IP RIP ~チザイの雑談~

知的財産(Intellectual Property)の「かゆいところに手が届く(Reach the Itchy Place)」お話です。

弁理士「お客さんへの連絡の取り方」[らるご~]

特許事務所勤務の弁理士らるご~です。気温が下がるにつれて仕事量も徐々に増してきているような、そんな10月下旬です。さて今回は、以前からずっと自分が悩んでいるテーマについて書いていきます。

それは、「お客さん(知財担当の方、もしくは、発明者の方)に確認すべき事項が出てきた場合の連絡の取り方」です。ここで、確認すべき事項とは、案件の具体的な内容に踏み込むことから、メール上でその内容を説明するのは避けるべき事項のことで、電話で確認すべき事項のことです。この確認すべき事項が出てきた場合、いつも自分は、以下の(1)(2)のどちらにしようか悩んでいます。

 

(1)事前にメールで「あの案件について電話で確認したいことがあるので、ご都合の良い時間帯を教えてください」と伝え、その後、お客さんからの返信メールで伝えられた時間帯に電話する。

(2)事前にメールすることなく、とりあえず電話する。

 

(1)のメリット、デメリット

(1)のメリットは、事前にメールを送ることで、突然の電話によってお客さんの業務が妨げられてしまうのを防止できます。また、確認したい案件を事前に伝えておくことによって、こちらから電話する前にその案件について思い出しておいてもらうことができるため、電話をかけた際に話をスムーズに進めることができます。

(1)のデメリットは、事前にメールを送る→お客さんからメールで回答が返ってくる→「では、(お客さんが)都合が良いと仰られた時間帯に電話します」のメールを送る、と、複数回メールのやり取りが発生することです。

 

(2)のメリット、デメリット

(2)のメリットは、(1)のデメリットで説明した複数回のメールやり取りが発生せず、確認事項に対して迅速に処理できる可能性があります。

(2)のデメリットは、(1)のメリットの反対で、お客さんの業務を妨げる可能性があること、その案件について突然問い合わせられてもお客さん側がその案件に対応するモードになっておらず、困らせてしまう可能性があること等です。また、お客さんが電話に出られない場合もあり得ます。

 

では、私自身どちらが好きかというと、

今まで見てきた先輩弁理士は(2)の方が多かったような気がします。なお、私自身は、お客さんから(2)で電話がかかってきて、「あの案件のあそこの部分についてですが~」と急に言われると、その案件の記憶がすぐに戻らずに?となることが多いポンコツです。そのため、私が電話される側だったら(1)の方が好きなので、お客さんに電話する際にも極力(1)にするようにしています。(2)で電話がかかってきても、キリっと対応できる先生方、尊敬しております。

              電話対応に追われる会社員のイラスト(男性)

まとめ

以上、自分の悩みについて書きました。実際にお客さん側からすると、(1)(2)のどちらが好きなのかアンケートを取りたいくらいの気持ちですね。今回は、いつにも増して知財と関係ない話題でしたが、ご容赦くださいませ。

 

ここまで読んでいただきありがとうございました!

 

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特許「著名人の出願した特許を見てみよう!」【マータ】

みなさま、こんにちは。マータと申します。

f:id:discussiong1:20211012012531p:plain マータ(博士/弁理士) (@b8L18UnY7nPd5NC) / Twitter 

 

突然ですが、私は研究者が大好きです。
また、研究を生業にしている方の話を聞くのが非常に好きです。

インターネットが発達した現在では、YouTube等で色々な研究者の方の話を気軽に聞くことができるので本当にありがたいです。

 

私の勝手な印象かもしれませんが、ひと昔前は研究者というと「難しい専門的な研究や議論を限られた場でする人」というイメージでした。

しかし、最近では、若くて魅力的な研究者の方がどんどんメディアに出てきて、様々な場で非常に魅力的なトークを繰り広げていると思います。

 

例えば、落合陽一さん(1987年生まれ)や成田雄介さん(1985年生まれ)などは非常に著名かつ人気かと思います。
お二人は本当に多才でご自身の専門にとどまらず、様々な話題について見解を述べたり多くの人と議論したりしています。私も大好きでよく動画やtwitter等を見させて頂いています。

www.youtube.com

twitter.com

 

twitter.com

 

