IP RIP ~チザイの雑談~

知的財産(Intellectual Property)の「かゆいところに手が届く(Reach the Itchy Place)」お話です。

「トイレットペーパーに隠された特許」【マータ】

みなさま、こんにちは。マータと申します。

マータ(博士/弁理士) (@b8L18UnY7nPd5NC) / Twitter

最近、こんなニュースを見ました。

2023.01.08(日)
ながーくなるトイレットペーパー、「6倍巻き」も登場 一部では特許をめぐって紛争も

news.yahoo.co.jp

 

長持ちするトイレットペーパーが流行中みたいですね。実際、ドラッグストアに行くと、1.5倍、2倍、3倍長持ちなど色々な商品を目にします。最近では、2ロールで一般的なトイレットペーパー1パック(12ロール)分に相当するものもあるようです。

 

長巻トイレットペーパーは、一般家庭にとって置き場所面積を減らせたり、お店からの持ち帰りにも便利ですね。また、トラックの積載効率向上により輸送時のCO2排出量削減包装資源も減少するなど、環境にもいい影響がありそうです。

 

このようないいことずくめに見える長巻トイレットペーパー、各社が競って開発しているようです。記事によると、昨年9月6日、日本製紙グループ日本製紙クレシアは、3倍巻きのトイレットペーパーの特許権を侵害されたとして、大王製紙に対し、製造・販売の差し止めや損害賠償などを求める訴えを東京地裁に起こしたとのことです。

 

日本製紙が販売差し止めを求めているのは、大王製紙2022年春頃から販売した「イーナトイレットティシュー3.2倍巻き」などの製品。

 

過去の記事には下記のように書かれています

長巻きだからときつく巻くと紙は中心ほど固くなり、柔らかさや吸水性を損なう。ふんわり感を実現するのが紙の表面に施すエンボス(凹凸)で、クレシアの特許の要。同社は21年に通常巻きから撤退、長巻きにシフトした。50件を超す関連特許を持つ力の入れようだ。(2022/11/1(火) Yahoo newsより引用)

https://news.yahoo.co.jp/articles/7c72958b2e2211e2182510f2fb2735ffe2f54ecc

 

また、本件に関する関連動画がYouTubeでも上がっていました。
今回の訴訟の背景などが分かって、とても面白かったです。

www.youtube.com

 

個人的に、J Plat Patで日本製紙クレシアさんの特許を調べてみると、長巻トイレットペーパーに関するものがたくさんでてきました。

※下記は、クレシアさんの長巻トイレットペーパーに関する特許(特許6150838)の一例です。(あくまで一例で、本件特許が今回の訴訟にかかわっているかどうかは分かりません。)

 

特許6150838の図面より引用

 

なかなか難しそうな技術がたくさん応用されてそう。。

日頃気軽につかっているトイレットペーパーですが、企業の技術力がつまった商品だったのですね!!。今後、ドラッグストアやスーパーに行くときは商品を見る目が変わりそうです。最後までお読みいただきありがとうございました!!!

 

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弁理士『他業界と弁理士業界の比較』 [リッキー]

クリスマスも過ぎ、もういくつ寝るとお正月という時期になりましたね。あまり堅い話にならないようにしたいと思います。

ヘッドスパ



年内最後のヘアカットへ美容室に行ってきました。美容師さんは、カットしながらいろいろと話をしてくれますが、いろいろなお客さんがいるから引き出しの広さが求められてしまうから大変そうだなといつも思います。(中には話しかけられるのが嫌だから話しかけないでとウェブ予約の時にコメント欄か何かに書いていたけど、結局話をされたみたいで憤慨されてSNSに書き込まれていた人もいましたが、なかなか話をしないというのが難しい性なのでしょう)

 

その中で面白い話をしたので、ちょこっとシェアさせていただきたいなと思います。トピックスは、「シェアサロン」と「人材不足」です。

 

シェアサロン

 

シェアサロンは、シャンプー台やカットするときの座席など美容室の設備をレンタルしてくれる施設だそうです。外見からはわからないのですが、私がお世話になっている美容室から美容室最寄りの駅までの途中にある美容室の中にもシェアサロンが紛れているとのことでした。

 

