IP RIP ~チザイの雑談~

知的財産(Intellectual Property)の「かゆいところに手が届く(Reach the Itchy Place)」お話です。

商標「オンライン出願サービスを使ってみた ~使う際のアドバイス~」【MI】

こんにちは。MIです。

お盆休みいかがお過ごしでしたでしょうか?私も家族と楽しく過ごしましたが、お休み最終盤に体調を崩してしまい、復帰が少し遅れてしまいました。。。まだ暑い日が続くようなので、皆さんもご自愛ください。

さて、今回は、以前より興味があった「Toreru」さんや「Cotobox」さんといった「商標のオンライン出願サービス(以下、商標出願サービス)」を使う機会がありましたので、それに関する記事を書いてみたいと思います。お付き合いのほど、よろしくお願いいたします!

 

 

商標出願サービスを使った感想

 商標出願サービスを使ってみた感想は「ある程度知識があれば、とても簡単&安価に商標出願ができる!」ということです。クレジットカード決済もできるので、初めての取引や単発の出願でも便利です。商標出願サービスは既存の弁理士の仕事を奪うという意見もあり、確かに、その一面はあるかと思いますが、もうこれはしょうがないと思いました。むしろ、出願商標や指定商品・役務がある程度決まっているなら、こちらから利用をお勧めしてもいいくらいです。

 商標出願が全て商標出願サービスで済むようになってしまうと恐いですが、、、一定数、出願商標や指定商品・役務の選択が難しいものや、中間対応が心配なお客さんは既存の事務所経由の出願を継続するんじゃないかなと思っています。

 

商標出願の動向と商標出願サービスの利用

 先日公開された「特許行政年次報告書 2022 年版」によれば、2021年の商標の出願件数・登録件数は2020年比で増加しています。

特許行政年次報告書2022年版 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)

 このような動向の背景には、ECサイトが模倣品の排除等を目的として商標権の取得を推奨していることもあるかと思います。

(例えば、Amazonでは、「Amazonブランド登録」の資格要件として「ブランドには、文字または図形の有効な商標(登録保留中または登録済み)が必要」とした上で、「Amazonブランド登録の対象となるには、ブランドに登録を希望する国ごとの有効な登録商標が必要」としています。)

 既存の商品&既存の商標でAmazonに出店し、上記「ブランド登録」を受けるために商標登録を目指す場合、商標出願サービスの利用を検討してもいいかもしれません。

 

出願商標を決める際のポイント

 出願する商標(マーク)は、使用する商標をそのまま出願するのが望ましいです。例えば、商標制度には「標準文字」での登録制度があり、ロゴよりも標準文字の方が権利範囲が広いという話もありますが、必ずしもそうではありません。むしろ、下記の図をご覧いただき、商標権の専用権の範囲は商標および指定商品・役務が同一の範囲に限られることを理解していただきたいと思います。

商標権の効力 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)

 

指定商品・役務は事業範囲をカバーして!

 商標権は「商標(マーク)+指定商品・役務」で権利範囲が決まるため、「指定商品・役務」の指定は非常に重要です。極端な話、マークが全く同じでも指定商品・役務が全く違えば商標権の効力が及ばず、また、後願商標が登録される可能性があります。

初めてだったらここを読む~商標出願のいろは~ | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)

 指定商品・役務の指定ミスは、事業内容の変更や拡大・縮小があった場合や、担当者が変わった場合(前任者の誤解があった場合)によく起こります。特許庁の「類似商品・役務審査基準」やJ-Platpatの「商品・役務名検索」を参考に、しっかり検討してください。

特許庁の「類似商品・役務審査基準」

類似商品・役務審査基準〔国際分類第11-2021版対応〕 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)

J-Platpatの「商品・役務名検索」

商品・役務名検索|J-PlatPat [JPP] (inpit.go.jp)

 また、裏技(というほどでもないですが)としては、同じような業務をしている競合他社の商標登録内容を参考にしてみることです。事務所経由の出願ではまず競合について聞かれると思いますが、自身で指定商品・役務を検討する際は、知っておくといいと思います。

 

おわりに

 今回、商標出願サービスを使う機会があったのは、既存のお客さんからの相談からでした。結果、既存のお客さんは商標出願は当該サービスを利用することになったんですが、それを通じていろいろ考えることがありました。願わくば、そういったサービスを通じて商標出願の裾野が広がるとともに、事務所弁理士として必要なアドバイスをできるように準備していきたいと思います。

 本日もお読みいただき、ありがとうございました!

 

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