あと、個人的には自分と研究分野が近いため(バイオ、ゲノム)、高橋祥子さん(1988年生まれ)のお話を聞くのも好きです。

www.youtube.com

twitter.com

 

話は変わりますが、知財に関わるものとしては、上記に挙げた先生方がどのような特許を出しているのか気になりますよね。

今回は、落合陽一さんについて調べてみました。

落合陽一さんのフルネームで発明者検索したところ(J Plat Pat, 2022/10/17検索)、38件の特許出願がヒットしました。そのうち、33件はご自身が立ち上げられたスタートアップ企業「ピクシーダストテクノロジーズ株式会社」を出願人とするものでした。

pixiedusttech.com

 

一部を下記に記載します。


特願2017-168413 光学イメージング装置
特願2017-193330 オーディオコントローラ、超音波スピーカ、オーディオシステム、及びプログラム
特願2017-165785 霧描画装置
特願2017-138220 画像生成装置及び画像投影装置
特願2017-193792 音響システム、音響処理方法、及びプログラム
特願2017-218857 空中スクリーン形成装置、画像投影システム
特願2018-124543 超音波コントローラ、超音波スピーカ、及び、プログラム
特願2020-072557 美容装置、美容方法、および、プログラム
特願2020-072558 白髪ケア装置、白髪ケア方法、および、プログラム
特願2020-072559 頭髪ケア装置、および、プログラム

 

最近では、頭髪や美容に関わる発明についても出願されていますね。
特に、特願2020-072559(頭髪ケア装置、および、プログラム)については、「早期審査」や「拒絶査定不服審判」「分割出願」も行っていることから、力の入れようを感じます。

 

また、具体的なモノづくりとして、今年の7月にアンファー株式会社と共同開発した超音波ヘアケアデバイス「SonoRepro™」がニュースになっていました。

prtimes.jp

 

研究者として大量の論文を書きながら、このような商品開発も行っているのですね。基礎研究を基礎研究で終わらせずに、具体的な商品として世に出すことは非常に大変なことと推察します。

 

下記の動画で落合さんが語った言葉が基礎研究者の自分にはとても刺さりました(2:04〜)。

www.youtube.com

 

その他に、気になった特許出願として、落合陽一さんの個人名で出している出願が5件ありました。

 

特願2009-188111 電圧可視化静電配線式ブレッドボード
特願2009-191435 LEDネクタイ
特願2009-270717 複合現実カーナビゲーション
特願2010-152465 静電容量式タッチセンサー上ファイコン
特願2011-191096 表面材質感ディスプレイ

 

これは、落合陽一さんご本人の出願でしょうか??同姓同名の他人だったら申し訳ありません。。
もし、落合さんご本人だとしたら、時期的に大学生か大学院生の頃に出願されたものになりますね。実際、落合さんが大学院生の頃に「心拍を可視化して光るネクタイ」を作っていたという記事がありました(https://type.jp/et/feature/19781/)。

 

学生の頃から、基礎研究だけでなく、知財やモノづくりにも力を入れていたのですね。

 

以上、今回は「著名人の出願した特許を見てみよう!」ということで、私の大好きな研究者「落合陽一」さんについて記事にさせて頂きました。

今後も、ますます注目させて頂きたいと思います。

 

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弁理士『論文試験と800文字小論文試験』[リッキー]

論文試験の合格発表から1週間経とうとしています。合格された方おめでとうございます。例年になく狭き門になってきました。慢心することなく、口述試験合格まで走りきってください。

 

さて、論文試験で身につけたテクニックやスキルは論文試験だけにしか使えないのでしょうか?

論文試験



実務をこなしながら弁理士試験を受けている方が多いと思いますので、そんなことはないと考える方が多いかなと思います。

 

例えば、論文試験での学びは、特許明細書作成でももちろん活用できますよね。

 

クライアントから特許明細書作成の依頼を受けるときは、論文試験の設問から何を問われていて、何を答えるかというスキルが活用できます。

 

また、クライアントとして弁理士に特許明細書作成を依頼するときには、答案の骨子を書く経験が活かされていると思います。

 

論文試験の回答を始める前に、ほぼ100%の受験者が答案の骨子を書きます。特許の試験であれば、最大30分、意匠、商標の試験であれば、15分程度が限界だと思いますが。この骨子を作成して、弁理士と面談すると、理想の特許明細書の作成される可能性が高くなります。

 

さて、これ以外に論文試験の経験を活用できる場はないのでしょうか?

