今回も産業構造審議会の議事録を基に雑談を始めたいと思います。雑談するときって、雑談しましょう!って宣言するものですっけ?
商標
商標法には、商標について下記のように定義されています。
(定義等)
第二条 この法律で「商標」とは、人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの(以下「標章」という。)であつて、次に掲げるものをいう。
次に掲げるものとは、前回の雑談で取り上げた「使用」です。数式っぽく表すと、
標章+使用=商標
もしくは、
標章×使用=商標
って、感じになるでしょうか。
標章?標識?
商標の要素となる文字等を「標章」とすべきか、「標識」とすべきかについても検討する必要があるのではないか。
と、添付資料の中では述べられています。
なにが違うのかというと、
一般的には、「標章」は、しるしとする徽章または記号を意味し、「標識」は、区別するしるし、目印を意味する。英語では標章が mark、標識が sign に該当すると考えられる。
「標章」が「標識」よりも狭い概念といった感じでしょうか。
今後、音、単色、におい等を商標登録の対象にしようとしていたのがにじみ出ている感じがします。(注・これは2003年での議論です)
「標章」より広い概念の「標識」に変更したかったのでしょうかね。
ただ、見ていただくとわかりますが、現行の商標法では、「標章」のままです。変えなくてもいいって結論になったのでしょう。
実際、欧米 においては、商標となる標識の対象として、「文字、数字、図形、及び色とこれらの組合せ」などを例示しつつも、それらに限定をせず単色、におい、音 なども対象として認める地域・国もある【参考資料3】実際、欧米 においては、商標となる標識の対象として、「文字、数字、図形、及び色とこれらの組合せ」などを例示しつつも、それらに限定をせず単色、におい、音 なども対象として認める地域・国もある【参考資料3】
おそらく国際調和を図ったのかと思います。
【参考資料3】が気になる方は、こちらをチェックください。
ちなみに、標識と商標の関係もほぼ同じ構図です。
標識+使用=商標
もしくは、
標識×使用=商標
書くまでもなかったでしょうか?痒い所に手が届くことをモットーにしておりますので、ちょっと頑張りたいなと思いました。
音商標等の最近の動向
さて、音商標等が商標に加わったのは2015年です。もう8年目なのですね。
2023年の特許行政年次報告書が2023年7月28日に公開されていたので、そこから商標の種類別の出願件数、登録件数を見てみましょう。
2022年の出願件数は、19件で、登録件数は11件です。
ふと、2022年の出願件数が公表されていることに「えっ!」と思いましたが、勘違いでした。暑さにやられているようです。
商標には新規性がありませんし、特許のような1年半の非公開の期間もありませんし、特許や意匠とは別なのですよね。
それに審査期間は5.8か月と短縮されています。今年の2が津に出願した商標登録出願に関しては、もうそろそろなにがしかの審査結果が出ているということですね。
あくまでも平均ですから、早いものもあれば遅いものもあると思います。一番遅いのが5.8か月でないことはお間違えのないようにお願いします。
まとめに代えて本日の痒い所
- 標章と商標の違いは、「使用」の概念が入っているかいないか。「使用」の概念が入っていれば、「商標」、「使用」の概念が入っていなければ、「標章」。
- 標章と標識の違いは、一般的には、「標章」は、しるしとする徽章または記号を意味し、「標識」は、区別するしるし、目印を意味する。
- 音商標等を商標に加える際に、「標識」が良いのではないかと考えられていたが、今でも「標識」が使われている。
痒いところに手は届いたでしょうか?
本日も最後まで読んでいただきありがとうございました。
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