コロナが流行して警戒感が強かった時期などは、カットやカラーに来るお客さんがいつもより間隔を空けてカットやカラーに来るようになり、売り上げもきつかったそうです。そのような頃にこのシェアサロンが流行りだしたみたいでした。やはり、箱物の商売ですので、出店する際の初期費用が数百万かかるでしょうし、賃貸費用なども高いので、そこを抑えるのが目的のようでした。

 

デメリットは、忙しくなったとしてもアシスタントが必要となった時には自分でアシスタントを雇わなければならないとのことでした。シェアサロン内にいる美容師さんはフリーランス同士ですので、ちょっと手伝ってみたいなことが今まで見かけた美容室のようにはできないことだそうです。

 

一方、弁理士には、シェアオフィスというのが存在しないのかというと、ググってみればすぐわかるのですが、あります。やはりメリットとしては、初期費用を安く抑えられることです。ほかの業種に比べれば、弁理士はPCの作業がほとんどですからもともと初期費用が安い部類には入るとは思いますが、それでもまだまだメリットがあるようです。一方、デメリットとしては、面談をする場所が共用スペースだと情報セキュリティの面でお客さんに不安がられることです。会社でも管理職が事務所を訪問しているのですが、訪問の際に、情報セキュリティの面でうちは大丈夫ですと説明を受けるそうです。それだけ、情報セキュリティに気を配らなければならないのが美容師業界との違いであるのかなと思います。

 

また、合格同期が経営している事務所では、もちろん本人(所長)がいますが、フリーランス弁理士が所属しているそうです。事務員の方もいて、事務員の方はどの弁理士の案件でも事務を行ってくれるようです。シェアサロンと同じような経営形態だなと思いました。

 

脱線しますが、その所長は、自分でももちろん出願書類の作成をするのですが、仕事も企業から取ってきます。ただ、その仕事を所内で分配しようとしても、なかなか手が上がらないと嘆いていました。それだけ各弁理士が出願案件を抱えていて、尚且つ出願案件が溢れているのだから、経営としては結構なことではないかと思いましたが。

 

人材不足

 

もう一つは、人材不足の話です。12月、美容師の給料が低いという内容の業界自虐ネタの記事が出ていたそうです。新人の美容師の手取りが14万円ぐらいと聞いたのですが、話をよく聞くと、そこから国民年金保険料、社会保険料が引かれ、さらに、練習用のマネキン代、美容師に欠くことのできないハサミのローン支払いもあるらしいです。そう聞くと、それは大変だなと思ってしまいます。

 

給料が低いという記事が出回っている中、美容師の人材不足という情報も出回っているそうです。人材余りであるから、パイの総量が決まっていれば給料が低くなることはよくわかります。でも、一方では人が余っているという話で、他方では人が足りないという話だそうです。どの業界でもある話なのかなとは思いますが。

 

それでも「人材不足」は悪い話ではなくて良い話ですよねと話をしました。人材不足であれば、単純には、その人の希少価値が増しますから結果として、雇われる人の給料が上がる方向になるはずだからです。(←雇われる側の人間(=私)の意見)

 

この12月も燃料費高騰や生活必需品の高騰で生活が厳しくなるとか、防衛増税が必要だとかまだまだ消費税増税が足らないだとか、ニュースが飛び交っていますから、給与の増額は待ったなしの緊急の課題です。となると、人材不足の話がでてくるのは、なんら悪いことでなく、いいニュースなのかなと捉えなおしています。

 

一方、弁理士を見てみますと、平成27年から合格者数が毎年200~300人の間で推移しており、令和3年度においては合格者数が199人と200人の大台を割ってしまいました。令和4年度も引き続きですね。平成14年から平成25年までの合格者数が毎年500~800人の間で推移していることから、人材不足というよりは、人材の調整局面にあるのかなと思います。

弁理士試験合格者数の推移



それでも、事務所の経営実態を聞いていると、弁理士の年齢が上がり、最も若い弁理士が40代半ばという事務所もあるようで、若い弁理士が欲しいなとのことでした。弁理士は、年齢によっては人材不足と言えるでしょう。特に、20代、30代の弁理士は人材不足なのでしょう。野望の大きい方にはチャンスなのかもしれませんね。

弁理士試験合格者 年齢別内訳



まとめ

 

