IP RIP ~チザイの雑談~

知的財産(Intellectual Property)の「かゆいところに手が届く(Reach the Itchy Place)」お話です。

著作権の雑談『編集著作物の素材』[リッキー]

今回も編集著作物を

取り上げたいと思います。

 

編集著作物に関する

条文は12条でした。

 

(編集著作物)第12条 
編集物(データベースに該当するものを除く。以下同じ。)でその素材の選択又は配列によつて創作性を有するものは、著作物として保護する。

 

 

さて、素材としては、

どんなものがあるの

でしょうか?

 

前回は、百科事典が

登場しましたが、

他にも考えられそうです。

 

職業分類表

 

NTTタウンページ事件

(平成8年(ワ)第9325号)

には、職業の分類が

出てきます。

 

そして、その職業分類ごとに

連絡先の電話番号が

事業者ごとに羅列されています。

 

NTTタウンページならば、

事業者の電話番号が素材

と考えられます。

 

ただ、その職業分類表も、

創作性があれば編集著作物

になります。

 

職業が素材になりますね。

 

弁理士を分類するなら、

どのような分類がいいの

でしょうか?

 

士業でしたらありふれていそう

ですね。

 

国家試験の難易度別に

並べてもありふれていそうです。

 

事業者数で並べても、

弁理士は1万人ちょっと

いる感じですが、

 

全員が事業主というわけ

でもなく、弁理士法人を

つくり、複数の弁理士

集まっていたり、

 

企業内弁理士もいますから、

数で言うとどのくらいの

事業者数に落ち着くのでしょうか。

 

旅行先

 

旅行先なら、こちらも

素材がたくさんありそうです。

 

人工物

・テーマパーク

・旅館、宿、ホテル

・高速道路のサービスエリア

・買い物先

・・ビル

・・道の駅

 

自然

・山

・川

・海

 

これらは素材となりますね。

 

編集著作物となるような

分類表にはならなそう

ですけれどもね。

 

食べ物

 

これもたくさんの素材が

ありそうです。

 

そして、

 

外食

中食

家庭食

 

こんな分類もありでしょうか。

 

小麦

野菜

乳製品

 

ともありそうです。

 

ただ、編集著作物となるような

分類表にはならなそう

ですけれどもね。

 

その他

 

前回、素材に著作物性は

求められていないという

ことも書きました。

 

スーパーの商品棚の

構成は編集著作物にならない

のでしょうか?

 

ひとつひとつの商品を

素材として、並べ方=配列

ですから、編集著作物に

成り得る?

 

なんて期待が持てます。

 

輸入お菓子をメインに

陳列していると、

それだけで棚の雰囲気

が変わります。

 

こんなお菓子あるんだ

と、日本にないお菓子に

目が行くことも。

 

でも、日本のお菓子が

一番!って感じなんですが。

 

また、図書館の本棚の

構成も編集著作物にならない

のでしょうか?

本棚



いまのところ、

ISBNコード

等で、棚わけされて

いそうです。

 

https://isbn.jpo.or.jp/index.php/fix__about/fix__about_3/

 

平置き、面展

という目立つ

陳列の方法もありますし、

 

背表紙が見える

背刺し陳列という

のもあります。

 

shoseki.net

 

本とこれらの陳列の

組み合わせでも、

なんだか編集著作物に

なりそうな、

 

素材、配列が出てきそうです。

 

ここらで編集著作物と

して認められると、

 

ウインドウショッピングの

楽しみが減ってしまいそうです。

 

まとめに代えて本日の痒い所

 

  • 職業分類表は、編集著作物になり得そう

 

  • 旅行先も食べ物も、編集著作物になり得そう

 

  • 商品棚の構成、本棚の構成は、編集著作物になるのか???(痒いままでした)

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

今週も著作権の雑談を楽しみましょう。

編集著作物の雑談はいかがでしょうか?

