後にアニメ化されていましたが、このチキップダンサーズは、グッズ販売とアニメ放送が同時期に開始されるという今までにない展開で売り出していくようです。

■

そんなチキップダンサーズ、商標はどうなっているのか気になり調べてみますと、今のところサンエックス自身による登録が1件だけありました(文字+主人公ほねチキンのイラストの結合商標)。キャラクタービジネスを仕掛けるにあたっては、膨大な数の商標を登録しているかと思いきや、少し意外でした。ちなみに、同社の先輩キャラであるリラックマすみっこぐらしに関する商標の登録件数は、それぞれ12件11件でした(文字商標、文字+イラストの結合商標のいずれも含まれる)。なお、これら商標は、一度に出願されたものではなく、断続的に出願されたものでした。

 

キャラクタービジネスにおける商標の出願戦略には詳しくないのですが、この動向によれば、商品の売り上げや商品展開を都度考慮しながら商標を追加していく戦略がセオリーなのかもしれません。確かに、当たるかどうか分からないキャラクターに最初から多額の投資はできないと考えれば、当然の戦略ですね。

 

また、少し毛色は異なりますが、ひこにゃんくまモン、バリィさん(ご当地キャラ、且つ、ゆるキャラグランプリ王者)についても調べてみたところ、それぞれ2件、4件、2件でいずれも文字商標(標準文字含む)でした。こちらは、前述したサンエックスの商標と違って、すべて図形(イラスト)を含まない文字のみの商標だったんですよね。このようなご当地キャラ文字商標のみ)と商業的な要素の強いサンエックスのキャラ(文字商標&結合商標)との違い…、色々と思惑があるのかもしれません。考察し甲斐のあるところですが、大した考察も提示できず申し訳ございません…。

 

以上、商標「チキップダンサーズと商標戦略」でした。あと少しで繁忙期も終わると信じて、もう一息頑張ります。ここまでお読みいただきありがとうございました!

特許「マルチマルチクレームにご注意!」【マータ】

みなさま、こんにちは。

f:id:discussiong1:20211012012531p:plainhttps://twitter.com/b8L18UnY7nPd5NC

 

今回は、特許に関わるお話になります。

今年の4月1日以降、マルチマルチクレームの使用が制限される見込みのようですね(現在、パブリックコメント募集中)。

 

www.jpo.go.jp

 

マルチ?? クレーム?? 新手の詐欺??

知財業界以外の人には聞きなれない言葉かも知れませんね。

 

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少し、事例を挙げながらお話させて頂ければと思います。

 

例えば、ある研究員が、スイカエキス(🍉)に〇〇という症状を改善する効果を発見し、健康食品をつくったとします。そこで、特許出願をするにあたり、請求項(クレーム)を下記のように記載しました。

 

請求項1:🍉を含む〇〇改善用食品組成物。

また、スイカエキス(🍉)以外にも、 色々なエキス(🍎🍇🍒)を組み合わせた食品もつくりました。そこで、下記のようなクレームも記載しました。 

 

請求項2:さらに🍎を含む請求項1に記載の○○改善用食品組成物。   

請求項3:さらに🍇を含む請求項1又は2に記載の○○改善用食品組成物。  

請求項4:さらに🍒を含む請求項1~3に記載の○○改善用食品組成物。  

 

請求項2は、請求項1を引用しているので、 🍉 🍎が含まれる食品です。

請求項3は、請求項1と2を引用しているので、

 

🍉🍇が含まれる食品(請求項1を引用)、

🍉🍎🍇が含まれる食品(請求項2を引用)

 

の2つの態様が内包されています。

 

この時、請求項3は、マルチクレームと呼ばれます。

 

マルチクレーム=

他の2つ以上の請求項(クレーム)を引用するクレーム。

 

そして、請求項4はマルチマルチクレームと呼ばれます。

 

マルチマルチクレーム=

マルチクレームを少なくとも1つ引用するマルチクレーム。

 

請求項4には、

 

🍉🍒が含まれる食品(請求項1を引用)、

🍉🍎🍒が含まれる食品(請求項2を引用)

🍉🍇🍒が含まれる食品(請求項3を引用)

🍉🍎🍇🍒が含まれる食品(請求項3を引用)

 

が内包されています。

 

1つの請求項のなかに色々なパターンを含めることが可能なんですね。

では、さらに、下記のような請求項を加えたらどうでしょうか?こちらもマルチマルチクレームです。


請求項5:さらに🍌を含む請求項1~4に記載の○○改善用食品組成物。 

 

請求項5の中には、

 

🍉🍌が含まれる食品(請求項1を引用)、

🍉🍎🍌が含まれる食品(請求項2を引用)、

🍉🍇🍌が含まれる食品(請求項3を引用)、

🍉🍎🍇🍌が含まれる食品(請求項3を引用)、

🍉🍒🍌が含まれる食品(請求項4を引用)、

🍉🍎🍒🍌が含まれる食品(請求項4を引用)、

🍉🍇🍒🍌が含まれる食品(請求項4を引用)、

🍉🍎🍇🍒🍌が含まれる食品(請求項4を引用)

