前回から支分権
の話をしています。
いちばん有名な
複製権にまつわる
裁判例を紹介して
いました。
ワン・レイニー・ナイト・イン・トウキョウ事件
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/243/053243_hanrei.pdf
ここにいう著作物の複製とは、既存の著作物に依拠し、その内容及び形式を覚知させるに足りるものを再製することをいうと解すべき
というのがあまり
にも有名なので
覚えておいて損
はありません。
複製に似た概念
として、翻訳、翻案
と言うのがあります。
(翻訳権、翻案権等)
第二十七条 著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。
翻訳はわかりやすい
ですよね。
言語の著作物を他の言語で表現
することです。
日本語を英語に翻訳
しますよね。
実務では特許をメインに
扱っていますので、
英文明細書を作成
することが多いです。
そして、直訳して
しまうと、表現したい
ことが異なることも
多々あるので、
慎重になっています。
さて、翻案は
どのようなことを
いうのでしょうか?
脚色、映画化、内面形式を維持しつつ外面形式を変える
ことをいいますが、
- 小説→漫画
- 小説→映画
- 漫画→映画
- 立体物→写真
- 写真→刺繍
具体例をあげると
分かりやすくなると
思います。
乱暴ですが、
著作物の種類が
変わったら、
翻案という理解でも
あながち、
間違いではありません。
コピー機で、
本のあるページを
コピーするのは
複製との認識は
あるかと思います。
現代では、
自分のスマホで、
本のあるページを
パシャリと
撮影することも
多いと思います。
これも複製ですね。
でもこれが複製ではなく、
翻案になることも
あります。
原作品からの変更箇所があった場合、
- 変更箇所に創作的表現が含まれていなければ複製
- 変更箇所に創作的表現が含まれていれば翻案等
創作的表現の有無で
複製になるか、
翻案になるか、
分かれます。
それでは
前置きが長く
なりましたが、
本日のメインである
江差追分事件について
見てみたいと思います。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/267/052267_hanrei.pdf
(1)【要旨1】 言語の著作物の翻案(著作権法27条)とは,既存の著作物に依拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ,具体的表現に修正,増減,変更等を加えて,新たに思想又は感情を創作的に表現することにより,これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいう。
ここが翻案の定義
としてあまりも
有名です。
そして,著作権法は,思想又は感情の創作的な表現を保護するものであるから(同法2条1項1号参照),【要旨2】既存の著作物に依拠して創作された著作物が,思想,感情若しくはアイデア,事実若しくは事件など表現それ自体でない部分又は表現上の創作性がない部分において,既存の著作物と同一性を有するにすぎない場合には,翻案には当たらないと解するのが相-当である
また、著作物性の
無い部分と同一性を
有するだけでは、
翻案に当たらない
というのも
セットで覚えたいです。
脱線しますが、
「江差」というのは
北海道にある江差町です。

江差町公式ホームページ(北海道檜山) - 北海道の里 追分流れるロマンの町
江差町が事件の舞台と
なりました。
江差町を紹介する
ナレーションが
翻案権侵害か否かが
争われました。
どんなナレーションだったのでしょうか?
(2) これを本件についてみると,本件プロローグと本件ナレーションとは,江差町がかつてニシン漁で栄え,そのにぎわいが「江戸にもない」といわれた豊かな町であったこと,現在ではニシンが去ってその面影はないこと,江差町では9月に江差追分全国大会が開かれ,年に1度,かつてのにぎわいを取り戻し,町は一気に活気づくことを表現している点及びその表現の順序において共通し,同一性がある。
ニシン漁で栄えたのは
事実なのでしょう。
また、江差町だから、
東京との比較
ではあっても、
江戸と表現した
のでしょうかね。
表現者のユニークさが
垣間見えます。
江差追分全国大会
というのもある
のですね。
現代も脈々と
受け継がれている
ようです。
これはのど自慢
なのですかね。
私には向いていない・・・。
また,現在の江差町が最もにぎわうのが江差追分 全国大会の時であるとすることが江差町民の一般的な考え方とは異なるもので被上告人に特有の認識ないしアイデアであるとしても,その認識自体は著作権法上保護 されるべき表現とはいえず,
ともあります。
これは風向きが
よくないですね。
認められませんでした。
同一性のある部分は、
創作性が無く、
表現上の本質的な特徴を
直接感得することはできない
そうです。
まとめに代えて本日の痒い所
- 言語の著作物の翻案(著作権法27条)とは,既存の著作物に依拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ,具体的表現に修正,増減,変更等を加えて,新たに思想又は感情を創作的に表現することにより,これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為
- 変更箇所に創作的表現が含まれていなければ複製
- 変更箇所に創作的表現が含まれていれば翻案等
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今週も知財の雑談を楽しみましょう♪
今週は、複製権、翻案権について雑談するのはいかがでしょうか?

★★IP RIPは、Yuroocleさんに参加させて頂いております★★