 

リッキー

 

 

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著作権の雑談『編集著作物のジレンマ』[リッキー]

プログラムの著作物まで、

一通り見てきました。

 

これで今までの著作物

について、これから触れる

ことがないかといえば、

そんなことはありません。

 

ネタが見つかれば、

いつでも、各著作物に

言及したいと思います。

 

著作権法第10条を離れ、

第12条へと進みましょう。

 

編集著作物です。

 

百科事典、新聞、雑誌、論文集、文学全集、美術全集、音楽アルバム、職業別電話帳等のように、編集物でありかつ素材の選択または配列によって創作性を有するものは編集著作物となり、著作権が認められる(12条1項)。

 

著作権法第3版 中山信弘著 有斐閣 145頁

 

百科事典等が編集著作物

であることは、多くの方

が御存知だと思います。

 

百科事典を読む子ども

 

たとえば、百科事典は、

著作物の塊だと考えると、

 

百科事典の中身である

各著作物も著作権

保護されますし、

 

また、この編集著作物としても、

保護されます。

 

なんか保護が手厚い感じが

しますね。

 

編集著作物を制作する際には、

 

どんな著作物を掲載しようか、

どんな順番で並べようか、

 

編集方針を立案しなければ

なりません。

 

いままでの「選択の幅」という

考えからみると、

 

ものすごい組み合わせがある

ように思えます。

(数えてませんが)

 

なので、ものすごく

創作性が認められやすいと

感じてしまいます。

 

でも、ランダムに選択して、

ランダムに並べた時と、

どうちがうのか?

 

と違いが一見して分からない

感じもします。

 

特に、こういう思想で

著作物を集めてきましたとか

並べてみましたとか、の

「こういう思想」は、

イデアです。

 

「選択の幅」がありそうな

部分が、アイデアになって

しまうのです。

 

思想又は感情が現れている

のに、もったいない・・・。

 

いや、惜しいというべきで

しょうか!?

 

著作物の種類に、

編集著作物が存在しますが、

 

実のところ、著作物の塊

の個々の著作物が、

著作物として保護されるから、

 

百科事典のような編集著作物も

著作権で保護されている

ように見えているだけ、

なのでしょうか。

 

そうだとすると、編集著作物は

形骸化してしまいそうですね。

 

一方で、非著作物の塊の

編集著作物もあります。

 

職業別電話帳等ですね。

 

会社名、業種や電話番号は、

事実なので、ここのデータが

著作物として認められ

そうにありません。

 

となると、頼るべきは、

編集著作物となるのですが、

その編集著作物も、

 

前述のように、「選択の幅」が

ありそうな部分が、アイデア

なってしまいます。

 

解釈論上の努力が指摘されて

おり、その弊害に対しては、

マージ・不可避的表現・

ありふれた表現の理論・

権利濫用等による対処が必要

との指摘もあります。

 

特に素材が、非著作物の場合、

こうでもしてもらわないと

著作権による保護は叶いません。

 

素材が著作物か非著作物かで、

解釈にも軽重がでてしまうの

でしょうか!?

 

難しい問題ですね。

 

まとめに代えて本日の痒い所

 

  • 編集物でありかつ素材の選択または配列によって創作性を有するものは編集著作物となり、著作権が認められる

 

  • 素材をランダムに選択して、ランダムに並べた時と比較して、一見違いが分かりにくい

 

  • 編集著作物の素材が著作物なのか非著作物なのかで、編集著作物として認められやすさは変わるべきなのか?

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

今週も知財の雑談を楽しみましょう。

編集著作物をテーマに雑談するのはいかがでしょうか!?

