みなさま、こんにちは。
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今回は、特許に関わるお話になります。
今年の4月1日以降、マルチマルチクレームの使用が制限される見込みのようですね(現在、パブリックコメント募集中)。
マルチ?? クレーム?? 新手の詐欺??
知財業界以外の人には聞きなれない言葉かも知れませんね。
少し、事例を挙げながらお話させて頂ければと思います。
例えば、ある研究員が、スイカエキス(🍉)に〇〇という症状を改善する効果を発見し、健康食品をつくったとします。そこで、特許出願をするにあたり、請求項(クレーム)を下記のように記載しました。
請求項1:🍉を含む〇〇改善用食品組成物。
また、スイカエキス(🍉)以外にも、 色々なエキス(🍎🍇🍒)を組み合わせた食品もつくりました。そこで、下記のようなクレームも記載しました。
請求項2:さらに🍎を含む請求項1に記載の○○改善用食品組成物。
請求項3:さらに🍇を含む請求項1又は2に記載の○○改善用食品組成物。
請求項4:さらに🍒を含む請求項1~3に記載の○○改善用食品組成物。
請求項2は、請求項1を引用しているので、 🍉 🍎が含まれる食品です。
請求項3は、請求項1と2を引用しているので、
🍉🍇が含まれる食品(請求項1を引用)、
🍉🍎🍇が含まれる食品(請求項2を引用)
の2つの態様が内包されています。
この時、請求項3は、マルチクレームと呼ばれます。
マルチクレーム=
他の2つ以上の請求項(クレーム)を引用するクレーム。
そして、請求項4はマルチマルチクレームと呼ばれます。
マルチマルチクレーム=
マルチクレームを少なくとも1つ引用するマルチクレーム。
請求項4には、
🍉🍒が含まれる食品(請求項1を引用)、
🍉🍎🍒が含まれる食品(請求項2を引用)、
🍉🍇🍒が含まれる食品(請求項3を引用)、
🍉🍎🍇🍒が含まれる食品(請求項3を引用)
が内包されています。
1つの請求項のなかに色々なパターンを含めることが可能なんですね。
では、さらに、下記のような請求項を加えたらどうでしょうか?こちらもマルチマルチクレームです。
請求項5:さらに🍌を含む請求項1~4に記載の○○改善用食品組成物。
請求項5の中には、
🍉🍌が含まれる食品(請求項1を引用)、
🍉🍎🍌が含まれる食品(請求項2を引用)、
🍉🍇🍌が含まれる食品(請求項3を引用)、
🍉🍎🍇🍌が含まれる食品(請求項3を引用)、
🍉🍒🍌が含まれる食品(請求項4を引用)、
🍉🍎🍒🍌が含まれる食品(請求項4を引用)、
🍉🍇🍒🍌が含まれる食品(請求項4を引用)、
🍉🍎🍇🍒🍌が含まれる食品(請求項4を引用)
のパターンが内包されます。頭がこんがらかってきそうですね。
現在、特許庁ではマルチマルチクレームの使用を制限する方向に進んでいるようです(施行日は令和4年4月1日の予定)。現在、パブリックコメント募集中。
4/1に本格的にマルチマルチクレームが制限されるようになると、マルチマルチクレームを含む出願には、当該クレームに対して特許法第36条第6項第4号違反の拒絶理由が通知されるようになるとのことです。
マルチマルチクレームの制限が検討されるに至った理由などについては下記の特許庁の資料に分かりやすく記載されています。
https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/kijun_wg/document/16-shiryou/01.pdf
今後の実務に注意が必要そうですね。
最後までお読み頂きありがとうございました!!
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