こんにちは。
昨日、今話題の「ジブリ画像」でこのブログのアイコン画像を設定してみました。
というのも、先日（9/18）ジブリHPで、ジブリ作品の場面写真の提供が発表されたんです。しかも「常識の範囲でご自由にお使いください」とのこと。
早速利用させていただいた訳ですが、「常識の範囲」ってどこまでＯＫなの？？
そこで今回は、実際に「ジブリの画像を使ってみる！」場面を想像しながら、この「常識の範囲」について考えていきたいと思います。
＜はじめに＞
これからお話しする例は、鈴木敏夫さん（スタジオジブリ・プロデューサー）のラジオ番組（以下参照）を拝聴した上での、ボクの私見です。
https://www.tfm.co.jp/asemamire/index.php?itemid=168899&catid=168
https://www.tfm.co.jp/asemamire/index.php?itemid=169357&catid=168
鈴木さんやゲストの方は、今回の画像の提供について、上記ラジオ番組でこんなことをおっしゃっています。（ボクの解釈）
・作品を大切に育ててくれた方々（ファン等）に恩返しがしたい。
・作品が永く生き続けるために今のうちからできることをしたい。
・作品を貶めること（誹謗中傷）はやめて欲しい。
・（厳密な線引きは難しいが）商用利用はやめて欲しい。
これらを踏まえてお話していきます。
＜例１：アイコン画像に設定したい！＞
【結論】ほぼＯＫ
今回のボクたちのパターンです。実際、アイコンに設定する際には、元画像をダウンロードしてきて、それをトリミングしてから、アップロードしています。
（元画像）
↓
（トリミング後）
ここで注意したいのは以下の点です。
- 「トリミング」は、同一性保持権侵害（著作者（≠著作権者）の意に反した改変）になるおそれがある。
- アップロードしている（公衆送信権侵害のおそれ）。
- 対象のサービス（SNS等）によっては収益（広告収入等）が発生することがある（商用利用？）。
上の２つは、今回の画像提供の趣旨からすればＯＫでしょう。３つめの「商用利用」についても、その画像自体が収益の源泉になっていないのであればＯＫと思います（収益の源泉は自身で作成したコンテンツ（動画等）である場合）
ただ１点、「トリミング」について、「作品を貶めない」という観点からすると、例えば、残酷な描写や卑猥な描写（ジブリではあまりないと思いますが）が含まれる画像について、その部分を殊更強調するようなトリミングはＮＧだと思います。
＜例２：オリジナルグッズを作りたい！＞
【結論】ほぼＯＫ（売るのはＮＧ）
今回提供された画像を使って、オリジナルのキーホルダーやクッションを作ったり、Ｔシャツにプリントしたりするのも楽しそうです。
ここで注意したいのは、以下の点です。
- 作ったものをどのように使う？（私的利用との関係）
- 作ったものの写真をSNS等にアップ（公衆送信）するのはＯＫ？
- 売ってもいいの？（商用利用？）
「私的利用」との関係
まず１つめについて。そもそも著作権法には「私的利用（個人的または家庭内相当の範囲での利用）」のための複製（コピー）はＯＫという規定があります。要するに、「私的利用」の範囲なら、特に今回のようなお墨付きがなくてもオリジナルグッズを作ること自体はＯＫなんです。
そのため、「私的利用」を超える範囲での利用について考えたいと思います。例えば、あるグループでお揃いのＴシャツを作る場合。数やメンバーの構成にもよりますが、あるメンバーが１人で作って全員にバラまく場合は、「私的利用」を超える可能性もでてきます。また、多数のメンバーが公のイベントにそれを着て参加する場合、「個人的」な使用から外れる可能性もあると思います。
そのような利用も含め、今回の画像提供の趣旨からすればＯＫかと思います。ただ、上記のグループＴシャツの場合、メンバーのＴシャツを作った人が、メンバーに実費以上のお金を要求する（実質的に売っちゃう）と、「商用利用」になる可能性があるので注意しましょう（手間賃くらいは乗っけてもいいと思いますが）。
