週末は日中真夏日になる地域も多かったかと思いますが、朝晩は着実に気温が下がってきましたね。9月半ばがより涼しかった気がしないでもないです。さて9月14日に特許庁審査第一部意匠課より「改正意匠法に基づく新たな保護対象等についての意匠登録出願動向」が発表されていました。
https://www.jpo.go.jp/system/design/gaiyo/seidogaiyo/document/isyou_kaisei_2019/shutsugan-jokyo.pdf
どの意匠がどの数値に対応するでしょうか?
本日は、令和元年意匠法改正を振り返りながら、令和3年9月1日時点での意匠登録出願動向を見ていきたいと思います。
1.令和元年意匠法改正の振り返り
令和元年意匠法改正では、いろいろな改正がありましたが、改正の目玉の1つは、新たな保護対象であったと思います。
<改正前>
・物品(不動産等を除く)
<改正後>
・物品(画像、建築物を含む)
・内装
これにより、物品がその機能を発揮できる状態にするために行われる操作に使われる等、保護対象に制限が設けられていた画像も、制限が撤廃されました。また、従来から意匠法の保護対象は、動産で、不動産が除かれていましたが、建築物も保護対象になりました。そして、建物の内装も保護対象になりました。
2.初めて登録された、新しい保護対象の登録意匠
昨年(2020年)の11月2日に、建築物、内装の意匠についてニュースリリースがあり、11月9日には画像の意匠についてニュースリリースがありました。どのような意匠であったかご記憶にありますか?こちらも復習していきましょう。
(1)画像の意匠
https://www.meti.go.jp/press/2020/11/20201109002/20201109002.html
バイクから道路に投影されている緑色の画像が意匠登録の対象です。意匠にかかる物品の説明にはバイクや緑色との限定はありませんから、バイク以外の車両や他の色も登録意匠の類似範囲になるでしょう。この画像を見ると、未来を感じさせますね。
(2)建築物の意匠
株式会社ファーストリテイリング
東日本旅客鉄道株式会社
https://www.meti.go.jp/press/2020/11/20201102003/20201102003.html
話題なった建築物を簡単に模倣されないようにするために、建築物の意匠が保護できるようになりました。日本企業が外国に鉄道インフラを輸出しているから、駅舎の意匠を鉄道インフラを輸出した外国でも保護してくれるといいなと思いました。単に鉄道網の整備や車両だけでお金を頂くのではなく、駅舎からもお金を頂いているのでしょうか?頂いていていないならば、他国企業がまねのできない唯一無二の鉄道インフラを輸出してもらいたいなと思いました。
(3)内装の意匠
くら寿司株式会社
https://www.meti.go.jp/press/2020/11/20201102003/20201102003.html
企業が店舗等の外装、内装に特徴的な工夫を凝らして集客したり、自社製品を用いてオフィスを設計し顧客に提供したり、して売り上げ増を狙っていると思われます。一度は行ってみたいという気になりますから、内装の意匠の利用価値は高いと思われます。また、冷蔵庫や電子レンジを配置した台所、洗濯機を配置した洗面所、の内装の意匠も出ていると思われますが、こういうのは展示会で使用されるのでしょうか。展示会で展示差止みたいなことをされたら、売り上げや信用にダメージがありそうです。
3.意匠登録出願動向
以下に開示されています。
https://www.jpo.go.jp/system/design/gaiyo/seidogaiyo/document/isyou_kaisei_2019/shutsugan-jokyo.pdf
多いと思われ、出遅れたと思われるでしょうか?それとも、まだまだこんなものか、これから出願していこうと思われたでしょうか?
なお、「上記登録件数/上記意匠登録出願件数が登録率になるわけではありません」と注意書きがありました。意匠登録出願件数には、審査がなされていない意匠登録出願もあるから、「上記登録件数/上記意匠登録出願件数」で登録率を求めようとしても、実際よりも低くなるということでしょう。
4.まとめ
令和元年意匠法改正を振り返り、最初に意匠登録された画像の意匠、建築物の意匠、内装の意匠を見ました。最後に、令和3年9月1日時点での意匠登録出願動向を見ました。私自身の反省ですが、法改正があったときは注目していますが、しばらくすると違うものが気になっていてなかなか継続して注目するのは難しいかもしれません・・・、半年ごと、1年ごとに復習してみるのもいいかなと思いました。