IP RIP ~チザイの雑談~

知的財産(Intellectual Property)の「かゆいところに手が届く(Reach the Itchy Place)」お話です。

著作 『涼を誘う著作物』[リッキー]

真夏日になったり、過ごしやすい気温になったり、気温の変化の大きい日々が続きますが、身体が環境変化になれない時期であるので、くれぐれも体調にはお気を付けください。

 

f:id:discussiong1:20210620224142p:plain

さて、雨が続き梅雨らしくなってきましたが、梅雨が明けると、また熱い夏がやってきますね。見た目にも涼しい著作物をご紹介します(夏が来たら、涼を楽しむためにまた見て下さい)。

 

f:id:discussiong1:20210620224319p:plain

(出展:

https://www.asahi.com/articles/photo/AS20210114001936.html?iref=pc_photo_gallery_prev_arrow

 

電話ボックスに水が満たされていて、電話ボックスの水の中を赤や黒の金魚が泳いでいます。扉を開けると、電話ボックスから金魚が水と共に流れ出てきてしまいそうで、電話ボックスのドアを開けるのを躊躇してしまいますね(現物を見たことがないのですが、本当に水が入っているみたい)。知っている!という方も多いのではないでしょうか。

 

実は、今年の年初に大阪高等裁判所で判決が言い渡された事件の主人公なのです。

 

初めてこの写真を見たときは、斬新だなと思い、創作性があると思ったのですが、電話ボックスを水槽に見立てること、水槽に見立てた電話ボックスに金魚を泳がせることは、創作性がないと判断されています。金魚にはさまざまな種類があり、また金魚の数も幅広く選択可能であることが指摘されていたので、創作性が認められやすい傾向にありそうだと思ったのですが、金魚の数がありふれた範囲を脱していなかったようで、この点には創作性が認められませんでした。

 

それでも、この電話ボックスには創作性があると判断されています。どこにあると思いますか?

 

写真を見ても私は全然気づくことができなかったのですが、よーく見て下さいね。「受話器の穴から気泡が出ている」のです。つまり、水槽内の気泡発生装置の役割をなんと受話器に持たせていたのです。

 

これは斬新だなと思い、ここに創作性が認められています。しかも、電話ボックス内の水は公衆電話よりも高い位置まで水で満たされているため、受話器がフックから外れています。そして、水槽内を浮遊している受話器の穴から気泡が放たれているのです(ここは想像です)。

 

まとめ

 

涼を誘う著作物をご紹介しました。創作性の判断についてこんな風に判断するのかという部分が参考になるかと思います。

 

通常であれば、音声が変換された電気信号が通っているところを、なんと気泡が通っている。いわゆる置き換えですが、著作権においては、創作性を認められる際に寄与しました。また、特許においても、解決しようとする課題が違って、課題解決手段として置き換えが行われていると進歩性が認められやすい傾向にあるよなと思いました(著作権特許権を関連づけようとして、強引だったでしょうか・・・)。

 

なお、文章中、主観で斬新だと思うこと=創作性ありみたな関係があるように書いていますが、そうではないのでご注意ください。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました!!

 

f:id:discussiong1:20210411223720p:plain

リッキー

 

祝!1周年! ~自己紹介&ブログの今までとこれから~【共著】

こんにちは。いつもお読みいただきありがとうございます!

突然ですが、祝!1周年!!

「祝」のイラストマーク

当ブログは昨年6/14に開設して1年が経ちました。「とりあえず1年続けよう」という当初の目標を達成できたのは感慨深いです。ということで、今回は、当ブログのメンバー4人全員で、改めて自己紹介&今までの経緯やこれからの方針について書いてみたいと思います。

 

 

MI(えむあい)