グッズの写真をアップすることについて
２つめについて。ここはちょっとややこしいですが、「私的利用」のために作ったグッズでも、それを写真に撮ってSNS等にアップすることで、元画像の複製権や公衆送信権の侵害となるおそれがあります。例えば、元画像を精密にプリントしたグッズを写真に撮ったら、ほとんど元画像と同じ画像ができてしまいます。
（元画像）
↓
（グッズのプリント部分）
↓
（SNSにアップ（元画像?!））
この点も、今回は元画像の提供があるのでＯＫかと思います。このように、作ったグッズを堂々とアップできる、というのは今のご時世ではかなり嬉しいことではないでしょうか。
作ったグッズを売ってもいいか？
最後に、「作ったグッズを売ってもいいか？」ですが、これはさすがにダメかなと思います。ラジオ番組の中でも「商用利用はやめて欲しい」との発言がありましたし、今回の画像提供の趣旨からすると、「文化的に豊かに・楽しく使う」というのがメインで、特定の人が「経済的に豊かになるために使う」というのとは違うかなと思います。
＜例３：画像を使って大喜利をしよう！＞
【結論】ほぼＯＫ
今回の画像提供を受けて、Web上では「ジブリで学ぶ○○」というテーマで、大喜利のようなものが繰り広げられているようです。ちょっと見てみましたが、Twitter「#ジブリで学ぶ主婦業」とか、めちゃくちゃ面白い、、、
さて、ここで注意したいのは以下の点です。
上の点については、例１＆２でもお話してきたように、今回の画像提供の趣旨からすればＯＫだと思います。「常識の範囲」でこれらを許可してくれていると考えられますので。
「引用」との関係
下の点については、どちらかというと今回のような画像の提供がなかった場合の話です。そもそも今回の画像提供がなくても「引用」として許されていたのでは？という点についてです。
著作権法では「公正な慣行に合致し、かつ報道・批評・研究等の目的上正当な範囲内」で公表された著作物の利用を認めています。よくブログ中でも、他人のコメントや写真が貼り付けてあります。それによって、ブログの内容（報道や批評等）がとても分かりやすくなります。
要するに、このような「引用」として認められるためには、上記のような条件を満たした上で、自らが作ったメインとなる著作物（ブログの文章等）がないとダメです。そして「引用」することにある程度の必然性（引用しないととても分かりにくい等）があることも必要です。
そう考えると、「ジブリ大喜利」は、今回の画像提供があって初めて可能になったものだと思います。主婦業のあるあるネタを言うのに、ジブリ画像を添える必然性はない（「引用」は認められない）と思うからです。ジブリに対して感謝の気持ちをもって「ジブリ大喜利」を楽しむとともに、ここでも作品を貶めるようなネタは投稿しないようにしたいです。
＜おわりに＞
ちょっと長くなりましたが、ボクは今回のジブリの試みはすごくいいことだと思います。「常識の範囲でお使いください」というのも、粋ですし、少し不親切な感じもしますが、ボクのような一般人に著作権について考えて欲しいという想いもあるのかなと思います。
また、今回の「常識の範囲でお使いください」というのは、「常識の範囲で使ってくれるなら文句は言わないよ」ということであって、著作権を譲ってくれた訳ではありません。あくまで、権利者はジブリであって、そこへのリスペクトや作品への愛情を持って使っていくことが大切だと思います。
このような試みが著作権者側にとっても、ユーザーにとっても有益だということになれば、今後追従する作家・企業も出てくるのではないでしょうか。それこそ著作権制度の目指すところかな、という気がします。
「作品を貶めるような使い方をするんじゃないよ！！」
「売っちゃダメだ！！（商用利用はダメ！！）」
こうやって画像を使いながら書くと楽しいですね。映画もまた見たくなってきました。
まさにジブリの狙い通りかも 笑