 

これが意外とあると思っています。よくあるのは、就職や昇進試験での小論文試験です。

就活



私の場合は、家族から就職や昇進試験で小論文試験があるので、小論文の書き方を説明してくれだとか、小論文の答案を採点してくれだとか、リクエストをもらいます。

昇進



論文試験から小論文試験に応用できるコツをご紹介したいと思います。

 

1.小論文の構成

 

多くの人が悩むのは、どう書けばいいのか?ってことではないかと思っています。小論文には決まった型がありますので、その型にはまっていないと、書き手もそうですが読み手も何を書いているのだろうとなってしまいます。

 

その型とは、「序論、本論、結論」の3点セットであったり、「起承転結」のセットであったりします。個人的には、「序論、本論、結論」の3点セットでよいと思いますが、指導をしてくれる方によっては、「起承転結」であることもあるかと思います。

 

1−1.序論に何を書くのか

 

例えば、「環境問題に対してあなたがすべきことを述べよ。」という設問であったとします。この場合、序論の最後に書くべきは、「序論、本論、結論」の「結論」と同じことです。なので、「環境問題に対して私は〇〇すべきだ。」と書きます。

 

よく他人に説明する際に、サンドイッチのパンが具材を挟んでいるように、本論を結論で挟むことで、相手へ強いメッセージを送ることを推奨されると思います。

 

また、「序論」で活用できるテクニックは三段論法です。三段論法を使うと、文章が引き締まります。つまり、論理的になるということです。

 

三段論法では、「現状」、「問題」、「解決策」の三段に分けて書きます。

 

「環境問題に対してあなたがすべきことを述べよ。」という設問の場合、あなたが把握している環境の現状を書きます。続いてあなたが環境について問題と思っていることを書きます。この「問題」がポイントで、環境問題といえば、森林減少、海洋汚染、地球温暖化、具体的には、森林火災、マイクロプラスチック、CO2排出、熱波などありますが、ここでどの問題に焦点をあてるかで、小論文の書き手の個性が出てきます。そして、どの問題を取り上げたかで、「環境問題に対して私は〇〇すべきだ。」の〇〇の部分が変わってきます。

 

このように三段論法で「序論」を記載すると、小論文の序論として適切な分量になると思います。ただし、詳細に書きすぎると、文章量が多くなり、「竜頭蛇尾」の原因にもなるので、気を付けて下さい。

 

1−2.本論に何を書くのか

 

「環境問題に対して私は〇〇すべきだ。」とその理由を書きます。結論→理由の順で書くと良いと思います。

 

〇〇は何も1つに限られません。3つあれば、3つそれぞれについて理由を書きます。

 

また、例えば「A(いつ)、B(どこで)、C(誰と)、D(何を)、E(どのように)について触れつつ述べよ。」のような設問であれば、A〜Eのすべての要素について言及します。もし、A〜Eの要素の一部を欠いて記述すれば、設問を正確に読み取れていないとの理由で、減点の対象となるでしょう。

 

1−3.結論に何を書くのか

 

少なくとも、「序論」に記載した「環境問題に対して私は〇〇すべきだ。」を繰り返しましょう。最後にもう一度結論を述べて、相手へダメ押しのメッセージを送るためです。文字数に余裕があれば、もう少し詳細に記載してもいいでしょう。

 

2.文章の量

 

2−1.800字の小論文試験なら720文字以上書こう

 

小論文試験も論文試験も一定の文章量を書けるかどうか、試されていることが多いかと思います。

 

レベル的には初歩的なレベルで、一定の文章量を書けていなければ足切りにされる感じです。9割ぐらいは書いてほしいと出題者は思っているのではないでしょうか。

 

2−2.竜頭蛇尾

 

論文試験の勉強をしているとこの言葉を聞くと思います。

竜頭



試験のはじめは勢いがあるので、文章量があるのですが、そのうち、息切れしてきて、文章量が減ってしまうと、この「竜頭蛇尾」になってしまいます。イメージとしては、「序論」が6割ぐらい占めていて、「本論」が3割ぐらい、「結論」は1割or書けていないか、というような論文です。