 

リッキー

 

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著作権の雑談『プログラムの著作物の特殊性(5)』[リッキー]

 

プログラムの著作物は

後から、著作権法

中に取り込まれたので、

ちょっと異端な感じ

があります。

 

条文上も、他の著作物とは

異なった規定が設けられて

います。

 

ということで、違いを

見てきました。

 

続きを見てみましょう。

 

第113条に侵害とみなす

行為が記載されていますが、

量が多いです(汗)

 

条文を理解したプログラム

 

条文をここに載せると、

条文嫌いになってしまう方

もいらっしゃるかも・・・

 

と危惧をしまして、

割愛しますね。

 

こういうときは、

行政の資料で、

具体例が記載されている

ものがよいかと

思います。

 

http://siryou6.pdf (kantei.go.jp)

 

 

だそうです。

 

海賊版と聞けば、

いいイメージがしませんね。

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%B7%E8%B3%8A%E7%89%88

 

 

また、プログラムから

ちょっとずれますが、

 

海賊版への誘導をする

 

  • リーチサイト
  • リーチアプリ

 

をつくるとこれらも

著作権侵害

なります。

 

条文上は、

  • リーチサイト=侵害著作物等利用容易化ウェブサイト
  • リーチアプリ=侵害著作物等利用容易化プログラム

という理解でよいでしょう。

 

また、プラットフォーマー等が

侵害著作物へのリンクを放置しても

いけません。

 

なお、119条、120条の2には、

罰則が規定されています。

 

119条では、

5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金

又はこれを併科

です。

 

120条の2では、

3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金

又はこれを併科

です。

 

どちらも重い処罰を受けます。

やめましょう!

 

今回は短いですが。

 

まとめに代えて本日の痒い所

 

 

  • 条文上は、リーチサイト=侵害著作物等利用容易化ウェブサイト、リーチアプリ=侵害著作物等利用容易化プログラムと理解すると、読みやすくなります

 

  • 侵害著作物へのリンクを放置も、著作権を侵害する行為とみなされます

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

今週も知財の雑談を楽しみましょう。

今週も著作権の雑談はいかがでしょうか!?

 

リッキー

 

 

 

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著作権の雑談『プログラムの著作物の特殊性(4)』[リッキー]

プログラムの著作物は

後から、著作権法

中に取り込まれたので、

 

ちょっと異端な感じ

があります。

 

条文上も、他の著作物とは

異なった規定が設けられて

います。

 

ということで、違いを

見てきました。

 

続きを見てみましょう。

 

(創作年月日の登録)

第76条の2 プログラムの著作物の著作者は、その著作物について創作年月日の登録を受けることができる。ただし、その著作物の創作後6月を経過した場合は、この限りでない。

 

2 前項の登録がされている著作物については、その登録に係る年月日において創作があつたものと推定する。

 

 

創作年月日の登録は、

どの著作物でも

受けることができます。

 

際立つのは、

創作後6カ月以内に

限られている点です。

 

なぜ6カ月なのでしょうか?

 

本登録を受けることができるのは、プログラムの創作後6カ月以内に限られている。なお、実務上は、6カ月を以内に申請をすればよく、期間内に登録されるまでの必要はないとされている。

このように期間を限定した目的は、創作年月日の立証は困難であるため、申請できる期間を短期間に限ることにより、申請された創作年月日が真実である可能性を高めることであると解されている。また、登録が遅らされることで、存続期間が、推定効により事実上引き延ばされてしまうことを防ぐためである、との見解もある。いずれにせよ、後述のとおり登録手続上は創作年月日を立証する資料を提出する必要がないため、申請に係る創作年月日が真実かどうかについて制度上の担保はないから、申請期間が限定されていることの効果としては、登録された創作年月日の正確性が事実上高まるということのほか、せいぜい、創作年月日を主張する場合においては、申請日(これは客観的に証明可能である)から6カ月以内しか遡れないという事実上の効果にとどまる。

 

 

著作権法コンメンタール[第2版] 半田正夫 松田政行 編 勁草書房 916~917頁

 

なるほど6カ月以内

とされるのは、

創作年月日の正確性

を担保するため

だったのですね。

 

では、なぜプログラムの

著作物だけ、このような

規定があるのでしょうか?