美容師さんのとの世間話から、「シェアサロン」と「人材不足」について書きました。弁理士業界にも「シェアサロン」と似た業務形態があります。また、「人材不足」は、20代、30代の弁理士に顕著なのかもしれません。希少価値が高いことはよいことですから、活かしていきたいなと思います。

 

リッキー

 

 

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弁理士「小学校でのキャリア教育」【MI】

こんにちは、MIです。

先日、某小学校のキャリア教育(職業紹介)として「弁理士」についてお話する機会がありました。知財教育としては、特許制度やSNS関連の著作権等についてのお話はすることが多いですが、なかなか新しい経験となりました。

と言うわけで、そのときの流れを復習しつつ、意外とウケたネタを紹介していきたいと思います。また、今までキャリア教育として「弁理士」のお話をされた方がみえましたら、是非ご紹介ください!(IP RIPのTwitterにでも投稿していただければ幸いです。)

それでは、よろしくお願いいたします!

 

 

弁理士」って知ってる?

そう聞いても、ほとんど(というか全員)の児童が「弁理士」を知りません。ということで「八士業」の話をしました。Wikipediaによると「士業のうち、戸籍・住民票などについて、職務上必要な場合において職務上請求を行う権限が認められている主要なものは8士業と呼ばれる」とのことです。具体的には、弁護士、司法書士弁理士、税理士、社会保険労務士行政書士土地家屋調査士海事代理士の8つです。

このうち、海事代理士を除く7つの士業は、なんといらすとやにバッジのイラストがありました!

あいさつ代わりに7つのバッジのイラストを並べて、「どれが弁理士のバッジでしょう?」とクイズ出してみたら意外とウケました。

 

「発明」と「特許」について

今回は、小学生に身近な特許で「発明」について直感的に理解してもらおうと思い、おなじみの「筒状ポテチ容器」ネタを紹介しました。

成形ポテチ戦争勃発!「ポテトチップスクリスプ」VS「チップスター」の“底”を比べてみた : NewsACT (news-act.com)

これが大正解!やはり小学生はお菓子への食いつきがハンパないです。お菓子ネタの収集は重要です。

そして特許公報(特許6712467号「破断構造を有する包装容器」)の実物を見せてあげました。ボリュームは19ページでいい感じです。子ども達は「すごい!」「大変そう、、、」といろいろな反応を示していました。

 

特許制度のある世界とない世界

これは弁理士会のコンテンツ「パン職人レオ君の物語」の第2章を使って説明しました。

教員用教材/知的財産特別授業 | 日本弁理士会 (jpaa.or.jp)

この物語は「発明者」「模倣者」「弁理士」の関係が上手く描かれていますので、私は「一般の人」の行動にも注目して説明するようにしています。「発明者」や「弁理士」が活躍していくためには、「一般の人」の理解も欠かせません。また「発明者」や「弁理士」の活躍により「一般の人」にもメリットがあることを知って欲しいと思っています。

知財教育により将来の「弁理士」や「発明者」を育てるのも重要ですが、私は「特許制度に理解のある一般の方」を増やしていくことも重要かなと思っています。

 

まとめ

小学校で講義する際は、以下の点に気をつけています。

  • 子どもの興味を引くネタ(お菓子ネタ)で掴みはOK!
  • クイズ形式がウケる!
  • 制度の話は物語形式が分かりやすい!

小学校の授業は1コマ45分です。また、前後に先生からの紹介やまとめの話、質疑応答が入ることが多いので、実質使えるのは40分弱です。さらに、クイズ形式等で子どもとやり取りをすると予想以上に時間を使います。割り切って伝えたいことを絞るのがいいのかなと思います。

今回好評をいただいたこともあり、市内の別の中学校でも「キャリア教育」をさせていただくことになりました。追加リクエストとしては「著作権」の話をして欲しいとのこと。なかなか難しいですが頑張っていきたいと思います。

本日もお読みいただきありがとうございました!

