IP RIP ~チザイの雑談~

知的財産(Intellectual Property)の「かゆいところに手が届く(Reach the Itchy Place)」お話です。

著作権の雑談『布団花柄事件』[リッキー]

 

今回は、著作権の判決文をネタに

雑談をしたいと思います。

 

花柄の布団

 

どのような事件であったか、copilotがまとめてくれました。

 

この事件は、寝具メーカーのA社が、自社の布団の絵柄を真似されたとして、ホームセンターやインテリアメーカーなど3社を相手取り、著作権侵害で訴えた裁判に関するものです。大阪高裁は、A社の布団の絵柄に著作物性がないと判断し、A社の請求を退ける判決を下しました。この判決は、工業製品のデザインが著作権法で保護されるかどうかという長年の問題に関連しています。12

 

貼り付け元  <https://www.bing.com/search?q=%E5%B8%83%E5%9B%A3%E8%8A%B1%E6%9F%84%E4%BA%8B%E4%BB%B6&cvid=8d953770f0ac4fc38186695b032096fd&gs_lcrp=EgZjaHJvbWUqBggBEAAYQDIGCAAQRRg5MgYIARAAGEAyBggCEAAYQNIBCTE0MDk2ajBqNKgCCLACAQ&FORM=ANAB01&PC=U531>

 

お忙しい方のために結論だけ、

先にまとめておきます。

 

まとめに代えて本日の痒い所

 

  • 布団の花柄には、著作物性が認められなかった

 

  • 美術の著作物と認められるには、創作的表現が、実用品としての産業上の利用を超えて、独立して美的鑑賞の対象となる美的特性をそなえていなければならない

 

  • 敷布団や掛布団のある単位で、繰り返しとなる反復性のある柄の場合には、創作的表現が実用品として制約を受ける

 

 

お時間のあるかたは最後まで、

お付き合いください。

 

それでは始めましょう!

 

敷布団に柄ってついてますよね。

あれって、アラベスク模様というのですね。

判決文を読んで知りました。

 

アラベスク模様とは、アラビア風の植物文様のことで、渦状や一定の形で反復する植物の茎や蔓と葉や花などを組み合わせた模様のことを指す。花の大きさや蔓の向き、植物模様の配置などは、幾何学や一定のルールに基づき描かれる。幾何学に基づいたアラベスク模様は、反復性があり延々と続いていく。

 

貼り付け元  <https://sekainomosque.com/islamic-patterns/arabesque>

 

ここにある反復性は、ひとつ

今回の判決ポイントではないか

と勝手に思っています。

 

さて、争点としては、

・著作物性

著作権侵害

・損害額

があります。

 

著作物性についてですが、

まずは、法目的から見るのが

鉄則でしたね。

 

著作権法2条1項1号

「著作物」とは「思想又は感情 を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属する ものをいう」

 

 

布団の花柄模様は、文芸や音楽

とは言い難く、

花は植物に含まれるから、

少しは学術的要素があると

言えたりするのでしょうか?

 

本判決では、美術の範囲に属すると

判断しています。

 

同法10条1項4号

「絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物」

 

 

同法2条2項は、

「こ の法律にいう『美術の著作物』には、美術工芸品を含むものとする」

 

 

との規定に照らし合わせて、

美術工芸品に含まれるとも

考えられます。

 

著作権法は、一品物の美術作品

に限らず、量産品をも含むのですが、

ここには厳しいハードルがあります。

 

量産品の場合には、意匠法での保護も

考えられます。

 

量産可能ということは、産業用利用が

前提で、実用品とも言ったりしますね。

 

判決文に下記のような記載があります。

 

「実用品に用いられるデザインについては、 その創作的表現が、実用品としての産業上の利用を離れて、独立に美的鑑賞の 対象となる美的特性を備えていない限り、著作権法が保護を予定している対象 ではなく、同法2条1項1号の「美術の著作物」に当たらないというべきであ る。」

 

このフレーズはよく出てきます。

弁理士試験で出題されるかは、

保証できませんが・・・・

 

それでも、暗記したいぐらい、

よく出てきます。

 

で、創作性はあるのか?

どうかでしたね。

 

「控訴人が縷々主張するようにテキスタイルデ ザイナーであるP1が細部に及んで美的表現を追求して技術、技能を盛り込ん だ美的創作物であるということができ、その限りで作者であるP1の個性が表 れていることも否定できない。」

 

創作性を認めるのか?!

期待をさせる一文ですが、

少し否定的な空気を文脈から

感じ取れます。

 

本件絵柄は、原告商品 であるシングルサイズの敷布団では上下左右に連続して約6枚分、掛布団では 15 同様に約9枚分プリントされて全体に一体となった大きな絵柄模様を作り出 すよう用いられている(弁論の全趣旨)。

 

アラベスク模様は、反復性があり

 

の部分がここらへんに関係ありそうです。

この反復性があることにより、

創作的表現が、実用目的に制限されてしまう

と判断されています。

 

ダマスク柄も、布団には登場する

様なのですが、ダマスク柄って・・・

と調べたら、

 

ダマスク柄は、花や果物、鳥などの具象的なモチーフを織り交ぜた複雑なデザインが特徴です。これらのモチーフは、繊細な線で描かれ、一つ一つが美しい芸術作品のように表現されます。一方、アラベスク柄は、幾何学的な模様や植物の葉っぱなどを繊細に描いた抽象的なデザインが特徴的です。これらの模様は、無限に続くように繰り返され、視覚的な響きを持つことが特徴です。

 

貼り付け元  <https://differences.jp/damask-pattern-and-arabesque-pattern/>

 

 

 

ダマスク柄って、創作性ありそう

という説明文。

 

でも、反復性が原因なのか、

実用目的に限定があり、

独立して美的鑑賞の対象にならず、

 

創作性が認められませんでした。

 

アラベスク柄が入っていたのが

原因なのでしょうか?

 

アラベスク柄がなかったら、

結論が変わっていたのかは

気になるところです。

 

ただ、衣料製品には

よく見られる柄とあることから、

結論は変わりなさそうにも

思いました。

 

さて、絵柄に著作物性が無いことから、

著作権侵害も否定されました。

 

著作権がそもそもないのに、

権利行使しようとするからですね。

 

著作権の譲渡の意義

 

でわ、著作権の譲渡を受けなければ

よかったのでは?

 

とこの判決が出てしまってからは

そう思えるのですが、

 

判決が出ていない状況下では、

権利処理として、著作権の譲渡を

受けておくのがベターであったと

思います。

 

もし、著作物性があり、

著作物と認められる場合に、

著作権の譲渡を受けていなければ、

 

絵柄についての著作権は、

創作者に依然としてあることに

なります。

 

侵害者が現れた場合に、

創作者に権利行使をしてもらわなければ、

侵害品を排除することはできません。

 

自ら権利行使をできる状態にしておくか、

依頼して権利行使してもらうことができる

のであれば、そのような状態にしておくのも

一つの手だと思います。

 

事業者がどうしたいかに全ては

かかっていそうです。

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

今週も知財の雑談を楽しみましょう!

今週は、著作権をネタに、著作権の雑談はいかがでしょうか?

 

リッキー