 

他の著作物だって、

創作年月日の正確性を

高めるために、

 

創作後6カ月以内しか

登録が受けられないと

してもいいはずです。

 

みなさんはどう考えられる

でしょうか?

 

やっぱり、プログラムの

著作物が後から追加された

ことも一因なのかと

考えます。

 

登録に制限が設けられて落ち込むプログラム

 

もともと従来の著作物と、

プログラムを著作権法

保護するかどうか論争が

あったぐらいです。

 

それは特許法でも保護

できてしまう場合が

あるからです。

 

そんなプログラムに

著作権法の長期間の保護

を与えたくない

 

そんな考えが潜んでいる

のはではないでしょうか。

 

また、もともと保護対象

であった著作物に、

創作後6カ月以内の登録

を条件にするのも、

 

なんで?と反発が多いと

思われます。

 

うまーくバランスがとれた

ところで条文化されたのかと

推測します。

 

実用品との問題は、

なにもプログラムの著作物

だけではありません。

 

美術の著作物も、応用美術が

議論の対象となります。

 

(プログラムの著作物の登録に関する特例)

第78条の2 プログラムの著作物に係る登録については、この節の規定によるほか、別に法律で定めるところによる。

 

 

また、このような条文も

あります。

 

プログラムの著作物

については、

 

SOFTICで登録の

申請をすることができます。

 

https://softic.or.jp/

 

プログラムを販売する会社では

一度、創作年月日を登録して

から、譲渡の登録をするようです。

 

たまーに、申請番号が連番に

なっているものがありますが、

 

おそらく、上記の2つの登録を

していると推測されます。

 

ただ、詳細まではみれないので

飽くまで推測の域を出ないのですが。

 

まとめに代えて痒い所

 

  • プログラムの登録には、期限(創作後6カ月以内)がある

 

  • プログラムの著作物だけにこのような規定があるのは、特許法でも保護される場合があるのと、新参者だから、かと思われる

 

  • プログラムの著作物は、SOFTICで登録できる

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

今週も知財の雑談を楽しみましょう。

今週も著作権の雑談はいかがでしょうか。

 

リッキー

 

 

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著作権の雑談『プログラムの著作物の特殊性(3)』[リッキー]

プログラムの著作物は

後から、著作権法

中に取り込まれたので、

 

ちょっと異端な感じ

があります。

 

異端な感じのプログラムの著作物

 

条文上も、他の著作物とは

異なった規定が設けられて

います。

 

ということで、違いを

見てきました。

 

続きを見てみましょう。

 

第47条の3 プログラムの著作物の複製物の所有者は、自ら当該著作物を電子計算機において実行するために必要と認められる限度において、当該著作物を複製することができる。ただし、当該実行に係る複製物の使用につき、第113条第5項の規定が適用される場合は、この限りでない。

 

立法者は、「所有者」(47条の3)と「複製物を使用する権原を取得した」者(113条2項)とを意図的に使い分けており、47条の3の適用を受けるのは、プログラムの著作物の「複製物の所有者」に限定されている。つまり本条により複製し得る権原を、電子計算機で当該プログラムの複製物を使用する権原から導いているのではなく、複製物という有体物の所有権から導いており、その意味からプログラムの著作物の複製物の賃借人は、使用する権原を有してはいるが、所有者ではないため、47条の3の規定の適用を受けないことになっている。著作権法上、使用権なる権利は存在しないため錯綜した関係になっている。

 

著作権法 第3版」 中山信弘著 有斐閣 462頁

 

 

「所有者」と

「複製物を使用する権原を取得した」者と

で分けてしまうと、

 

所有者は、権利制限規定(47条の3)を

受けれられるけれども、

 

複製物を使用する権原を取得した者は、

権利制限規定(47条の3)を

受けられないということですね。

 

どうして所有者か否かで

切り分けてしまったのか?

 

疑問が残るということ

でしょうか?

