IP RIP ~チザイの雑談~

知的財産(Intellectual Property)の「かゆいところに手が届く(Reach the Itchy Place)」お話です。

「J-Platpatを使ってみよう! ~ちょっとしたコツとともに~」【MI】

こんにちは。

 朝晩はだいぶ涼しくなってきて、過ごしやすい季節になってきましたね。趣味のランニングも、8月は雨と暑さとでなかなかキツかったですが、ようやく距離もペースも上げていけそうです。

 さて、今回は「J-Platpatを使ってみよう!」ということで、J-Platpat自体やその使い方が分かるサイトを紹介しつつ、ちょっとしたコツをお伝えしたいと思います。よろしくお願いします!

 

 

J-Platpatって?

 独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)が提供する「無料の」産業財産権(特許(実案含む)・意匠・商標)情報の検索サービスです。有料のデータベースを契約していない中小企業や個人の方は、特許とかの情報を調べるときはこの「J-Platpat」を利用することになると思います。

特許情報プラットフォーム|J-PlatPat [JPP] (inpit.go.jp)

 基本的な使い方についても、マニュアル等が無料で公開されています。

[INPIT]パンフレット・マニュアル・講習会テキスト等の提供 | 独立行政法人 工業所有権情報・研修館

 

コツ1 ~出願人や発明者の名前で調べる(特許・意匠)~

 上記のサイトで「J-PlatPat調査例(1) 特許・実用新案 技術の内容で検索する」とあるように、「技術の内容」で検索するのが王道だと思います。

 ただ、新たに共同開発(特に中小企業や大学の先生と)する場合や、既製品をちょっぴりパクった製品を作りたいという場合、その会社(個人)がどんな権利を持っているかをピンポイントで調べたいことがあります

 そんなときは「特許・実用新案検索」の検索項目のうち「出願人/権利者/著者所属」や「発明者/考案者/著者」を使います。

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 このとき気をつけたいのが、個人名(中小企業の社長さんや大学の先生等)を使う場合です。個人名については、姓と名の間にスペースがあることがあります。そうすると、例えば、姓が「○○」で名が「△△」の場合、キーワード欄に「○○△△」と入れると、間にスペースがある場合は引っかからず、「○○ △△」と入れると、氏名に「○○」か「△△」のいずれかが含まれるものが全て引っかかってしまいます。

 そのため、「○○△△」と「'○○?△△'」(シングルコーテーションで囲む+スペース等を1つ含む意味の「?」を入力;記号は全て半角で)を両方検索(スペースを空けて一緒に入力)するようにしましょう。

 

コツ2 ~出願人や発明者の名前で調べる(商標)~

 商標の場合はさらに注意が必要です。商標も検索ページの少し下にある「その他の検索キーワード」欄から出願人等による検索ができますが、商標の場合、原則キーワードは「完全一致」である点に注意が必要です(特許の場合は部分一致)

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 そして、前方一致の場合は「○○?」(後ろに「?」を付ける)とし、後方一致の場合は「?△△」(前に「?」を付ける)とする必要があります。

 そのため、姓と名の間のスペースの有無による検索漏れを避けるためには、左下の「+追加」で欄を増やした上で、一方に「○○?」を、もう一方に「?△△」を入力してみましょう。

 これは、会社名で検索する場合も同様です。例えば、トヨタ自動車さんの商標を調べたいときは、「トヨタ自動車株式会社」と入力するか、「トヨタ?」(これだとトヨタホームさんとかも引っかかります)や「トヨタ自動車?」と入力する必要があります。

 

コツ3 手軽にリストを作りたい!

 上司への調査結果報告のためにリストを作りたい、という要望をいただくことがあります。しかも、上司に見せるだけなので、出来れば手軽に(無料で、、、)と。。。そんなときは、古典的な方法ですが「エクセルにコピペ」で対応しちゃっています。

 検索結果として出てくる表部分をコピーして、エクセルに貼り付けるだけで簡単なリストができてしまいます。(以下の例は、出願人等「グーグル」での検索結果。)

 まず、ドラッグ等で必要な部分を選択します。

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・・・

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 選択した部分をコピーしてエクセルに貼り付けます。(「貼り付けオプション」で「貼り付け先の形式に合わせる」で貼り付けた状態です。)

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 あとは、不要なところを消して仕上げます。簡単ですが、最低限必要な情報(出願日や登録日、FI情報も)はカバーできているので、意外と使えます(むしろ、余計な情報が入った有料データベースのリストよりも見やすいことも)。

 

おわりに

 特許等の調査は、突き詰めるとそれで飯が食えてしまうくらい奥が深いです。そんな話も先行してか、「調査してみてください」とか「J-Platpat使ってみてください」と言っても、尻込みしてしまうクライアントや担当者さんが多いです。

 知財の裾野を拡げるためには、たくさんの人に知財情報に触れてもらうことが必要だと思います。J-Platpatも改良が進んで使いやすくなっています。是非、一度使ってみてください!先ずは、友達や家族の発明を「発明者」名の検索で見つけてみてはどうでしょうか?

 本日も最後までお読みいただきありがとうございました!