IP RIP ~チザイの雑談~

知的財産(Intellectual Property)の「かゆいところに手が届く(Reach the Itchy Place)」お話です。

特許「特許行政年次報告書(気になった部分を少しだけ)」[らるご~]

特許事務所勤務のらるご~です。お盆前に少しだけ仕事の波が到来していたのですが、粛々とこなして今週末は穏やかな気持ちで過ごしています。

さて先月末に2022年版の「特許行政年次報告書」が公表されましたね。

本日は、その中でも気になった部分について少しだけ考えたことを書いていきます。

 

1.特許出願件数の減少

      

特許出願件数が減少していることは、この業界で働く多くの方がご存知かとは思いますが、今年は昨年とほぼ同じ程度の件数に留まったようです。このまま下げ止まって、ここからは特許出願件数の上昇に期待!と言いたいところですが、人口減少中の日本では、そんな淡い期待を持たない方が良さそうですね。

 

2.特許権の現存率

      

恥ずかしながら、これまで「特許権が設定登録されてからどの程度存続されているのか(特許権の現存率)」について、あまり深く考えたことはなかったので、そんな自分にとって、このグラフは有益な情報でした。ざっくり解釈すれば、「10年間存続される特許権は約50%」「設定登録年数が長くなるほど特許権の現存率は低下する(当然)」と言ったところでしょうか。このグラフは、業界を区別せずに全特許権の存続期間に基づいて作成したグラフでしょうから、業界別で同様のグラフを作成すれば、特許権の存続期間が比較的長い業界と比較的短い業界が明らかになるんでしょうね。

3.特許出願件数と総R&D費の関係

続いて、このグラフでは、近年の特許出願件数の減少に反して、「総R&D費」は増加していることを不思議に感じました。総R&D費が増える→研究開発が盛ん→特許出願件数が増加、とはならないんですね。その原因としては、(1)研究開発の単位費用あたりに発掘される発明の数が減少している(技術の高度化?)、(2)昔より研究開発が盛んでも出願する発明は厳選している、のいずれかなのかと勝手に想像しました。

 

4.知的財産に投入される資本

  

最後に上記2つのグラフが気になりました。近年の特許出願件数は年々減少している傾向にあるにも関わらず、これらグラフによれば、知的財産に投入される資本(知的財産担当者&知的財産活動費)は年々減少してはいません(特に2017年~2018年で急激に上昇)。つまり、知財に対する企業のマインドは低下していないように思われます。特に、2017年~2018年の両グラフの数値の急激な上昇(知的財産担当者数は約25%上昇)について、この1年間には一体何かあったのでしょうか。誰か教えてください笑。

 

5.まとめ

以上、特許行政年次報告書の中で気になった部分を少しだけ考えてみました。同報告書では、今回紹介した情報の他にも沢山の情報が載っていて面白いのですが、個人的には、それら情報の各々に解説や一言コメントが併記されていると嬉しいです。しかし、そうした記載を望むのは無茶なお願いですよね…(情報の解釈の仕方は人それぞれですし)。

 

ここまで読んでいただきありがとうございました!

 

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