 

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弁理士「内外業務で感じる物価高」[らるご~]

特許事務所勤務の弁理士らるご~です。さて12月に入って仕事が徐々に立て込んできております。体調崩さずに淡々とこなしていきたいところです。さて、そんな12月に入るまでのここ数ヶ月、内外(日本の出願人が外国で特許を取得すること)業務に対応することが多かったのですが、今回はそこで感じたことを書いていきます。

 

典型的な内外業務の流れ

まず初めに、典型的な内外業務の簡単な流れについて説明します。例えば、アメリカへの特許出願に対してOffice Action(拒絶理由通知)があった場合、どのように対応すべきか日本弁理士から現地(この場合はアメリカ)代理人に指示が出されます。そして、現地での対応が完了すると、現地代理人から日本弁理士にその旨の連絡があります。

 

そこで感じたこと

現地からの応答完了連絡時には、併せて請求書が送られてきます。最近その請求書に書かれる費用の額がだいぶ高くなってきたと感じています。諸外国の物価上昇率に比べて日本の物価上昇率が低いことは、昨今ニュースで頻繁に報道されていることから、皆さん承知のことと思います。しかし、メディアを通して知っていても、実際に自分がその現状を目の当たりにすると、海外の物価が本当に高くなっていることを痛感させられます。感情的に表現すると、例えば「こんな(簡単な)対応をするだけで現地代理人はこんなに高い費用を請求できるのか。羨ましい…」という感じです。まぁ現地は現地で物価が高いですから、その分だけ日々の出費がかさむのでしょうけど。

             円安ドル高のイラスト

 

物価高による懸念

このような内外業務での現地代理人に支払う額の上昇は、ひいては日本の出願人の外国出願減少を招くのではないかと懸念しております。とは言っても、日本の物価が諸外国の物価と比べて安いということは、日本企業にとっては国内よりも海外での販路を拡大して利益を伸ばすよう努めた方が得策であり、そのために予め外国出願をしておくのはマストであると考えます。ただそれ(外国出願)には先立つものが必要であり…となると大企業と比べて資力に乏しい中小企業では、費用上昇に伴い外国出願がしにくくなる→海外展開を躊躇→利益が伸びにくいという悪循環へと陥りやすいのでは、と悶々と考えてしまいます。

 

まとめ

以上、内外業務で最近感じたことでした。悶々と感じたことだけ書きなぐってなんだか申し訳ない記事となってしまいました。どうあがいても自分1人では日本の物価上昇に大きな影響を与えることはできませんが、お客さんとなる企業さんに少しでも利益をもたらすべく、1つ1つの特許が出来るだけ良いものになるよう努めていくしかありませんね。ここまで読んでいただきありがとうございました。

 

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「会社員だけど弁理士登録してよかったこと(個人的感想)」【マータ】

みなさま、こんにちは。マータと申します。

マータ(博士/弁理士) (@b8L18UnY7nPd5NC) / Twitter

 

11/10に弁理士試験の合格発表があったようですね。
193名の方が合格されたとのこと、誠におめでとうございます。

ところで、最近は企業内弁理士の方も増えているようで、会員の約24%が会社勤務のようですね。私も企業内弁理士の一人です。

www.jpaa.or.jp

 

会社に勤める弁理士さんの割合は、年々増えているみたいですね。
一方で、会社勤務だと特許事務所勤務と違って、出願の代理業務等をするわけでもなく資格取得の意義は見えにくいという話もあります。

では、なぜ企業に勤めながら弁理士登録をしている人が増えているのか?時代的背景もありますし、人それぞれ違うと思いますが、何かメリットがあるのだと思います。今回は、自分が弁理士登録をしていてよかったと思う点について考えてみました。

 

①社外の専門家(弁理士)と繋がれる
 まず、これは登録以前の話ですが、弁理士試験の勉強を始めた時点で、会社の外に受験仲間という仲間ができます。私たち、IP-RIPの4人も元々受験仲間です。受験時代は、試験対策の情報交換をしていましたが、お互いが合格・登録した後は弁理士としての色々な情報交換ができています。また、弁理士の世界は狭いので、知り合いの知り合いという形で弁理士の輪(ネットワーク)が広がっていきます。特に色々な委員会活動などに参加していると、よりネットワークが広がりやすいと思います。また、自分の弁理士という看板を使って、その他の専門家や士業の人と繋がっていくのもアリだと思います。一つの会社で一生働くということが普通ではなくなってきた現代、社外に目を向けてネットワークを広げていくのは重要だと思います。

 