蛇尾



本論が3割ぐらいしかないと、大した記述ができないので、微妙な論文になると思います。

 

文章の割合としては、「序論」3割、「本論」5割、「結論」2割ぐらいの分配がいいのかなと思います。論文の外観を見ただけで、安定した論文であると心証を採点者は持つと思います。この論文はよくなさそうだ・・・との心証を持たれてしまうと、採点がきびしくなるかもしれませんから。

 

3.文章の質

 

3−1.800文字の小論文に求められる中身

 

おそらく800文字の小論文では、本論の中身がどのくらい洗練されているかだとか、新しい視点で新しいことを提案しているかだとか、そんなことは求められないと思います。新しい提案でしたら、理解してもらうために、詳しい説明が必要になりますから、とても800文字に収めるのは難しいのではと思います。

 

一般的な、それなら誰でも知っているよみたいなことを書いたとしても、理由がしっかりしていれば、減点されるようなことはないと思います。

 

3−2.誤字脱字

 

800文字の小論文でチェックされるのはむしろ、誤字脱字がないか、というのがよくみらいれるのではないかと思います。論理が一貫しているかは、もちろん見られると思いますが、三段論法を使ったり、結論→理由の順で記載することで論理性をアピールできると思います。

 

3−3.最後に「以上」をつけよう

 

800文字の小論文で最後に「以上」をつけましょう。「以上」をつけることが求められているのか、定かではないのですが、論文試験の模試などでは最後に「以上」をつけ忘れるとマイナス10点されることがあります。(予備校次第なのかな・・・?)

 

余談ですが、論文試験の模試を受けた初期の頃は、ゼロ点ならぬマイナス点の採点をしてもらったことがあります。とんちんかな回答するともちろん、最後に「以上」をつけ忘れることで、見事マイナス点をもらうはめになりました。

 

まとめ

 

弁理士の論文試験での鍛錬が、就職や昇進試験の小論文試験に活かせることを記載しました。納得していただける点があれば嬉しいです。

 

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

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リッキー

 

弁理士「口述試験に向けて2022」【MI】

こんにちは。MIです。

本日(9/26)、令和4年度弁理士試験の論文式筆記試験の合格発表がありました。合格された方おめでとうございます!

多くの方はこの後「口述試験」を受験されて、晴れて最終合格!となられるかと思います。そのために「口述模擬試験」の受験をご検討中の方も多いかと思います。昨年に引き続き、某所で口述模擬試験に関わることになりましたので、予習を兼ねて、最近の弁理士試験の傾向や口述模擬試験の情報をまとめてみました。ご参考になれば幸いです。

 

 

近年の傾向

昨年(R3年)度も口述試験の合格率は90%を超えており、高い水準にはあるかと思います。しかし、近年(少なくともH29~R2まで)続いてきた最終合格者数の増加と合格率の上昇傾向には歯止めが掛かった形となっています。

特許庁HPのデータより計算。合格率は受験者数(≠志願者数)ベース。

出典:令和3年度弁理士試験の結果について | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)

本年(R4年)度も、論文試験合格者数は志願者数の減少(10%弱減)に対して更に下がっており(15%程度減)、試験自体の厳しさが増している印象を受けます。本年度の口述試験、決して油断はできません。

 

口述試験の問題テーマ

H29~R3年度に出題された口述試験の問題テーマは以下の通りです。

昨年感じた「最近は基本的なテーマが多い」との印象から打って変わって、昨年はちょっとマニアックなテーマ(特許「補償金請求権」、商標「マドプロ関連」)や、範囲の広いテーマ(意匠「新規性+関連+・・・等」、商標「商標権全般」)が聞かれています。模擬試験の問題を検討するに当たっては難しいところですが、難易度は難しめ&近年聞かれていないテーマの問題も準備したいと思っています。

 

「対面」か「オンライン」か?

コロナ禍の状況が見通せない中、口述模擬試験も「対面形式」と「オンライン形式」との間で対応が分かれています。

<予備校系>

口述模擬試験 - 弁理士 学習経験者|LEC東京リーガルマインド (lec-jp.com)

⇒対面orオンライン

口述模試 | 弁理士 |資格の学校TAC[タック] (tac-school.co.jp)

⇒対面

<会派系>

令和4年度 PA会口述模擬試験 開催のお知らせ | PA会ホームページ (pa-kai.net)

⇒オンライン

★★春秋会口述試験練習会のご案内★★ – 弁理士春秋会 (shunju.gr.jp)

⇒対面(本試験と同じ会場!)