 

のパターンが内包されます。頭がこんがらかってきそうですね。

 

現在、特許庁ではマルチマルチクレームの使用を制限する方向に進んでいるようです(施行日は令和4年4月1日の予定)。現在、パブリックコメント募集中。

 

4/1に本格的にマルチマルチクレームが制限されるようになると、マルチマルチクレームを含む出願には、当該クレームに対して特許法第36条第6項第4号違反の拒絶理由が通知されるようになるとのことです。

 

マルチマルチクレームの制限が検討されるに至った理由などについては下記の特許庁の資料に分かりやすく記載されています。

 

https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/kijun_wg/document/16-shiryou/01.pdf

 

今後の実務に注意が必要そうですね。

最後までお読み頂きありがとうございました!!

 

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著作『画像トレースと著作権』[リッキー]

 最近もYoutube動画をよく見ています。みなさんは、一日にどのくらいYoutube動画を見ていますか?

 

 Youtube動画でイラストレーターの使い方を勉強したくていろいろと拝見していましたが、とても参考になりますね。書籍で学ぶよりも、動画で、しかも解説音声つきで手本を見せていただけるのは理解が進みやすいです。一方、イラストレーターの操作画面は日進月歩なのでしょうか。動画と自分の操作画面とが表示が少し異なるだけで、だいぶ、理解に時間がかかります(適応能力が低いだけのことでしょうが・・・)

 

 Wikipediaによれば、トレースの定義は下記の通りです。

 

 トレース (trace) は、すでにある物をなぞること。またはなぞるべき痕跡のこと。

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ペンツール



 Youtube動画では、あるお手本を、イラストレーターのツールを使って、なぞる方法やテクニックを教えてくれるのですが、しっかりと著作権を尊重していました。プロの方々がYoutube動画をアップしているので当たり前と言えばそうなのですが。あるお手本をなぞるとき、どういう著作権の問題があるか思いつくでしょうか?

 

 

 

 

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考え中!



 

 

 

 

そうです。あるお手本をなぞるという行為は、そのお手本を複製することになります。そのお手本に著作権がある場合、複製すると、著作権侵害になります。Youtube動画では、著作権の消滅した画像や自作したと思われる画像をお手本としてなぞっていました。つまり、他人の著作権を侵害しないようにしていました。

 

 著作権が消滅したかどうかは、どうしたらわかるのでしょうか?

 

 著作権は、創作の時に発生し、著作者の死後70年間存続します。そして、消滅します。このため、著作者の死後70年を経過したアニメ画像等をなぞることは、その著作権が消滅していることから、著作権を侵害することはありません。

 

 また、自作した画像をなぞることは、他人の画像に依拠することなく画像を自作している場合、仮に創作性のある画像であったとしても、自分の著作物を複製するのですから、著作権を侵害することになりません(自分で自分の行為に対して裁判所に訴えを起こしたりしませんよね?)。

 

 ちなみに、専門家の間では、著作権が消滅した著作物を「PD」と記載します。初め、私は、「PD」との記載を見て、何の略だろう・・・KPIのうち財務的成果をどのように達成すべきかを知る尺度である「パフォーマンスドライバ」かなと思っていました。

 

 Wikipediaによれば、パブリックドメイン、KPIの定義は下記の通りです。

 

パブリックドメイン(public domain)とは、著作物発明などの知的創作物について、知的財産権が発生していない状態または消滅した状態のことをいう。日本語訳として公有という語が使われることがある。

 

重要業績評価指標(じゅうようぎょうせきひょうかしひょう、: Key Performance Indicators, KPI)は、組織目標達成の度合いを定義する補助となる計量基準群である[1]。KPI はビジネスインテリジェンスにおいて、現在のビジネスの状態を示すものとして使われ、今後の対応策でどうなるかを予測するのに使われる。KPI をリアルタイム監視することを BAM(ビジネスアクティビティ・モニタリング)と言う。KPI は、リーダーシップ育成雇用サービス顧客満足といった定量的計測が難しいものを定量化する場合に使われることが多い。KPI は(例えば、バランスト・スコアカードのような技法を通して)一般に組織の経営戦略と関連している。

 

 

 

 ぜひ、「PD」=パブリックドメインと覚えて下さい。そして、他人の著作権を侵害しないように、パブリックドメインの著作物を活用しましょう。

 

まとめ

 

 あるお手本を、イラストレーターのツールを使って、なぞる方法やテクニックを教えてくれるYoutube動画を題材に、著作権の存続期間等についてお話ししました。また、「PD」=パブリックドメインと覚えて頂きたいことをお伝えし、他人の著作権を侵害しないようにパブリックドメインの著作物を活用しましょうということもお伝えしました。