今回も著作権Q&Aから出発して、
雑談をしていきたいなと思います。
二次的著作物
「著作物」のカテゴリに、「02二次的著作物」
という分類がありましたね。
マンガが映画化される。
小説が映画化される。
映画の世界においては、そのようなことが
多くなされているのですが、
これら映画は二次的著作物です。
著作権Q&Aに、下記のようなQ&Aが載っています。
Q:有名な小説を脚本にし、それを元に映画を作りました。小説と脚本と映画の関係はどのようになっているのですか。
A:映画は小説及び脚本に創作性を加えてできた著作物(二次的著作物)であり、映画の利用に伴い、小説家と脚本家は映画製作者と同じ権利を持ちます。なお、小説と脚本の関係も同様です。
原作に新たな創作性を加えてできたものは、原作とは別の著作物として保護されますが、できた著作物はあくまでも原作に依拠して創られたものであるので、これを二次的著作物と呼んでいます(第12条)。(以下、省略。)
映画化に際して、
小説がなければ、映画化できませんが、
小説だけではたりませんよね。
そうです、脚本が必要なのです。
脚本家が脚本を書くのですが、
その脚本は、小説に依拠しています。
つまり、脚本は、小説の二次著作物
となるのですね。
さらに、映画は、小説と脚本に依拠して
作成されますから、小説から見たら、
三次著作物になります。
アンサー部分には下記のような記載もあります。
なお、映画の場合は、小説から脚本、そして映画へと2つのステップを踏みますので、映画は小説の三次的著作物ということになりますが、著作権法では、小説と映画の関係も二次的著作物としております。
著作権法には、三次的著作物という言葉は
できません。
三次著作物だろうが、四次著作物だろうが、
法律的には一緒ということで、
二次「的」著作物という表記になっている
のかなと思います。
このように二次的著作物が存在し、
二次的著作物も保護対象となっていますので、
著作権法は、二次的著作物の創作を推奨
しているようにも取れます。
著作権法の目的
著作権法の目的は、第1条に記載されています。
文化の発展に寄与することを目的とする
とあります。
著作権法は、権利の保護を通して、
創作活動を促します。
そして、創作された創作物を流通させますが、
流通された創作物の利用を促進するために、
権利の制限を行っています。
創作物の利用が促進されると、その創作物を基に
新たな創作(二次著作物が創作)されます。
この創作→流通→利用→創作→・・・
のサイクルが繰り返されることで、
文化が発展すると考えていると解釈できますね。
ただし、分野によっては、二次著作物が歓迎されない
分野もあるそうです。
昔、インタビューしたことがあるのですが、
美術の分野で、特に欧米では、ステキな美術品が
あってそれを尊敬しているのであれば、二次創作を
しないという暗黙の了解があると私は理解しました。
その理解のせいか、日本の著作権法は二次的著作物の
創作を促しているように理解しているけれども、
欧米の美術の分野とは、油と水の関係に近いなと
思ったものです。
著作物には、いろいろな著作物があります。
- 言語の著作物
- 音楽の著作物
- 舞踊・無言劇の著作物
- 美術の著作物
- 建築の著作物
- 地図・図形の著作物
- 映画の著作物
- 写真の著作物
- プログラムの著作物
これだけの多様性を考えれば、
著作権法の法目的とぴったりな著作物もあれば、
ずれる著作物もあるかなと思います。
まとめに代えて本日の痒い所
- 映画化する際には、小説家、脚本家の許諾が必要になる
- 前から順に数えると、三次的著作物にあたる著作物でも、二次的著作物と呼ばれる
- 日本の著作権法は、二次的著作物の創作を促しているように思えるが、著作物の種類によっては合わない著作物も存在する
編集後記
クリスマスシーズンですね。
こどもたちは、クリスマスプレゼントを
貰える日を指折り数えて楽しみにしてます。
そのような姿を見ると、昔を思い出します。
12月に入れば、そわそわし始め、
残り一週間はこれでもかってぐらい
長く感じたものです。
一週間なのに、一カ月ぐらいの長さを感じて
いたのではないかと思います。
ところが今では、師走の駆け込みの仕事が
たくさん。。。
営業日も残り7日を切り、どこまで
終わらせておこうかと思案している最中です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今週も知財の雑談を楽しみましょう♪
二次的著作物を題材に、著作権の雑談はいかがでしょうか。
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