(2022/10/17)令和4年度 口述試験練習会のご案内|南甲弁理士クラブ (nankoh.gr.jp)

⇒オンライン

令和4年度 弁理士試験 口述模擬試験について(令和4年9月26日更新) - 南甲弁理士クラブ東海支部 (jimdofree.com)

⇒対面

個人的には、口述試験に慣れるためには試験官からのプレッシャーを直接感じられる「対面形式」がオススメですが、以下にも書くように、「オンライン形式」も上手く利用して複数のパターンを経験しておくといいと思います。

 

口述模擬試験を受けるにあたって

口述模擬試験を受けるにあたっての普遍的なアドバイスです。

まず、いろんな状況&試験官に慣れることが大切です。是非、複数の模擬試験を受験してみてください。どんな状況&試験官でも実力を発揮できるようにするためです。模擬試験によっては、試験官がイヤな(相性が合わない)人である場合もあります。それでも本番であれば何とか相手をしなくてはいけません。そのための修行です。

また、複数の模擬試験を受けると問題が被ることもあるかと思います。そんなときは遠慮なく「違う問題をお願い」していいと思います(もちろん復習がてら同じテーマの問題でもいいと思います)。おそらく、試験官は複数の問題を準備していると思います。少なくとも私は、試験官としては受験生の皆さんの役に立ちたいと思っていますので、希望があれば伝えていただけるとありがたいです。

おわりに

口述試験を受験される皆さん、あと少しです!数字を見ると怯んでしまうところもありますが、ここまできたらなんとか乗り切っていただき、最終合格されることをお祈りしています!

本日も最後までお読みいただきありがとうございました!

 

 

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特許「記載ミスの無い書類作成を目指して」[らるご~]

特許事務所勤務の弁理士らるご~です。事務所勤務の弁理士の業務は、ほとんど書類の作成業務です。この作成した書類において、内容が論理的であったり読みやすかったりすることは当然大事なのですが、それ以前に満たすべき品質として、「記載ミスが(限りなく少)ない」ことが挙げられます。

今回は、そのような記載ミスについてボチボチ書いていきます。

 

1.そもそも記載ミスとは

この記事で私が「記載ミス」と呼んでいるミスとは、例えば、

・文章中の誤記(誤字脱字、句読点記載漏れ等)

・書類の整理番号や日付の数字間違い

等のことです。言い換えれば、「記載ミス」とは、「本質的な内容に関わるミスほど致命的ではない軽微なミス」とも言えます。ここで、軽微なミスと言ってはいますが、そのような記載ミスが書類内に散見されると、その書類の内容自体に対する信頼性が損なわれます。また、お客さん(主に知財部担当者)に送る書類に毎度記載ミスがあれば、たとえ書類ごとの記載ミスの数が少なかったとしても、そんな書類を毎度送ってくる特許事務所の印象がどんどん悪くなっていくのは火を見るよりも明らかです。そのため、記載ミスは(限りなく少)ないに越したことはありません。

 

2.記載ミスを無くすためには

記載ミスを無くすためには、書類作成者が書類作成後に時間を置いて再チェックすることや、書類作成した本人以外の人間が客観的にチェックすることが挙げられます。またこれらチェックを実行する際には、発生しやすい記載ミスのチェックリストを予め作成しておき、そのチェックリストに沿って記載ミスが無いかチェックする方法が、ほとんどの特許事務所で採用されていると思います。また、書類をマクロのチェックにかける場合もありますね。

 

3.記載ミスと弁理士に対する評判

私のこれまでの経験上、記載ミスが多い弁理士さんはいつまで経っても記載ミスが多いままで、それが原因でお客さんや特許事務所内での評判はイマイチです。このようにいつまでも記載ミスが減らないのは、本人の能力不足というよりかは、不注意によるところ、もしくは、自己過信によるところが大きいと思います。翻って私らるご~はどうなのかと言いますと、記載ミスなんてほとんどしませんよ?とは言えませんが、これまで同僚の方からは、何回か「比較的記載ミスが少ない方だよね」とのお声をいただいていることから、そのように自分にとって都合のいいお声は信じることにしています(「比較的」の解釈が争点になりそうですが)。私自身、重たい内容の書類を完成させたとき、その書類を再チェックするのはしんどいし、早くお客さんに送ってしまいたい!と思うことはよくあります。しかし、だいたいそういう書類に限って再チェックしてみると、記載ミスが散見されます。そのため、どのような書類であっても自分は必ず再チェックするようにしています(大半の弁理士さんにとっては当たり前ですよね)。