こんにちは。MI(えむあい)です。

特許業務法人で社員の末端に連なっている弁理士です。「祝!1周年!」ということで、ブログ関連のことについて自己紹介をさせていただきたいと思います。

・ブログを始めたきっかけ

ズバリ、コロナ禍でヒマだったからです。リッキーさんとマータさんとオンライン飲み会をしていて「ブログやってみようか」となりました。

・ブログのコンセプト

身近な事例で分かりやすく知財についてお伝えできたらと思っています。イメージは、息子(小学校高学年)や妻(知財全く興味なし)でも取っつきやすく、それでいて専門の人が読んでも「おっ!」と気づきがあるような記事を書きたいと思っています。事例ごとに結論はできるだけ言い切るように心がけています。

・ブログをやってみてよかったこと

引き出しが増えました。特に、著作権関係について友達に聞かれても、サッと答えられるようになりました。アウトプットを繰り返すと知識が頭に入りますね。自分で事例を設定して結論を言い切るのは、ある意味ストレス解消にもなってます(実務では事情が複雑でそうもいかない、、、)。

・つらかったこと

初期はアクセスが0件の日もあって(というか多くて)つらかった。。。多分1人でやっていたらすぐに心が折れていたと思います。

・今後の目標

とりあえず「通算100記事」と「アクセス50件/日」を目指したいと思っています(当ブログは4人いるので通算100記事はいけるかな)。どちらも半分(通算50記事、アクセス25件/日)くらいにはきたので頑張りたいです。

ということでこれからもよろしくお願いいたします!

 

リッキー

リッキーです。特許の出願、権利化及びクリアランス等の仕事をしてかれこれ十数年になります。また、社会人になってから弁理士になりました。

 

さて、多くの方は、特許などに接するのは大学生、社会人になってからではないでしょうか。私も特許の存在を知り学び始めたのは大学生の頃で、実務を始めたのは社会人になってからで、多数の部類に入ります。実務を行う中で、特許などにおいて、自分の財産を他人に尊重してもらうけれども他人の財産も尊重するという精神がとても気に入るようになりました。

 

目に見えない無体物であるが故に、そうなってないところもあるかなと感じています。

 

同じ知的財産権に分類される、意匠、商標、著作権は、特許に比べて、目に見えるし、理解しやすい面があると思います。なので、意匠、商標、著作権を中心に、まず知的財産権に親近感を持ってもらえるように頑張ります!そして、同じように感じてくれる方が増えたら、嬉しいです。

 

また、子育て真っ最中でよく知育玩具を手にするのですが、知育玩具には現行の特許制度における発明を理解する上でのエッセンスが盛り込まれていて目から鱗が落ちる状態です。こちらもぜひシェアさせていただきたいと思います。これらかも宜しくお願い致します。

 

マータ

マータと申します。弁理士登録をしていますが、研究が本業です。当ブログの執筆者4人の中では唯一の研究員です(博士号アリ)。

現在の自分の勤務先はなかなか懐が深く、研究員であっても弁理士登録費用を負担してくれたり、知財関連の活動(委員会活動など)も比較的自由にやらせてくれています。ありがたいです。

 

弁理士資格取得後も研究を続けている理由としては、自分はどちらかというと発明者として技術や特許に関わるのが好きだからです(自分の研究を論文や特許にしたり、事業に活かすことに楽しさを感じます)。これまでに、発明者として大体90件ほどの特許出願を行なってきましたが、明細書の作成や中間処理などについては特許事務所の先生のお力をお借りしています。

 

自分は、研究が本業ということもあり、ブログではあまり深い知財の話はできませんが、研究開発者ならではの話をしていければと思います!これからも宜しくお願い致します!

 

らるご~

どうも、らるご~という者です。

新卒から企業の研究職をしていましたが、個で仕事できる力が欲しいと一念発起して弁理士資格を取得し、今は特許事務所勤務です。

 

このブログに参加するまでブログの記事を書いたことはなかったのですが、実際に自分で記事を書いてみると、人の文章を読むのは簡単だけど自分で書くのはとても大変であることがよく分かりました。ブログにせよ特許の明細書にせよ、自分の書いた文章が自分の考えた通りに読み手に伝わるよう常に心がけてはいますが、いつまで経っても難しいものです。

 

ブログを続けてきて良かったこととしては、自分が言語化はしていないけれど漠然と考えていたことを文章としてまとめる機会が得られたことです。また、継続できている達成感を得ることもできています。これまで継続できているのは、他の執筆者の3人の方のお陰です。

