IP RIP ~チザイの雑談~

知的財産(Intellectual Property)の「かゆいところに手が届く(Reach the Itchy Place)」お話です。

弁理士「弁理士になるまでにかかる費用」「マータ」

みなさん、こんにちは。f:id:discussiong1:20200717235637p:plain

https://twitter.com/b8L18UnY7nPd5NC

 

 本日(2020年9月20日)は、弁理士試験の短答式試験ですね。今年は、コロナの関係で試験日が延期されるという異例の事態がおき、受験生の皆様にとっては勉強のスケジューリングやモチベーション維持に大きな影響があったのではないでしょうか?

 

 私は、短答式試験を初めて受けた年が、合格ボーダーに1点足らず不合格で、翌年ボーダーと全く同じ点で受かりました。1点の重みを非常に感じた試験でした。

 

 試験に落ちてしまうと、また1年、予備校費用などがかかるので家族にも申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

 

 ということで、今日は、弁理士試験とお金について書いてみたいと思います。

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1.合格するまでにかかる費用

<予備校費用>
 どんな資格もそうかもしれませんが、何といっても一番かかるのが、予備校費用ではないでしょうか?例えば、大手のLEC東京リーガルマインドさんでは、「1年合格ベーシックコース」が約50万円前後かかります(なかなか勇気のいる値段ですね!)。

https://online.lec-jp.com/disp/CSfLastPackGoodsPage_001.jsp?GOODS_NO=100147571

 こちらのコースは、1年で合格を目指すコースです。しかしながら、弁理士試験の短答・論文・口述式試験の3つの試験を1発で合格するのは非常に難しく、最終合格までの平均受験回数は4回ほど(つまり4年ほどかけて)なので、もっと費用がかかることを覚悟した方がいいです。一方で、短期合格を目指すならやはり予備校に蓄積されたノウハウなどは必須であり、私の周りでも短期合格者は合格に必要な講義をしっかり見極め、費用を惜しまず投資されていました。中には独学で学んでいる人もいましたが、やはり受験期間が長期化する傾向があったと思います。

            アメリカのスクールバスのイラスト

<書籍費用>
 四法対照法文集や短答・論文・口述式試験の各試験の過去問題集など、必要なものをすべて集めると数万円になるかと思います。また、受験期間が長期化し、その間に知的財産法の法改正等があると法文集などを買いなおす必要があります。

 

<受験にかかる費用>
 弁理士試験の受験手数料は、12,000円です。ただ、試験が実施される場所が下記の通り限られているので、移動費や宿泊代がかかってくる方もいらっしゃると思います。

短答:東京、大阪、仙台、名古屋、福岡
論文:東京、大阪
口述:東京

 

2. 合格後にかかる費用
 短答・論文・口述式試験を受かったらすぐに弁理士になれるというわけではなく、まず日本弁理士会が主催する「実務修習」という研修を受ける必要があります。この研修の手数料に118,000円かかります。そして、弁理士として登録するために、登録免許税60,000円、登録料50,800円(登録月会費15,000円を含む)を納付する必要があります。いきなり20万円近くの費用が必要になることになります。さらに、弁理士資格を維持するためには毎月15,000円日本弁理士会に納付する必要があります(年間18万円)。
 

 こうした費用を現在勤務している会社や特許事務所が負担してくれるかどうかは結構重要なことなので、事前に調査しておく必要があると思います。私の知り合いの中には、上記費用をすべて会社負担にしてくれた上に、実務修習への参加も会社の業務範囲内で行かせてくれたという人もいれば、会社負担がないため全て自分で払っているという方もいました(知財部に所属していても、会社負担の制度がない企業もあるみたいですね)。他には、「自分が弁理士として登録することで、会社にこんなにメリットがあります!」ということを上司にプレゼンして、会社負担してもらえるような新しい社内制度をつくってもらったという強者もいました。

 

3. その他(受験費用を抑える工夫など)
 弁理士試験や、その合格後にも結構なお金がかかるというお話をしてきましたが、受験費用を一部補助してくれる制度もあります。その一つが、「一般教育訓練給付制度」という制度で、申請により受講費用の20%(最大10万円)がハローワークから支給されます。支給対象者の要件を満たす方は是非申請しましょう!
https://www.tac-school.co.jp/kyufu.html
(資格のTACのホームページより)
 また、弁理士試験に興味を持った時に、いきなり高額な予備校のコースを申し込むのではなく、そもそも自分がこの試験に向いているのか?意欲を持続できそうか?等を調べる期間があってもいいと思います。例えば、中古の参考書などを購入して1か月だけ勉強してみるとか。向いてないなーとか興味がわかないなと思ったら早々に撤退するのも戦略だと思います。高額な予備校のコースに参加してみたものの、途中でやめていった受験生も結構見てきました。

 

4. まとめ
 ここまでまとめたように、弁理士になるためにはそれなりの投資が必要だと思います。私自身は、弁理士になったことで非常にメリットを感じることが多く、本当に取得してよかったと思っています。それは、仕事の面でもそうですが、弁理士試験や弁理士資格を通じて出会えた人、自分の勉強習慣、一つのことを成し遂げる力など、様々です。一方で、知的財産に関わる資格は弁理士資格以外にも様々あるようです(知的財産管理技能士、ビジネス著作権検定など)。広い視野で色々検討してみるのもいいかもしれません。