 

45条を見てみると、

「美術の著作物若しくは写真の著作物の原作品の所有者」

という文言が登場します。

 

「所有者」とありますね。

 

「原作品の所有者」は

美術の著作物の場合、

一人に限定できそうです。

 

ネガフィルムの時代で

あれば、写真の著作物の

「原作品の所有者」も

一人に限定できそうです。

 

「所有者」を一人に

限定できる場合は、

所有者か否かで

切り分けることに

メリットがあったかも

しれません。

 

ただし、デジタルなもの

の場合、どうなんでしょうか。

 

プログラムの場合、

複製物との差がつかない

かもしれません。

 

NFTを使えば問題解決

なのかもしれませんが。

 

プログラムの著作物は、

美術の著作物、

写真の著作物

と同様に、著作物の仲間

ではあります。

 

しかし、細かな点を

詰めていくと、

相性の良くない部分が

出てきているようです。

 

また、写真の著作物も、

デジタル化されて、

 

原作品=データの状態では、

原作品による展示ができない!

ということもあるかもしれません。

 

データに基づき印刷した場合は、

原作品でなくて、

複製物にあたりそうですが、

 

原作品に複製物まで含まれる

ならば別な気もしますが、

どうなるのでしょうか。

 

ちょっと長くなりましたね。

残りは、また次回に。

 

まとめに代えて本日の痒い所

 

  • プログラムの著作物の複製物の所有者は、一定の要件の下、当該著作物を複製することができる

 

  • 著作権法第47条の3について、主語を、「所有者」にしてしまったことで、問題が生じている

 

  • 著作権法第45条にも「所有者」は登場するが、問題が生じないのは、プログラムの著作物と、美術の著作物・写真の著作物と、の著作物の種類による違いかもしれない

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

今週も著作権の雑談を楽しみましょう!

プログラムの著作物の変わりっぷりについて雑談するのはいかがでしょうか?

 

リッキー

 

 

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著作権の雑談『プログラムの著作物の特殊性(2)』[リッキー]

 

今回もプログラムの

著作物をテーマに

したいと思います。

 

プログラムの著作物は

後から、著作権法

中に取り込まれたので、

 

ちょっと異端な感じ

があります。

 

条文上も、他の著作物とは

異なった規定が設けられて

います。

 

さっそく、見てみましょう!

 

まずは、

職務上作成する著作物の著作者

です。

 

職著作と略したりします。

 

職務著作する人

 

職務著作

 

第15条 法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。

 

 法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。

 

 

法人等の発意に基づき

作成された著作物の

著作者は法人等です。

 

という条文です。

 

第1項では、

(プログラムの著作物を除く。)

との記載が目立ちます。

 

では、他に規定があると

思われるのですが、

すぐ下の第2項に記載があります。

 

さて、何が違うのでしょうか?

 

その法人等が自己の著作の名義の下に公表する

との記載が見当たりません。

 

ここが大きな違いでしょう。

 

それこそ、小説でしたり、

音楽でしたり、すると、

公表が前提です。

 

自分で自分のために書いたり、

演奏したり、ということは

あると思いますが、

 

やはり、多くの人に見て、

読んで、聴いて、もらいたい

と思います。

 

ところが、プログラムは、

どんなコードなのか、

プログラマーは気になる

と思います。

 

ただ、プログラムを購入する

多くの人は、プログラムに

よって実現される機能が

欲しいのであって、

 

どのようなコードで書かれて

いるかどうかはあまり

気にしていないと思います。

 

ゲームもプログラムで記載

されますが、ゲームで遊ぶ

ことが主な目的といった

ところでしょうか。

 

次に進みましょう。

 

同一性保持権

 

第20条 著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。

 

2 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する改変については、適用しない。

 

・・・

 

三 特定の電子計算機においては実行し得ないプログラムの著作物を当該電子計算機において実行し得るようにするため、又はプログラムの著作物を電子計算機においてより効果的に実行し得るようにするために必要な改変

 

・・・

 

 

続いては、同一性保持権です。

 