 

一般的に黙々と作業する時間が長い弁理士業ですが、そんな弁理士業の中で得られた知見や経験を柔らかく翻訳して、これからもお伝えしていけたらと思っております。

 

今後もかゆいところに手が届く記事を挙げていきますので、当ブログのご愛読よろしくお願い致します。

 

おわりに

当ブログはこんな4人で運営しています。4人ともキャラがいい感じで違ってて「1粒で4度おいしい」ブログになっていると思います。是非、これからもご愛読のほど、よろしくお願いいたします!

著作権&商標「知財クイズにチャレンジ!」【MI】

こんにちは。

いよいよ夏本番、暑くなってきました。そんな中、今回は「知財クイズにチャレンジ!」ということで、今までの記事でお話してきたことをクイズ形式で振り返りたいと思います。興味ある問題だけでもOKですので、是非頭の体操と思ってチャレンジください。全問正解目指して頑張りましょう!

※今回はなるべくシンプルに書くようにしました。専門家の方には物足りないかもしれませんが、知財について考えるキッカケになることを期待しています。家族や同僚の皆さんとシェアするのもオススメです。(お子さんの夏休みの宿題ネタが見つかるかも?!)

クイズに答えている男性のイラスト「マル・バツ」

 

著作権

Q1:通信カラオケで歌った動画をyoutubeにアップしてもいい?

A1:ダメ

<理由>「カラオケ音源」についての著作権侵害になる可能性が高いです(友人は、実際にYouTubeから注意を受けたそうです)。ただし、自身の演奏に合わせて歌う場合であれば、動画サイト(YouTube等)がJASRACと利用許諾契約を締結しており、歌う曲がJASRAC管理楽曲であればOKです。

2020/9/5

著作権「動画サイトでの音楽等の利用」【MI】 - IP RIP ~チザイの雑談~

 

Q2:youtubeで絵本の読み聞かせ動画をアップしてもいい?

A2:ダメ

<理由>絵本の「物語(文章)」や「絵」は著作物であり、それを無断でアップする(公衆が利用できるような形で送信する)のは公衆送信権を侵害します。

2020/9/6

著作権「続・動画サイトでの音楽等の利用」(読み聞かせ編)【MI】 - IP RIP ~チザイの雑談~

 

Q3:他人の画像をSNSのアイコン画像にするのはOK?

A3:ダメ

<理由>他人の画像(著作物)を複製し公衆送信することになるため。「じゃあ、このブログのアイコン画像はどうなの?」という点については、ジブリさんの画像提供の趣旨からすればOKと考えています。

2020/10/3

著作権「ジブリの画像を使ってみよう!」【MI】 - IP RIP ~チザイの雑談~

 

Q4:他人の画像でオリジナルグッズ(Tシャツとか)を作るのはOK?

A4:個人的な範囲ならOK

<理由>「私的利用(個人的または家庭内相当の範囲での利用)」であればOKです。私も娘の幼稚園のスモックにアイロンプリントで貼り付けています。ただし、グループでお揃いのTシャツを作る場合等、人数やメンバーの構成、そのTシャツを着る場面によってはNGとなる可能性もあるので注意しましょう。

2020/10/3

著作権「ジブリの画像を使ってみよう!」【MI】 - IP RIP ~チザイの雑談~

 

Q5:ハチ公と記念撮影した写真をSNSにアップしてもいい?

A5:OK

<理由>屋外に恒常的に設置されている彫刻等は、複製してたくさんの人に提供したり、販売目的で複製したりする等でなければ、利用することができます(著作権法46条)。「屋外に恒常的に」と言えるかについては注意が必要です(屋外であっても入場に条件があるとか、一時的に設置されているとか)。

2020/11/1

商標&著作権「鬼滅の刃からの知財あれこれ」【MI】 - IP RIP ~チザイの雑談~

 

Q6:入場料払ったら、その建物の中のモノは自由に撮影&SNSにアップしていいか?

