IP RIP ~チザイの雑談~

知的財産(Intellectual Property)の「かゆいところに手が届く(Reach the Itchy Place)」お話です。

商標「チキップダンサーズと商標戦略」[らるご~]

年明けから引き続き繁忙期が継続中。特許事務所勤務のらるご~です。

前回マータさんが「マルチマルチクレームの使用制限」について記事にされていましたね。実務に関わる大きな変更点、4月からは本当にご注意です。

discussiong1.hatenablog.com

 

さて、今回は繁忙期ということで、緩めの内容でお許しください。

読者の皆様の中には、お子様の要望に応えてNHKのEテレをご覧になる機会が多い方もいるかと思います。そんなEテレで、2021年10月よりアニメ「チキップダンサーズ」が始まりました。

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チキップダンサーズは、年間200億円を売り上げるすみっこぐらしを擁するサンエックス株式会社の新キャラクターです。そして、このチキップダンサーズのアニメは、なんとサンエックス初の地上波アニメだそうです。これまで同社のキャラクターであるリラックマやすみっこぐらしは、長年のグッズ販売の後にアニメ化されていましたが、このチキップダンサーズは、グッズ販売とアニメ放送が同時期に開始されるという今までにない展開で売り出していくようです。

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そんなチキップダンサーズ、商標はどうなっているのか気になり調べてみますと、今のところサンエックス自身による登録が1件だけありました(文字+主人公ほねチキンのイラストの結合商標)。キャラクタービジネスを仕掛けるにあたっては、膨大な数の商標を登録しているかと思いきや、少し意外でした。ちなみに、同社の先輩キャラであるリラックマすみっこぐらしに関する商標の登録件数は、それぞれ12件11件でした(文字商標、文字+イラストの結合商標のいずれも含まれる)。なお、これら商標は、一度に出願されたものではなく、断続的に出願されたものでした。

 

キャラクタービジネスにおける商標の出願戦略には詳しくないのですが、この動向によれば、商品の売り上げや商品展開を都度考慮しながら商標を追加していく戦略がセオリーなのかもしれません。確かに、当たるかどうか分からないキャラクターに最初から多額の投資はできないと考えれば、当然の戦略ですね。

 

また、少し毛色は異なりますが、ひこにゃんくまモン、バリィさん(ご当地キャラ、且つ、ゆるキャラグランプリ王者)についても調べてみたところ、それぞれ2件、4件、2件でいずれも文字商標(標準文字含む)でした。こちらは、前述したサンエックスの商標と違って、すべて図形(イラスト)を含まない文字のみの商標だったんですよね。このようなご当地キャラ文字商標のみ)と商業的な要素の強いサンエックスのキャラ(文字商標&結合商標)との違い…、色々と思惑があるのかもしれません。考察し甲斐のあるところですが、大した考察も提示できず申し訳ございません…。

 

以上、商標「チキップダンサーズと商標戦略」でした。あと少しで繁忙期も終わると信じて、もう一息頑張ります。ここまでお読みいただきありがとうございました!