著作者の意に反した

改変をしてはならない

という規定です。

 

ただ、どんな改変も

してはいけないのか

というと、

 

そうではありません。

 

プログラムですと、

少なからず、バグが

存在します。

 

たまーにおかしくなって、

PCを再起動しなくては

ならないときもあるかと

思います。

 

こんな程度のバグでしたら、

まだ許容範囲でしょうか。

 

ただ、修正したいときが

あります。

 

修正するたびに、

著作権者に修正しても

良いかどうか、

 

お伺いを立てていたのでは、

お伺いをする方も

大変ですし、

 

お伺いされる、著作権者も

大変です。

 

バグを見つけて、

修正してもいいか問い合わせた後、

10分ごとに、

バグを発見して、

 

10回も電話、

または、メール、メッセージ

を送るのでは、

 

送る側も大変ですし、

受ける側も、

1回でまとめてよ!

となりそうです。

 

まとめるとなると、

送る側も整理が

大変です。

 

ちなみに、WINDOWS95

が販売された時には、

まだ3000個以上のバグ

が残った状態だった

そうです。

 

「そんな状態でもの売るなんて

けしからん」

なんて声も聞こえてきそうです。

 

ただ、実際に、これだけの数が

あるのですから、

 

同一性保持権の侵害と

言わずに、必要な改変と

認める方が、

 

建設的なのかなと思われます。

 

そんなこんなで、

プログラムの著作物

に関しては、

 

同一性保持権があり、

改変が禁止されているところ、

必要な改変については例外

とされています。

 

まだまだ、違いはあります。

それはまた次回に!!

 

まとめに代えて本日の痒い所

 

  • プログラムの著作物は、職務著作、同一性保持権について、他の著作物と異なる規定がある

 

  • 職務著作では、公表を前提にしていなくても、他の著作物と異なり、法人等が著作者になる

 

  • 同一性保持権では、改変が禁止されているが、プログラムの著作物については、必要な改変が認められている

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

今週も知財の雑談を楽しみましょう。

今週もプログラムの著作物について雑談するのはいかがでしょうか?

 

リッキー

 

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著作権の雑談『プログラムの著作物の特殊性(1)』[リッキー]

さて、今回からは、

プログラムの著作物へ

話題を移しましょう。

 

プログラムの著作物

 

著作物は下記に分類

されますが、

 

言語の著作物(1号)

音楽の著作物(2号)

舞踏の著作物(3号)

美術の著作物(4号)

建築の著作物(5号)

図形の著作物(6号)

映画の著作物(7号)

写真の著作物(8号)

プログラムの著作物(9号)

編集著作物(12条)

データベースの著作物

二次的著作物

 

「プログラム」、

「データベースの著作物」

が特殊な感じがしますね。

 

情報化の進展とともに、コンピュータ・ソフトウェアなかんずくのプログラムの重要性が増してきた。プログラムがハードウェアの付属物であった時代には、プログラム自体の法的保護の必要性は低かったが、ハードウェアと切り離されてプログラムが独立した財として価値を有するようになると(アンバンドリングと言われている)、プログラム自体の法的保護が必要となり、その方法を巡って大論争が生じた。具体的には特許法的アプローチと著作権法的アプローチの対立であった。

(中略)

結局、アメリカからの強い圧力もあり、通商産業省は新規立法を断念し、昭和60年にプログラムを著作物と認める著作権法改正が成立した。そしてプログラムを著作権法で保護するという点については現在では国際的に決着がついており、この論争に一応の終止符が打たれた。プログラムのようなものが著作権法システムに馴染むものか否か、という点について疑問はあるものの、著作権法が改正されてプログラムを取り込んだ以上、著作権法の枠内でいかにして妥当な解釈をすべきか、更にはプログラムをも飲み込んだ著作権法の体系をいかに再構築すべきか、という議論が必要となろう。

 

著作権法 第3版」 中山信弘著 有斐閣 133頁

 