A6:ダメ

<理由>著作権は所有権と別に存在します。所有者は著作物を「展示」することができますが、「複製権」を持っていない場合、所有者自身でも写真に撮ってSNSにアップしたりはできません。入場者(私たち)としては、許可されていない撮影は控えることが大切です。

2020/11/1

商標&著作権「鬼滅の刃からの知財あれこれ」【MI】 - IP RIP ~チザイの雑談~

 

Q7:ディズニーランドで子供の写真撮ったら、後ろにミッキーが映ってる!この写真をSNSにアップしても大丈夫?

A7:OK

<理由>撮影対象(子供)から分離することが困難な事物(テーマパークの背景)等に存在する付随対象著作物(キャラクター)については、その写真の利用(SNSへのアップなど)は侵害行為に当たりません。ただし、「(子供でなく)キャラクターがメイン」な場合等は、対象外(侵害)になるので注意してください。

2020/11/1

商標&著作権「鬼滅の刃からの知財あれこれ」【MI】 - IP RIP ~チザイの雑談~

 

Q8:カードゲームで他の人のデッキをマネしてもいいの?

A8:OK

<理由>デッキレシピ(カードの組み合わせ情報)自体は著作物ではなく、その通りにデッキを作るのは問題ありません。

2021/4/3

著作権「ポケモンカードゲームからの知財あれこれ」【MI】 - IP RIP ~チザイの雑談~

 

Q9:フリマサイトで売るために自分で商品写真を撮ってアップするのはOK?

A9:OK

<理由>売買のための商品紹介画像の掲載(複製&公衆送信)はOKです(著作権法47条の2)。むしろ、商品が手元にある場合は、自身で商品写真を撮るのが安全です。必要以上に精細なデータとしないように注意してください。

2021/5/1

著作権「ポケモンカードから考える知財 ~フリマサイトに掲載する画像~」【MI】 - IP RIP ~チザイの雑談~

 

商標編

Q10:商標「AINU」はすんなり登録されるか?

A10:されない

<理由> 公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標は登録されません。最近、所定の「文化的所産等」について、この拒絶理由が比較的よく使われるようになってきていると感じます。

2020/7/5

商標「AINU(アイヌ)」について【MI】 - IP RIP ~チザイの雑談~

2021/3/19

続・商標「AINU(アイヌ)」について【MI】 - IP RIP ~チザイの雑談~ 

 

Q11:鬼滅の刃、炭治郎の羽織の柄はすんなり登録される?

A11:されない

<理由>「地模様」については、商標審査基準で原則登録NG(3条1項6号に該当)とされているので、なかなか難しいと思います。(実際、2021/5/28に上記の拒絶理由が通知されました。集英社さんがとのように対応するのか注目です。

2020/11/1

商標&著作権「鬼滅の刃からの知財あれこれ」【MI】 - IP RIP ~チザイの雑談~

 

おわりに

どうだったでしょうか?全問正解された方、素晴らしいです。

ブログを書くようになって、著作権の話をすることも多くなりましたし、その中で皆さんから「じゃあ、こういう場合はどうなるの?」とよく食いつかれます。身近な事例を分かりやすくお伝えすることで、知財が身近になって議論が盛り上がるといいなと思っています。

さて、当ブログは昨年6/14に開設して、もうすぐ1年が経とうとしています。ということもあり、次回は、このブログのメンバー全員で、改めて自己紹介(今までの経緯、これからの方針など)について書いてみたいと思います。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします!

商標「ポケモンカードゲームから考える商標」【MI】

こんにちは。

前回に引き続きポケモンカードゲームから知財をあれこれ考えていきたいと思います。それにしても人気がすごい!先日も「ポケカ投資家」なるワードがyahooニュースのトップを賑わせていましたし、一昨日(5/28)に「イーブイヒーローズ」という新シリーズが発売されたんですが、web予約開始日(5/7)には公式サイトがパンク、当日販売分を抽選販売に切り替える等の対応が取られました。私は抽選は見事にハズレましたが、近所のお店で買うことができました。

f:id:discussiong1:20210530084856j:plain

さて、今回は商標をメインに以下のメニューでお話したいと思います。よろしくお願いいたします!