②色々な学びの機会、情報収集の機会がある
 弁理士登録をしていることで参加可能となる色々な委員会や勉強会があります。このような場で、社内の人がまだ知らない情報(例えば、法改正・制度改正情報、判例など)をキャッチし、共有することで会社に貢献することができます。

 

③色々とモチベーションがあがる
 資格を有していることで、社内から知財関係の相談をしてくれる人が増えた気がします。すぐに答えられることばかりではないですが、弁理士という看板を背負っている以上、きちんと答えたいという思いがあり調べごとなどのモチベーションがあがります。


④名刺がかっこよくなる(自己満足)
 コロナ禍ではあまり名刺交換の場がなくなりましたが、名刺に弁理士と書いていると自分的に誇らしいですし、渡した相手に「弁理士さんなんですね!」と気づいてもらえるとちょっと嬉しいです。

 

⑤転職も有利に?
 実際に転職する・しないは別として転職の武器には大いになると思います。実際私も弁理士登録後は社外から色々とお声かけを頂きました。資格を有することで、「今いる企業に必ずしも固執しなくても良い」、というマインドになれた点はよかったと思います。

 

⑥人生100年時代
 定年退職後、20年も30年も生きるかもしれない現代社会。資格があることで第二の仕事人生を始めることができるかもしれません。こればっかりは、実際に自分がその年齢になってみないと分かりませんし、資格を有するだけでなく高い能力を維持したり多くの人脈を形成しておく必要もあるかと思いますが。

 

以上、「会社員だけど弁理士登録してよかったこと」について、簡単に思いつくものを挙げてみました。私的に一言でいうと

弁理士登録しているお陰で日々の仕事や人生がより楽しくなったことは間違いないです。これは全くの個人的感想なので、他にも色々な意見があると思います。私は、マインド的な要素が強いですが、もっと実質的に資格登録のメリットを感じている方もいるのではないでしょうか。
是非他の方の意見も聞きたいです(企業知財仲間のリッキーさん、いつかお願いします!!)。

 

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「著作」メタバースと著作権[リッキー]

日向でゴロゴロしていると暑すぎず寒すぎず気持ちのいい季節になりましたね。

 

弁理士会では、特許、意匠、商標等、法律ごとに委員会があり、研究等が行われています。その研究成果等は、弁理士会の会員専用ページで閲覧できるのですが、「これ、すごいな」と思うものがいくつもあるのですが、その一部を紹介したいと思います。

 

メタバースにおける著作権法上の論点です。

仮想空間を移動!

よくこんな論点に気づいたなと感心せずにはいられませんでした。

 

メタバースとは?

 

メタバース (: metaverse) は、コンピュータの中に構築された、3次元の仮想空間やそのサービスを指す[1]。日本にあっては主にバーチャル空間の一種で、企業および2021年以降に参入した商業空間をそう呼んでいる。将来インターネット環境が到達するであろう概念で、利用者はオンライン上に構築された3次元コンピュータグラフィックスの仮想空間に世界中から思い思いのアバターと呼ばれる自分の分身で参加し、相互に意思疎通しながら買い物や商品の制作・販売といった経済活動を行なったり、そこをもう1つの「現実」として新たな生活を送ったりすることが想定されている

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%BF%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B9

 

アバターを操作してアバターに仮想空間を移動してもらう感じでしょうか。オンラインゲームで、複数のプレイヤーが集まって共通の敵を倒しに冒険に出る感じでしょうか。

 

VRのゴーグルをつけて、聴覚や視覚を仮想空間に没入させるのとはちょっと違うのですね。ここら辺の仕分けも難しいですね。

 

他にも、仮想空間でアートギャラリーを開催できるのですね。月額6000円ぐらいからできるようです。

 

論点1:仮想空間にはどの国の法律が適用されるのか?

 

著作権者は、美術の著作物や未公開の写真の著作物について原作品により公に展示する権利を有しています。

 

仮想空間にあるアートギャラリーに美術の著作物や未公開の写真の著作物の展示する場合ですが、そもそも著作権(ここでは展示権)が発生するのでしょうか?

 

つまり、仮想空間にはどの国の法律が適用されるのでしょうか。考えてみるとなるほどと思いました。

 

それは、仮想空間のデータが記憶されているサーバのある国の法律だよって考える方もあるかもしれません。他の法律でそのような規定があればいいのですが、そのような法律はあるのか不明ですね。

 

論点2:美術の著作物や未公開の写真の著作物のデータは原作品なのか?