プログラムの異端な感じが

伝わってきますね。

 

ただ、プログラムを著作物

とするのは国際調和にかなう

もののようです。

 

著作物の定義は

 

 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

 

でした。

 

プログラムの著作物は、

文芸、学術、美術又は音楽の範囲

のうち、学術の範囲に属する

ようです。

 

4つの中では一番

しっくりくると思います。

 

プログラムが著作物であるためには著作物の一般的要件を満たす必要がある。プログラムであればほぼ学術的といえようが、個性については問題がある。プログラムの著作物に要求される創作性の概念を、美術・音楽・小説の場合と同一に考えるべきか否かという点については議論があるところであるが、プログラムについても、他の著作物と同様に、創作者の何らかの個性が現れていれば足りると、一般的には考えられている。しかしながら、プログラムについては人格的な意味での個性は考えにくく、選択の幅という考え方が最も妥当する分野であろう。プログラムによっては選択の幅が極端に狭い場合や、ごくありふれている場合、誰が作成しても同じあるいは類似のものとなるようなプログラムの場合には創作性が否定されることになろう。多くの判決においては、一般論は別としても、あてはめの箇所では選択の幅が実質的に決め手になっているように思える。

 

 

著作権法 第3版」 中山信弘著 有斐閣 137頁

 

こちらでも、

プログラムの著作物は、

学術の分野に属する

ことが確認できました。

 

異端な感じの

プログラムと

既存の著作物が

どう取り扱われるのか?

 

気になるところでは

ありますね。

 

意外にも、

「選択の幅」という

共通の判断手段が

使えそうとのことです。

 

そして、判例でもよく

見かける言葉ですよね。

 

昔の判例を熟知出来て

いませんが、判例

研究すると、

 

「選択の幅」が

よく出てくるという

潮目が分かる時が

ありそうですね。

 

新しい創作性の概念として

下記の記載があります。

 

新たに統一的創作性の概念を確立するならば、それは現在における著作権法の趣旨から導く以外にない。著作権法の目的は文化の発展にあるが(1条)、既に縷々述べた通り、著作権法の構造から、文化の発展とは思想・感情の表現である情報の豊富化にあると考えるべきである。情報の豊富化が著作権法の目的であるとするならば、その趣旨に従い、創作性の概念を、「思想・感情の流出物」としての個性ではなく、「表現の選択の幅」と捉えるほうが妥当であろう。すなわちある作品に著作権を付与しても、なお他のものには創作を行う余地が多く残されている場合に、創作性があると考えるべきである。つまり作品それ自体のみで創作性を判断するべきものではなく、他者の行為可能性と関連において判断されるべきである。そのような考え方は、単に表現の豊富化に資するという著作権法の理念に合致するだけなく、「表現の自由」という憲法の理念にも合致するものである。

(中略)

表現の多様性こそ、著作権法の究極の目的と言えよう。このような観点からも、創作性を「表現の選択の幅」と捉えることは有意義であると考える。

(以下省略)

 

 

著作権法 第3版」 中山信弘著 有斐閣 71頁

 

 

著作権法の目的に、

文化の発展とあります。

 

文化の発展とは

思想・感情の表現である

情報の豊富化にある

 

という考え方もできる

のですね。

 

こうした場合に、

「表現の選択の幅」

がなんともうまく

合致する。

 

誰がこのように仕組んだ

のでしょうか。

 

たまたまなのでしょうか?

 

上手くあてはまっている

気がします

 

まとめに代えて本日の痒い所

 

  • プログラムが著作物の一例に含まれているのには異端な感じがする

 

  • プログラムが著作物に含まれるようになったのは、外圧(国際調和)である

 

  • プログラムが著作物に含まれるようになり、創作性の概念に変化が必要であったが、結果、より著作権の法目的に叶う新しい創作性の概念が誕生した

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

今週も知財の雑談を楽しみましょう。

今週も著作権の雑談はいかがでしょうか?

 

リッキー

 

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