 

 

今後発売されるシリーズの名前が分かる?! ~商標の公開制度~

ネットでは、公式には発表されていない今後発売予定のシリーズ名が出ています。

参考

ポケモンカードの最新弾情報・拡張パック発売スケジュールまとめ | ポケカ速報まとめブログ ポケモンカード探し

なぜ分かるのか?

独自の情報網を持っている方もいると思いますが、実は商標出願からも今後出るだろうシリーズを予測することができます。例えば、特許や商標を検索できる「J-Platpat」というサイトで検索すると、ポケモンカードゲームに関連すると思われる、以下の出願が見つかります。

※日付は出願日。全て未登録(2021/5/30現在)。

 2020/11/10「VSTAR」

 2020/11/27「イーブイヒーローズ」

 2020/11/27「摩天パーフェクト」 

 2020/11/27「蒼空ストリーム」  

 2020/11/24「V-UNION」     

 2020/12/24「フュージョンアーツ」

 2021/1/8 「VMAXクライマックス」

商標は「先願主義」といって「早く出願した人勝ち」の制度が採用されていますが、原則として出願日から2、3週間程度経過後、出願内容が一般に公開されるからです(出願公開制度)。

参考

初めてだったらここを読む~商標出願のいろは~ | 経済産業省 特許庁

本来の趣旨は、他の人が出願した商標を調べられるようにして侵害を防ぐことですが、その情報から「今後発売される商品」を予測できるのが面白いところです。個人的には「フュージョンアーツ」とか気になりますね。

 

こんな単純なものも商標に?! ~漢字一文字の商標~

商標制度では「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章」は原則として登録されません。例えば、

 ・数字(「123」等)

 ・ローマ字の1字又は2字からなるもの(「A」等)

 ・仮名文字(変体仮名を含む。)1字(「あ」等)

はこれに該当します。

特許庁 商標審査基準 第1 第3条第1項(商標登録の要件)

七 第3条第1項第5号(極めて簡単で、かつ、ありふれた標章)

https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/trademark/kijun/document/index/09_3-1-5.pdf

このような商標(「123」とか「A」とか「あ」とか)は、商標としての機能(誰の商品かを表示する機能)を果たさないから、特定の人に独占させる(商標権を与える)のは適切でない、というのが理由です。

ところで、任天堂(株)は、「ゲーム用トレーディングカード」について、以下の商標権を持っています。

 登録6262688「悪」

 登録6262690「鋼」

 登録6262693「超」

 「え?漢字一文字はいいの?」と思いますよね。これはおそらく、漢字は表意文字であり、一文字であってもそこに特定の意味(観念)を表すことができるためと思われます。漢字一文字の商標は登録できる可能性があることを覚えておきましょう。

ただ、商標は「商品」の販売等に関連して用いられる(商標的使用)場合に問題になるため、例えば、SNSで、

 「ポケモンカードゲームをパクる『悪』いヤツがいた!」

 「『鋼』のメンタルで勝ち切りました!『超』うれしい!」

と投稿するのは大丈夫なので安心してください。

 

フリガナも商標の一部? ~2段書き商標~

ポケモン関係では、キャラクターの名前も出願されています。例えば、今の「ソード&シールド」シリーズの御三家もバッチリ出願・登録されています。

 ・登録6231071「サルノリ\SARUNORI」

  f:id:discussiong1:20210530100042p:plain

 ・登録6231072「メッソン\MESSON」

  f:id:discussiong1:20210530100337p:plain

 ・登録6231073「ヒバニー」

 ・登録6231074「HIBANNY」

※「\」は改行(段変え)を意味します。

ここで気になるのは、なぜサルノリとメッソンは「カタカナとローマ字の併記」で、ヒバニーは「カタカナとローマ字を別々に出願」されたのかということです。

カタカナとローマ字を併記した商標は「2段書き商標」と言われます。これは、1つの出願・登録で実質的に「カタカナ商標」と「ローマ字商標」を守れるものとして出願されます(例えば、「QRコードQR CODE」事件:平成30年(行ケ)第10059号(知財高裁H31/1/29))。コスト削減できますね。

