皆さんは、日本の特許庁で「旧姓と新姓の併記」ができるようになったのをご存じでしょうか?
令和3年(2021年)4月に導入された制度なので、スタートしてから5年ほどが経ちますが、先日、私の実務の中で「ついにこの事例に直面した!」という出来事がありました。
「え、戸籍名で書かないといけないの?」という発明者の驚き
事の始まりは、社内の研究開発部門から上がってきたある特許出願の案件でした。
今回の発明者である社員は、社内ではずっと旧姓(ビジネスネーム)で通している方です。名刺もメールアドレスも、これまでの研究実績もすべて旧姓。
しかし、特許出願の手続きを進めるにあたり、戸籍上の氏名(新姓)を確認する必要が出てきます。
本人に確認すると、「社内ではずっと旧姓で通しているのに、特許の書類になった途端、戸籍名(新姓)で書かなければいけないんですか!?」と、非常に驚かれていました。

法改正に伴い、特許施行規則も改正されていました。その趣旨は、
特許出願やこれに関連する手続等の書面に記載する自然人の氏名については、戸籍上の氏名を記載すべきであるところ、ユーザーからは、発明者等の氏名は、旧氏の記載を可能とするよう要望が寄せられていました。
近年では住民票やマイナンバーカード、運転免許証、旅券等の公的証明書においても旧氏併記を認めていることから、社会情勢の変化等も踏まえ、特許法等に定める手続書面に記載する氏名について、旧氏を氏に続いて括弧書きで併記することを可能とするよう規定を整備しました(特許法施行規則第1条第4項等関係)。また、特許庁長官等が必要と認めるときに、旧氏を証明する書面の提出を命ずることができる根拠規定を整備しました(特許法施行規則第1条第5項等関係)。
なるほど、発明者の意見と一致します。
研究者や開発者にとって、名前はこれまで築き上げてきた大切な「ブランド」です。
もし新姓だけで出願してしまうと、過去の論文や特許(旧姓)と新しい特許が検索で紐付かなくなり、同一人物の実績として評価されにくくなるというデメリットが生じてしまいます。ここが改正の趣旨なのかと思っていましたが、よ~く読んでみたら違いましたね。
そこで今回は、令和3年から始まった「旧姓・新姓の併記」を使って出願することにしました。これなら、過去の実績とも社内の活動名とも矛盾せず、キャリアの連続性を守ることができます。
知財部が果たすべき「マニュアル外」の役割
制度が始まって数年が経ち、手続き自体は定着してきた「旧姓併記」。
しかし、それを実際の現場で適切に適用するためには、社内の人間関係やキャリアの変化をキャッチできる「知財部の目配り」が不可欠ですんr。
効率的な出願手続きといったマニュアル通りの実務だけでなく、「発明者が不利益を被らないように、一歩先を読んで動くこと。受けられる恩恵は全部享受できるように図ること」。これも、社内知財の実務として重要だなと思います。
皆さんの会社では、発明者の「名前のブランド」、しっかり守れていますか?
まとめに代えて本日の痒いところ
- 「旧姓併記」初めて関わりました
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今週も知財の雑談を楽しみましょう♪
今週は発明者の使命の記載について雑談するのはいかがでしょうか?




