IP RIP ~チザイの雑談~

知的財産(Intellectual Property)の「かゆいところに手が届く(Reach the Itchy Place)」お話です。

著作『ニュース解説のYoutube配信と著作権』[リッキー]

最近はニュースをテレビで見ることはほとんどなくなりましたが、Youtubeにもニュース番組がアップロードされていますね。テレビ局が放送するニュースをYoutubeで見ることもないのですが、テレビ局でないYoutuberがニュースを解説しているのを見ます。主に金融系なのですが。当然、著作権を侵害しないようにニュース解説をしているのですが、具体的に見ていこうと思います。

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ニュース



ニュース記事に著作物性はあるのか?

 

事実と共に、記者の知見や経験が活かされた文章が記載されているであろうから、著作物性があると思います。ただし、文章が極端に短い場合は、「思想又は感情を創作的に表現したもの」に該当せず、著作物に該当しなくなります。例外としては、俳句、短歌でしょう。俳句であれば約17文字、短歌であれば約31文字に短くまとめられますが、まさに「思想又は感情を創作的に表現したもの」ばかりで、「思想又は感情を創作的に表現したもの」でないほうが珍しいかもしれません。しかし、ニュースを31文字にまとめたら、ほぼ著作物に該当しないでしょう。なぜならば、事実を直接述べた部分については、誰かに独占権を与えてしまうと社会活動に支障をきたしてしまいますので、そもそも著作物に該当しないこととされています。事実を述べるだけで31文字ぐらいあっという間に使ってしまうでしょう。

 

それでは、本題に進みまして、Youtuberがインターネット上のニュース記事を引用してニュースを解説している場面を考えましょう。

 

多くの場合は、ニュース記事を参照するものの、すべてを読み上げることはなく、一部だけ参照してYoutuberが個人の見解を述べるものと思います。

 

この行為は、著作物であるニュース記事をYoutubeで配信(公衆送信)して、ニュース記事を読み上げて(口述)いますので、公衆送信権、口述権を侵害していると取れます。著作権を侵害しているのでしょうか?

著作権法では、引用する場合、著作権の権利行使が制限されます。つまり、著作権侵害になりません。ニュース記事は、公表された著作物ですから、引用して利用することのできる著作物です。報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならないのですが、「正当な範囲」の解釈が難しいので、「正当な範囲」か否かはグレーかもしれません。もちろん、引用として認められれば、グレーでも何でもありません。白です。また、ニュース記事に動画が添付されていて、Youtubeでの配信においてその動画を再生するとどうでしょうか?私は「正当な範囲」に入らないと思います。ニュース記事を棒読みするのに等しい行為であり、他人の著作物にタダ乗りしており、権利制限とする趣旨に合わないからです。

 

さて、Youtuberが元ネタとしているニュース記事の中には、映像や写真もありまして、ニュース記事の制作者以外の著作権のある映像や写真が紛れ込んでいることも多々あると思いますが、これらの映像や写真の著作権についてはどうなると思いますか?

 

時事の事件の報道をする場合には、報道の目的上正当な範囲において、複製すること、当該事件の報道に伴って利用することができます。「報道の目的上正当な範囲」とは何ぞやと、解釈の難しいところもあるのですが、ほぼ、ニュース記事であれば「報道の目的上正当な範囲」と認められると思います。

 

 

まとめ

Youtuberがニュースを解説している場面を想定して、著作権がどうかかわるか、検討してみました。今回に関連する条文の中に解釈の幅がある文言があり、判断が分かれることもあると思います。ちなみに、いつも著作権法を遵守しているかチェックしながら、Youtube配信を見ているわけではありません。

 

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リッキー