しかし、これにはリスクもあります。例えば、「ブロマガ\BlogMaga」事件(平成30年(行ケ)第10102号(知財高裁H30/12/20))では、カタカナ部分(ブロマガ)やアルファベット部分(BlogMaga)をそれぞれ別々に使っていた場合、それは登録商標(ブロマガ\BlogMaga)の使用ではないとして、登録が取り消されてしまいました。

よく見ると「HIBANNY」は完全はローマ字ではないですよね。おそらく、任天堂さんは、「ヒバニー\HINANNY」と1つの出願で済ませた場合に同じようなリスクがあることを危惧して別々に出願したのではないかと思います。実際は「サルノリ」「メッソン」「ヒバニー」とカタカナで表記されることが多いので。策に溺れず、「商標は実際に使用する形式で出願する」のが基本です。

 

おわりに

最後はちょっとマニアックな話になってしまいました。。。

それでは、今日のまとめです。

  • 商標は「早く出願した人勝ち」。公開情報で他人の商標を調べよう!(面白い商標が見つかることも。。。)
  • 漢字一文字の商標は登録できる可能性がある!
  • 「商標は実際に使用する形式で出願する」のが基本!

これでポケモンカードゲームシリーズもネタ切れです。よろしければ、過去の記事も是非ご覧下さい。

discussiong1.hatenablog.com

discussiong1.hatenablog.com

本日も最後までお読みいただきありがとうございました!

弁理士「発明者さんと打ち合わせする前の事前準備」[らるご~]

今年は妙に早い梅雨入り、変な世の中ですね。こんにちは、事務所勤務の弁理士らるご~です。特許の仕事を始めてから結構な年月が経ちましたが、未だにこの仕事の難しさにいつもハラハラさせられております。そんな中でも特にハラハラするのが、発明者さんとの打ち合わせです。発明者さんの発明に対する意向や思いを尊重しつつ、その発明を特許という形に落とし込むというのは、毎度毎度ホントに大変です。そこで、今回は、「発明者さんと打ち合わせする前の事前準備」(私らるご~の場合)についてお話ししたいと思います。

 

1.資料の読み込み

まず初めに、新規の特許出願の依頼があると、多くの場合、その出願したい発明の内容を説明した資料が送られてきます。そして、打ち合わせ当日までに、その資料の内容を穴が開くほど読み込みます。そのように読み込んで内容が理解できれば良いのですが、理解できなかった場合は、インターネットで検索したり、その分野の専門書にあたったりもします。インターネット検索では、専門用語の検索や、Jplatpatでその発明者が以前に関わっていた公報を探したりもします。

勉強をしている人のイラスト(男性) 

2.質問事項をまとめる

資料の読み込みが終わった後、その資料に対する質問事項をまとめます。自分の場合は質問をリスト化しておいて、打ち合わせ時に適宜タイミングを見計らって発明者に質問します。ここで質問するにあたり、いつも気を付けている点は、「この質問は自分で調べれば分かるレベルのものか、発明者さんに聞かないと答えが得られないレベルのものか」ということです。自分で調べれば分かるレベルの質問をした場合、場合によっては、発明者さんに「この弁理士さん大丈夫か?」と思われることがあるため、 質問すべき事項であるか否かの判断には、常に細心の注意を払っています。

 

3.その発明をどのような特許に落とし込むかの想定

質問事項のリスト化と並行して行うのが、その発明をどのような特許に落とし込むかの想定です。どのような特許に落とし込むかというのは、どのような権利範囲を狙いにいくかと同義です。特許として取得すべき権利範囲の概形は発明者さんとの打ち合わせ時に確定するのですが、事前にその概形を想定しておくと、打ち合わせ時の展開がスムーズになると考えています。もう少し具体的に言うと、「今回の発明は、このような権利範囲を狙いにいく特許として捉えていますが、それで合っていますか?」という質問ができると、その質問をたたき台にして、議論がまとまりやすくなると考えています。