 

また、日本のような著作権法が制定されている国の著作権が適用されると仮定して、美術の著作物や未公開の写真の著作物の現物を仮想空間にあるアートギャラリーに置くことはできませんから、必ずデータ化されます。

 

データ=原作品?データ≠原作品?意見が分かれてきそうですね。

 

論点3:仮想空間にあるアートギャラリーは公なのか?

 

また、日本のような著作権法が制定されている国の著作権が適用されると仮定して、仮想空間にあるアートギャラリーは公に該当するのでしょうか?

 

現実的には、仮想空間にあるアートギャラリーはどこかの国においてあるサーバのデータですから、公なのか悩みますよね。例えば、自宅にサーバを持っている人がいて、そのサーバは公かと言われると、公でなく、私物ですよね。ある企業の設置したサーバでしたら、それもまた公とは言い難い・・・。

 

ある美術の著作物や未公開の写真の著作物を、著作権者でない者が勝手に仮想空間にあるアートギャラリーに展示したとしても、著作権者が展示権を行使できるか疑問です。

 

この場合は、ある美術の著作物や未公開の写真の著作物のデータをサーバに送信する行為ですから、著作権者は公衆送信権を行使するのかもしれません。

 

論点4:仮想空間にあるアートギャラリーは屋外なのか?

 

展示権に関わる話がでてくると必ず関連してくるのは、著作権法の第45条です。著作権者展示権を有しているのですが、その美術の著作物の原作品を所有する所有者等は、それでもその美術の著作物を公に展示できるよう、著作権者の展示権について権利制限をしています。ただし、屋外に恒常的に設置する場合は権利制限されません。

 

ここでも、場所が問題になります。仮想空間にあるアートギャラリーは屋外なのか?と。

 

日本のような著作権法が仮想空間にあるアートギャラリーにも適用されて、美術の著作物のデータが原作品と同一視できて、仮想空間にあるアートギャラリーが公だとします。そのうえで、仮想空間にあるアートギャラリーは屋外なのか?

 

アートギャラリーと聞くと屋内をどうしても連想してしまいます・・・。こういうバイアスは、論点を探し出す場合には邪魔なのでしょうね。私が論点探しに向いていない理由がよくわかります。

 

さて、仮想空間にあるアートギャラリーは屋外で、権利制限規定に頼らず、著作権者が仮想空間にあるアートギャラリーに美術の著作物を恒常的に設置したとします。

 

そうすると、著作権法の第45条に関連の深い第46条では、美術の著作物のデータを基に彫刻を増製し公衆に提供したり、専ら販売目的で複製してその複製物を販売したりする等を除けば、多様な利用が可能になります。

 

メタバースでは、単純に複製するだけであれば複製権の問題にならないのかな?なんて、現行の法律の規定では思えてきますね。

 

現行の法律制定時にはメタバースのことなんて知る余地も無かったのですから、これに適切に対応できている法律になっていろ!ってのには無理がありますね。どのように改正されるか楽しみでもあります。

 

まとめ

 

仮想空間にあるアートギャラリーに美術の著作物や未公開の写真の著作物の展示する場合の論点を見てみました。

 

論点1:仮想空間にはどの国の法律が適用されるのか?

論点2:美術の著作物や未公開の写真の著作物のデータは原作品なのか?

論点3:仮想空間にあるアートギャラリーは公なのか?

論点4:仮想空間にあるアートギャラリーは屋外なのか?

 

法律が現実空間の実体に追い付くには、これらの論点を整理して、法律改正が必要になりそうです。今後、どのような法律に改正されていくのか楽しみですね。おそらくパブリックコメントも募集されるでしょうから今からのその時に備えて、ご自身の意見を整理されても面白いかと思います。

 

 

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リッキー

 

著作権「音楽教室事件について考えてみた」【MI】

こんにちは。MIです。

 先日「音楽教室ヤマハ音楽振興会など) vs JASRAC」の闘いが終わった(最高裁判決が出た)ようですね。

JASRAC vs 音楽教室の争い 最高裁が判決 「生徒は曲の使用料の支払い不要 講師は必要」 教室は困惑「著作権料を取りに来るなら弾かない」(関西テレビ) - Yahoo!ニュース

