みなさま、こんにちは。
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知財業界には、博士号をもっている方が結構いらっしゃるかと思います。
私は、学生の頃から博士号を持った弁理士に強い憧れがあり、いつかは自分もそうなりたいとぼんやり思っていました(理由は過去記事でも書かせて頂きました)。
しかしながら、学生時代に博士課程に進む勇気までは持ちあわせておらず、修士卒で企業の研究職に就きました。ただ、幸運なことに弊社には働きながら博士号や弁理士試験に挑戦する人が結構いました(入社後知りました)。そこで、自分も是非挑戦してみようと思うようになりました。
今回は、私が企業に勤めながら博士号をとったときのお話をしたいと思います。
私が取得したのは、『課程博士』ではなく自分の論文を大学に提出して学位を授与して頂く『論文博士』になります。両者の違いは、色々な人が記事にしていますので是非そちらもご覧いただければと思います。
それでは、宜しくお願い致します!
《申請先について》
まず、論文博士の申請先ですが、通常は出身大学か自分と何らかの繋がりのある大学になると思います。大学の先生方は非常にお忙しいなか、分厚い論文をチェックし、ほぼボランティアに近い形で審査してくださるため、ある程度の繋がりや信頼関係が必要です。わたしの場合は、数年前から共同研究を行っており、共著論文も何本か出させて頂いている大学の先生にお願いしました。その先生のご協力のもと、色々と段取りをして頂きました(後述する主査や副査を担当して下さる先生への審査依頼など)。本当に感謝してもしきれないです。
《博士論文の基礎となる論文は?》
論文博士を取るためには、基礎となる論文が必要です。わたしの場合は過去に執筆した複数の英論文(ファーストオーサー)を用いました。これらを日本語で1本の博士論文としてまとめ直す必要があります。 基礎となる論文の本数や雑誌の基準(レベル)は大学によって異なるため、あらかじめ規定などを調べておくことが必要です。6本くらいの英論文を求められる大学もあります。
《費用について》
申請費用も大学によってまちまちです。大学によっては、50,000円とか、100,000円の所もあるようです。某国立大学では、申請の手引きに160,000円と書いていました。
《期間について》
自分の場合は、受付、要旨の登録、口頭発表、論文提出、面談などなど、色んな工程がありまして、トータルで大体半年かかりました(基礎論文自体の研究や執筆に費やした期間は除いています。こちらには数年間かかっています)。
《どんな審査がされる?》
審査は、メインで審査をして下さる主査の先生(1名)と副査の先生(3名)の計4名によって行われました。その先生方の前で口頭発表を行ったり、個別に面談をしていただいたり。その過程で色々な質問を受け、論文に修正を加えました。
《製本について》
最終的に論文の内容が認められると、製本という作業があります。 何冊製本するかは人によって違うと思いますが 、わたしの場合は、10冊未満でしたので20,000円程度でした。これを論文を審査して下さった主査や副査の先生や、お世話になった会社の上司、そして自分の両親などに配りしました。
《振り返り》
非常に骨のおれる作業でしたが、学生時代から夢見ていた博士号を取得でき大きな達成感を感じたことを覚えています。入社後、長い間こつこつと論文を執筆してきてよかったと思います。現在、企業で研究をされている若手研究者の方は、博士号取得に関して私のような『論文博士』という道もありますので、是非視野にいれてみてはいかがでしょうか?
最後までお読みいただきありがとうございました!