前回から、
建築の著作物を
見ていました。
モデルハウス事件
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/737/010737_hanrei.pdf
今回は、『国際版画美術館事件』です
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/634/091634_hanrei.pdf

国際版画美術館は、
東京都町田市にあります。
2025年1月5日(日)~
3月9日(日)までは、
1910年代の版画に
ついて特集展示がなされて
いるようです。
判決文を読んでいると、
事件の発端が見えてきます。
国際版画美術館は、
芦ケ谷公園にあります。
町田市は、
芦ケ谷公園を
『芸術の杜』を
テーマに再整備
すること考えて
いたようです。
工芸美術館を新設
するのに伴い、
国際版画美術館の
隣を選んだようです。
ついでに、
国際版画美術館も
改修することが
伝えられて、
債権者がこれに
反対したのが
経緯のようです。
そして、債権者は、
令和3年4月20日、
本件仮処分命令を
申し立てました。
さて、国際版画美術館
には著作物性が
認められたのでしょうか?
建築の著作物として
著作物性が認められる
ためには、
美術の範囲に属しな
ければなりませんでしたね。
美術の範囲に属する
ためには、美術鑑賞の対象
となり得る美的特性を
備えていなければ
なりませんでした。
検討された箇所を
みてみましょう。
- 版画美術館の壁は、直角に交わる大小様々な平面からなり、その東側は、連続的に直角に折れ曲がって雁行する形状となっている
- 版画美術館の外壁は、色合いの異なるレンガが積み上げられ、一定 の間隔ごとに、地面から屋根まで鉛直方向に、細長い灰色のコンクリートリブが設けられている
- 版画美術館の西側には、概ね丁字状の池及びその上段に位置する小さな池が版画美術館に接続するように設置され、人工的に引き上げた水が上段の池から流れ落ちる構造となっている
- 版画美術館内のほぼ中央に位置するエントランスホールのうち、吹き抜け部分は、その周囲の壁面に、床面から2階の手すり部分まで、柱と同色の大谷石が貼り付けられ、その天井に、天窓につながる12個の略正四角柱状の空洞が設けられている
どの部分が
美術の範囲に属する
と思いますか?
裁判所は、
少なくとも
2つ目と4つ目を
建物としての実用目的を達成するために必要な機能に係る構成とは分離して、美術鑑賞の対象となり得る美的特性を備えている部分を把握することができる
と認定しています。
続的に直角に
折れ曲がって
雁行する形状は、
よくありそうな
構造かなと
思います。
また、池の構造で、
上の池が美術館に
近く、
したから上の池に
水がくみ上げられる
構造も
よくありそうな構造
に思えました。
裁判所の発言に
勢いを感じないのは
そのせいでしょうか?
これで美術の著作物
にあてはまることに
なりました。
著作物性は、
他にも、
思想又は感情を伴うこと
創作性があること
表現であること
が要件として在りました。
表現であることは、
特に議論されず、
当たり前すぎだから
議論の余地がない
ということでしょう。
思想又は感情を創作的に
については、
下記のような一文が
あります。
さらに、「著作物」は、「思想又は感情を創作的に表現したもの」でなければならないから(同法2条1項1号)、上記の建築物が「建築の著作物」として保護されるためには、続いて、同要件を充たすか否かの検討も必要 となる。その要件のうち、創作性については、上記の著作権法の目的に照らし、建築物に化体した表現が、選択の幅がある中から選ばれたものであって保護の必要性を有するものであるか、ありふれたものであるため後進 の創作者の自由な表現の妨げとなるかなどの観点から、判断されるべきである。
創作性については、
『選択の幅』が
重視されることが
垣間見られます。
この事件では、
国際版画美術館は、
建築の著作物で
あることが認め
られました。
まとめに代えて本日の痒い所
- 美術の範囲に属するためには、美術鑑賞の対象となり得る美的特性を備えていなければならない
- 建築の著作物にあっても、創作性は、選択の幅が重視される
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今週も知財の雑談を楽しみましょう。
今週も建築の著作物をテーマに雑談するのはいかがでしょうか?

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