 結論としては、上記の記事にもあるように「生徒の演奏については曲の使用料を払う義務がないとした一方、講師の演奏については支払い義務がある」ということになりました。私も娘をピアノ教室に通わせており、今後授業料が上がったりするのかな、、、と気になるところです。

 というわけで、今回はこの事件について勝手にあれこれ考えてみましたので、お付き合いいただければと思います。

 

 

最高裁判決のまとめ

 最高裁で争いになったのは「レッスンにおける生徒の演奏に関して、音楽教室JASRACの管理する著作物の利用主体であるか否か」です。これが否定され、結果として「生徒の演奏については曲の使用料を払う義務がないが、講師の演奏については支払い義務がある」ということが確定しました。

 

JASRACが求める使用料について

 JASRACのホームページを見ると「音楽教室における演奏等」について、以下の使用料規程があります。

使用料規程第1節演奏等10音楽教室における演奏等 (jasrac.or.jp)

2018年4月1日から楽器教室における演奏等の許諾手続を開始することになりました (jasrac.or.jp)

 これによると、使用料の種類は3通りの方式(年額使用料、月額使用料及び曲別使用料)があり、それぞれザッと以下のような感じです。

  • 年額使用料:受講料収入算定基準額の2.5%
  • 月額使用料:受講者数や月間受講料によって異なる(受講者30名まで&月間受講料4,000円までで「6,000円(30×4,000=120,000円の5%)」)
  • 曲別使用料:受講者数や講座1回あたりの受講料によって異なる(利用時間5分まで&受講者30名まで&講座1回あたりの受講料1,000円までで「150円(1,000円の15%)」)

 ただ、上記の規程は、JASRACが裁判で主張していた「生徒&講師に支払い義務がある」ことを前提としたものと思われます。今回の判決を受けて、この使用料の減額があるのか(ないとおかしい?!)、注目したいところです

 また、JASRACはホームページのQ&Aで、今回の裁判に敗訴した場合「お支払いいただいた著作物使用料につきましては、全額ご返金することになります」と言っています。仮に今回の判決を受けて使用料の減額がある場合、今まで徴収した使用料の一部を返還するのか(返還しないとおかしい?!)、こちらも注目です。

音楽教室における演奏等の管理開始について(Q&A) JASRAC

 

使用料の徴収を逃れるには?

 これは私の妄想ですが、使用料の徴収を逃れるためにはどうすればいいかを考えてみました。

 ズバリ「演奏せずに教える!」です。

 最高裁判決でも、生徒の演奏に付随して「教師による伴奏や各種録音物の再生が行われたとしても、これらは、生徒の演奏を補助するものにとどまる」とされています。ということは、講師が音楽教室においてその曲を演奏しなければ(技術的な指導等のみをするなら)、徴収の対象にはならないと考えられます。最近はyoutubeの「弾いてみた動画」も大量にあるので、「見本としてはそれを見といてね」でも成り立つのではないでしょうか。実際に、演奏していないことの証明をするのは難しいかもしれませんが、、、

 

おわりに(私の意見)

 私自身は、今回の事件の結論「生徒の演奏については曲の使用料を払う義務がないが、講師の演奏については支払い義務がある」については妥当なところかなと思っています。そもそも使用料を払いたくないなら、著作権フリーの曲を使えばいいわけですし、人気のある曲の力を利用して受講者を集めているならその対価は払うべきなのかなと思います。

 娘のピアノ教室にしても、使用料を払いたくないので「教室では講師は演奏しません」とか「著作権フリーの曲しか扱いません」と言われてしまったら、なんだかなぁとなると思います。それなら使用料分の値上げ(2.5%として6,000円→6,150円)くらいは、なんとか我慢できるかなと(音楽教室としては、その他の手続等、いろいろと面倒なことがあるのかもしれませんが)。

 その他、徐々に著作権使用料の徴収範囲を広げていくJASRACに対して否定的な意見も見られます。徴収した利用料が著作権法の目的とする「文化の発展」のために使われる(著作権者に配分される)よう信じたいと思います。

 本日もお読みいただき、ありがとうございました!!

 

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