 監督官のイラスト(男性)

4.発明者さんの性格の事前把握

上述した1-3と比べて緩い感じですが、この点も非常に重要であると考えております。今度打ち合わせを行う発明者さんが、以前に自分の同僚と打ち合わせを行ったことがある場合、その同僚に発明者さんの性格がどのようであったかを聞いておきます。そのようにして事前に発明者さんの性格を把握しておくと、当日自分がどのようにふるまうべきか予め心の準備をしておくことができます。相手の人柄を事前に把握できているのと、そうでないのとでは、当日のハラハラ度合いが大きく異なります。このように事前に相手がどんな方であるかを把握できている打ち合わせは、そんなに多くないので、だいたいの打ち合わせは毎度ハラハラしております。

 

5.まとめ

 以上、私が「発明者さんと打ち合わせする前の事前準備」でした。事務所勤務の弁理士さんなら当たり前の話であったかもしれませんね。この記事をここまで読んだくださった方の中に発明者の方がいらっしゃいましたら、次回弁理士と打ち合わせをする際、お手柔らかにお願い致します。

弁理士と博士号【マータ】

みなさま、こんにちは。

f:id:discussiong1:20200920015636p:plain https://twitter.com/b8L18UnY7nPd5NC


知財業界には、博士号をもっている方が結構いらっしゃるかと思います。
私は、学生の頃から博士号を持った弁理士に強い憧れがあり、いつかは自分もそうなりたいとぼんやり思っていました(理由は過去記事でも書かせて頂きました)。

discussiong1.hatenablog.com

 

しかしながら、学生時代に博士課程に進む勇気までは持ちあわせておらず、修士卒で企業の研究職に就きました。ただ、幸運なことに弊社には働きながら博士号や弁理士試験に挑戦する人が結構いました(入社後知りました)。そこで、自分も是非挑戦してみようと思うようになりました。

 

今回は、私が企業に勤めながら博士号をとったときのお話をしたいと思います。
私が取得したのは、『課程博士』ではなく自分の論文を大学に提出して学位を授与して頂く『論文博士』になります。両者の違いは、色々な人が記事にしていますので是非そちらもご覧いただければと思います。

 

それでは、宜しくお願い致します!

 

《申請先について》
まず、論文博士の申請先ですが、通常は出身大学か自分と何らかの繋がりのある大学になると思います。大学の先生方は非常にお忙しいなか、分厚い論文をチェックし、ほぼボランティアに近い形で審査してくださるため、ある程度の繋がりや信頼関係が必要です。わたしの場合は、数年前から共同研究を行っており、共著論文も何本か出させて頂いている大学の先生にお願いしました。その先生のご協力のもと、色々と段取りをして頂きました(後述する主査や副査を担当して下さる先生への審査依頼など)。本当に感謝してもしきれないです。

 

《博士論文の基礎となる論文は?》
論文博士を取るためには、基礎となる論文が必要です。わたしの場合は過去に執筆した複数の英論文(ファーストオーサー)を用いました。これらを日本語で1本の博士論文としてまとめ直す必要があります。 基礎となる論文の本数や雑誌の基準(レベル)は大学によって異なるため、あらかじめ規定などを調べておくことが必要です。6本くらいの英論文を求められる大学もあります。

          f:id:discussiong1:20210518060739p:plain

 《費用について》
申請費用も大学によってまちまちです。大学によっては、50,000円とか、100,000円の所もあるようです。某国立大学では、申請の手引きに160,000円と書いていました。

 

《期間について》
自分の場合は、受付、要旨の登録、口頭発表、論文提出、面談などなど、色んな工程がありまして、トータルで大体半年かかりました(基礎論文自体の研究や執筆に費やした期間は除いています。こちらには数年間かかっています)。

 

《どんな審査がされる?》
審査は、メインで審査をして下さる主査の先生(1名)と副査の先生(3名)の計4名によって行われました。その先生方の前で口頭発表を行ったり、個別に面談をしていただいたり。その過程で色々な質問を受け、論文に修正を加えました。