             書類を見て焦る会社員のイラスト(男性)

4.記載ミスと書類の内容との関係

個人的には、記載ミスが多い書類は内容もよろしくないものが多いというのが自論です。記載ミスは多いけど書類の内容は素晴らしいという例を、私はあまり見たことがありません。そもそも記載ミスが多い時点で、その読み手に対する信頼性が損なわれていることから、書類の内容の良し悪しをニュートラルな気持ちで判断できていないのだと思います。

 

5.まとめ

以上、記載ミスについてボチボチ書きました。毎度必ず再チェックしていますと威勢よく言ったものの、それでも実際には事務の方からたびたび記載ミスを指摘されているのが現状です…(この記事にも誤字等ないか心配しています)。なので、いつも記載ミスを発見してくださる事務の方には頭が上がりません。そんな事務の方にいつか頭が上げられるよう(?)本記事のタイトルにあるように、記載ミスの無い書類作成を今後も目指していきます。

 

ここまで読んでいただきありがとうございました!

 

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「特許出願数の推移~伸びている分野、減少している分野~」【マータ】

みなさま、こんにちは。マータと申します。

f:id:discussiong1:20211012012531p:plain マータ(博士/弁理士) (@b8L18UnY7nPd5NC) / Twitter

 

先日のらるご~さんの記事にも書かれていましたが、日本の特許出願件数は年々減少傾向にありますね。

discussiong1.hatenablog.com

 

特許行政年次報告書2022年版

https://www.jpo.go.jp/resources/report/nenji/2022/document/index/0100.pdf

 

このデータを見ていて、「全体的に減っているけど、技術分野ごとの出願数の推移はどうなんだろう?」と疑問に思いました。そこで、「特許行政年次報告書」の分野別統計表を見てみました。データが膨大なので表の一部を下記に示します。このように各技術分野について年ごとの出願件数がまとめられています。

 

特許行政年次報告書 分類別統計表より一部抜粋

https://www.jpo.go.jp/resources/report/nenji/2022/document/index/020205.pdf

 

表だと少し分かりにくかったので、2011年の出願数を1として相対値をとってグラフにしてみました(今回は、2011年の時点で出願数が100件以下の分野は除外しました)。

 

まず、Aセクション: 生活必需品については次の通りでした。

このセクションにおいては、A24のたばこ関係の出願が急増していることが分かりました。2011年から比較して2020年では7倍程度に増えてます。出願数自体は2020年の時点で975件なので数としてはまだまだ多くないですが、今後もこのまま増えていくのかどうか注目したいです。

 

続いて、Bセクション 処理操作;運輸について。

目立った傾向を示す分野はないように感じましたが、強いていえばB64が増加しているようでした(2020年はちょっと減少していますが)

 

Cセクション: 化学;冶金について。

どちらかというと、減少傾向を示す分野が多かったですが、C12は徐々に増加しているように見えます。

 

Dセクション: 繊維;紙について。

目立った傾向を示す分野はないように感じました。

 

Eセクション: 固定構造物について。

E06が2011年から2014年までに増加していますが、その後横這いです。
その他には、特に目立った傾向を示す分野はないように感じました。

 

Fセクション: 機械工学:照明;加熱;武器;爆破について

どちらかというと減少傾向にある分野が多いように感じます。

 

Gセクション: 物理学について。

増加傾向の分野としてはG08などがありました。一方で、G11については2割程度まで激減していますね。何がおこったのでしょうか。。

 

Hセクション: 電気について

全体的に減少傾向に見えます。

 

 

まとめ
日本の特許出願は毎年減少していると言われますが、分野別に見ると様々ですね。特に、A24のたばこ関係の出願が増えてきているのが興味深かったです。もう少し細かい分類まで調べるともっと色々分かるかも知れません。今後の動向に注目したいと思います。

 

今回は、色々な技術分野について出願件数の増減を調べてみました。一方で、各分野について増減が起こった原因についての考察まではできていません。私のデータの見方について間違った点などかあればご指摘頂けると嬉しいです。最後までお読み頂きありがとうございました!!

