IP RIP ~チザイの雑談~

知的財産(Intellectual Property)の「かゆいところに手が届く(Reach the Itchy Place)」お話です。

著作『図書館等公衆送信補償金制度とその補償金の額』[リッキー]

5月になりましたね。1,2日に休みを取り大型連休にされている方もいらっしゃるのでしょうかね。つい2週間ぐらい前には天気が良くなさそうな天気予報でしたが、天気の良くないのは週後半だけになりそうですね。

 

さて、あと1か月を切りました!

 

何が?!

 

という感じでしょうか。

 

だいたい2年がかりだったでしょうか、『図書館等公衆送信補償金制度』が来月、令和5年6月1日より施行される予定です。

 

文化庁、一般社団法人図書館等公衆送信補償金管理協会(SARLIB)が申請した図書館等公衆送信補償金の額を認可 | カレントアウェアネス・ポータル (ndl.go.jp)

 

 

何が変わるのか?多くの報道があるので、ご存知の方も多いでしょうが、簡単に復習させてください。

 

もともと図書館では、蔵書のコピーサービスがありました。コピー代を支払って自分で図書館に備え付けの印刷機を使って、参考にしたい部分のコピーを取ることができます。

 

小学校の夏休みの自由研究で、コピーして壁新聞や何やらを作った記憶があります。

 

さて、自分でコピーする以外にも、図書館に依頼をしてほしい蔵書のページを指定して郵便でコピーを送ってくれるサービスもありました。郵送は認められていたものの、メール等でのコピーの送信は法律で認められていませんでした。

 

約2年前、著作権法が改正されて、図書館の蔵書のコピーをメール等でも送信してもらえるようになりました。とはいっても、まだ運用されていません。

 

約2年前は、コロナウイルスが流行してその脅威も大きかったので、なかなか外出もしにくかったですし、図書館も閉館していて、図書館の利用もままならない状態だったかと思います。

 

法律が改正されたのは、コロナウイルスが原因というよりかは、国民の情報アクセスを確保する観点から改正の議論が進んでいました。特に、研究者たちが論文を書く際に、さまざまな参考文献を用いながら論文を書きます。

 

その参考文献の中には、絶版の書籍などが含まれていて、引用したくても絶版の書籍を入手することはもちろんできませんから、何とかしてほしいと要望が多くあったのだと思います。具体例として書かれていましたし。

 

そして、東京在住であれば、蔵書の豊富な国立国会図書館にアクセスすることもできますが、地方在住ですとそう簡単にはいきません。

 

急速にデジタル化が進んでいる今日では、インターネットを介さないのは、支障がだいぶ大きいと思われます。そんなこんなで、著作権法の改正が進みました。

 

いくら?

 

さてこの制度の補償金の額はいくらなのでしょうか。こういうお金の話になると、目を見開いてしまいます(笑)。

 

こちらをみてみましょう。

https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/pdf/93860201_01.pdf

 

新聞、定期刊行物(雑誌含む)、書籍は、最低金額は500円です。

 

新聞、定期刊行物(雑誌含む)は、最初の1ページが500円、2ページ目以降は1ページ当たり100円。

 

定価のある書籍は、ちょっと計算が複雑ですが、計算式から500円に満たない場合には、500円に繰り上げされるので、最低金額が500円です。

 

上記以外は、1ページあたり100円とされていますが、1冊当たりの補償金の額が500円を下回る場合には、やはり500円に繰り上げされます。

 

実際の書籍を買うよりも割高に設定されていますね。

 

『図書館等公衆送信補償金制度』を使うには?

 

登録情報として、

  • 氏名
  • 連絡先
  • 住所

の登録が必要になりそうです。上述の登録情報を登録してから使えるようですね。

 

なりそうです、というのはまだ確定ではなく、現在パブリックコメントが募集されているからです。パブリックコメントの募集は4月21日から開始されています。パブリックコメントの募集はだいたい30日のものが多く、本件も、5月21日まで募集がされます。

 

「著作権法施行規則の一部を改正する省令(案)」に関する意見募集の実施について|e-Govパブリック・コメント

 

「住所」を登録させるのは、利用者が悪質な違法行為をした際に取り締まれるようにするためでしょう。

 

せっかくの便利な制度ですから、違法行為をしないようにしましょう。

 

こういった抑止策だけでなく、技術的処置により、利用者が著作物を不正に拡散できないように防止策を施したり、抑止策を施したりするようです。その詳細については、省令に委任させるようです。

 

具体的にどんな技術を使うのかはわかりませんが、電子透かしは著作権保護のために使われることを想定されているようですから、有力候補かもしれませんね。

 

電子透かし - Wikipedia

 

ダビング10のようなことがpdfのような電子ファイルにもできるのでしょうかね?どんな技術を使うのかに興味がありましたので、これらが記載されていないので、ちょっと残念です・・・。

 

これら2つの他、その他の省令への委任についてもパブリックコメントが募集されています。個人でも団体でも意見を提出できますので、興味がある方は試してみてはいかがでしょうか。個人の方であれば、匿名で出せますが、団体は、匿名不可です。

 

まとめ

 

『図書館等公衆送信補償金制度』について紹介いたしました。最低料金は500円からのようです。また、令和5年5月21日までパブリックコメントも募集されていますから、興味がある方は意見を出し見てはいかがでしょうか。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

リッキー



 

 

 

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