 

《製本について》
最終的に論文の内容が認められると、製本という作業があります。 何冊製本するかは人によって違うと思いますが 、わたしの場合は、10冊未満でしたので20,000円程度でした。これを論文を審査して下さった主査や副査の先生や、お世話になった会社の上司、そして自分の両親などに配りしました。

 

《振り返り》
非常に骨のおれる作業でしたが、学生時代から夢見ていた博士号を取得でき大きな達成感を感じたことを覚えています。入社後、長い間こつこつと論文を執筆してきてよかったと思います。現在、企業で研究をされている若手研究者の方は、博士号取得に関して私のような『論文博士』という道もありますので、是非視野にいれてみてはいかがでしょうか?

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました!

特許『知育玩具の特許』[リッキー]

パラパラと判例を読んでいたら、ふと気になるものを見つけたのでシェアさせていただきたいと思います。

f:id:discussiong1:20210508143029p:plain

おもちゃ


 

子どもが遊んでいるおもちゃの中に、本のページのある絵を読み取るおもちゃがありまして、読み取る絵が変わるとおもちゃのスピーカーから出てくる音声も変わるおもちゃです。いわゆる知育玩具ってやつでしょうか。

 

f:id:discussiong1:20210508141745j:plain

知育玩具(表)

f:id:discussiong1:20210508142223j:plain

知育玩具(裏)

たとえば、ライオンの絵をおもちゃで読み取らせるとライオンの鳴き声がおもちゃから出たり、ゾウの絵をおもちゃで読み取らせるとゾウの鳴き声がおもちゃから出てきたりします。

 

f:id:discussiong1:20210508142256p:plain

ライオン

最初は、遠めに見ていて、SUICAのような交通系ICカードのように本にICでも埋め込んであるのかなって思っていたのですが、本は子供用に1ページがある程度厚みがありますがICを埋め込めるような厚みはなく、どうなっているんだ???って思ったまま、放置していました。

 

f:id:discussiong1:20210508142325p:plain

交通系ICカード

もっと好奇心を持って調べなければねと思いますが、パラパラと判例を読んでいたら、偶然の出会いがありました!裁判の当事者には、会社名を見て、知育系の会社だなとわかる会社であったので、おそらく間違いないと思いますが、違う技術が使われているかもしれません。そこは大目に見て下さい。

 

ICでないとしたら、何が使われていると思いますか??

 

 

 

 

 

答えはこれです!(あくまで予想ですが・・・)


 

f:id:discussiong1:20210508142928p:plain

特許図面1

ドットパターンです!

 

絵の中にこんなドットパターンが印刷されているのではないかと予想します。

 

 

f:id:discussiong1:20210508142955p:plain

特許図面2

602と引き出し線で示されている部分が読み取り装置です。この読み取り装置で、ドットパターンを読み取って、PCと書いてある部分でドットパターンに対応する音声データをメモリから読みだして、スピーカーから音を出します。

 

こんな広範囲な特許権が存在するの!?と思われる方もあるかもしれませんが、ここまでの説明は実施例の説明で、特許権の説明ではありません。特許権は、ドットパターンの書き方にあるので、詳しくは、特許第4392521号を参照ください。

 

まとめ

 

答えは予想通りでしたでしょうか。もっと違うものを考えたという人もあるかもしれません。ドットパターンでなく色で音声を変えるとか、ドットパターンでもドットの大小の組合せで音を変えるとか、他にもいろいろと思いつきそうですね。

 

ちなみに、特許権の効果を参照すると、狭い領域に着目していることから、狭い領域を読み取っていかに多種多様な音声を出力できるようにするかという点に着目すると、ドットパターンが一番種類を多く作り出しやすいということのように思えます。10種類ぐらいの音声でしたら1~2歳の子供は満足するかもしれませんが、4~5歳の子供でしたらすぐに飽きてしまいそうですね。いかに狭い領域でも、多種多様な音声を出せるようにすることが製品のヒットに欠かせないと思えます。

 

f:id:discussiong1:20210411223720p:plain

リッキー