 

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特許『発明の説明をするための題材』[リッキー]

発明の説明をするのに良いサンプルはないかな?なんて考えながら身の回りのものを見ていますが、最近、自分の中では良いサンプルを見つけたのでシェアさせていただきたいなと思いました。個人的にはいい発明だなと思いました。

 

お急ぎの方は、下の方をお読みください。順に、よくある箱の説明から始めています。

 

箱の筐体と蓋だと、蓋はこんな感じのものが多いかなと思います。

開けやすいというメリットがありつつも閉めたつもりでも開きやすいというデメリットもあるかなと思います。



勝手な想像ですが、この閉めたつもりでも開きやすいというデメリットを改良したのがこちらの箱かなと思います。



うまく文言で表現できているかわかりませんが、蓋には穴があり、筐体にはこの穴に一部が収まる帯状の部分があります。蓋を閉めたあとさらに、帯状の部分を蓋の穴に入れると、この閉めたつもりでも開きやすいというデメリットを解消をできますね。

 

しかし、でもこのような箱には問題があるかなと思います。みなさんも思い当たる節はありませんでしょうか。

 

蓋が開きにくくなったので、今度は蓋が開けにくいのですよね。

 

では、どのように今度は蓋を開けにくいという問題を解消すべきでしょうか。今回は、その答えともいうべき箱を見つけたのでシェアしたいと思った次第です。

 

では、その回答は・・・とその前に。他の解決手段もあるかなと思います。例えば、これですね。



突起にマグネットがあり、鉄片にある穴が突起に引っかかることでロック状態となり、鉄片にある穴が突起から離れるとロック解除状態となります。

 

これだと、ロック解除状態では蓋を開けやすいですし、ロック状態では蓋が開きにくいです。蓋が開きにくい、蓋が閉まりにくいといった問題からは離れることができますね。ただし、マグネットや鉄片を使うので材料費が高く付きます。

 

箱の一部をマグネットや鉄片にして、他の部分をダンボールにするなど工夫することで材料費をいくらか抑えられると思いますが、やはり、ダンボールだけで構成される箱には材料費の面で勝ることはできません。

 

話を戻しましょう。ダンボールから構成される箱で、蓋を開けにくいという問題をどう解消すべきでしょうか。その解決手段の一つがこれではないでしょうか。



帯状の部分に一部が切込みがあり、切り落とされていない部分を回動中心振れる振り子部分がある。振り子部分は帯状部分から飛び出ているので、指でつまみやすくなっています。このため、蓋の穴から帯状部分を外しやすくなります。

 

この振り子部分がないと本当に開けるのに苦労するのですよね。終いには、蓋の穴を指でこじ開けてしまうので、蓋の穴を一端として蓋の一部を破いてしまいます。このようなことも防止できますね。

 

振り子部分があることで蓋を開けにくいという問題を解消でき、蓋の一部を破いてしまうことももうなくなります。ただ、ここで新しい問題が発生します。

 

この振り子部分は、帯状の部分にしっかり収まることがないので、一度使うと飛び出たままで見た目が悪いのです。どうしたらこの見た目の悪さを解消できるでしょうか。



問題解決を続けていると、あるところで最初の問題を解決できます。今回の場合では、振り子部分を設けたことにより、開けにくいとの問題を解決しました。ところが、問題が変質して、見た目の悪さが問題になりました。実務をやっていると、課題を解決すると次の課題が生まれ、課題の解決を繰り返していると課題が変質することも経験します。

 

新人のときは他の例で発明の特定の仕方、提案書の書き方を習いました。そのあと、私が教える立場になったらどのような例を用いて説明しようかと考えることが幾度とありました。今回はたまたま、よいサンプルに出会うことができました。

 

講習会を開催すると、新人のきに受講した講習会よりも長時間になりそうです。どこかで、このサンプルを使えるときが来たらいいなと思います。

 

まとめ

 

発明の説明をするのに良いサンプルはないかな?なんて考えながら身の回りのものを見ていて、最近、自分の中では良いサンプルを見つけたのでシェアさせていただきました。参考になったら嬉しいです。

 

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