IP RIP ~チザイの雑談~

知的財産(Intellectual Property)の「かゆいところに手が届く(Reach the Itchy Place)」お話です。

著作権の雑談『編集著作物と保護期間』[リッキー]

新年あけましておめでとうございます。

本年も宜しくお願い致します。

 

新年から能登北陸地方では、

地震に見舞われてしまい、

自然は人間の都合などとは関係ない

ことを思い知らされます。

 

災害に対して、楽観的なっていないか、

今一度、気を引き締めたいと思います。

 

今回も著作権Q&Aを基に

書いてみたいと思います。

文化庁 | 著作権Q&A (bunka.go.jp)

 

テーマは、編集著作物です。

辞典を読む



編集著作物

 

まず、編集著作物とは何でしょうか?

著作権法の第12条に定義があります。

 

編集物(データベースに該当するものを除く。以下同じ。)でその素材の選択又は配列よつて創作性を有するものは、著作物として保護する。

 

データベースを除く編集物って何?

と思われた方には、著作権Q&Aの

この質問が適していると思います。

 

Q:百科事典の著作権は誰がもっているのですか。

A:一般的に百科事典の個々の事項については、それを書いた著作者が著作権を有し、百科事典全体については、その編集者が編集著作物としての著作権を持ちます。

 

 

なるほど、編集著作物の例は、百科事典です。

 

百科事典は、ものとしては1つにまとめ

られていますから、著作権も1つ?

 

なんて疑問も出てくるかもしれませんが、

実は1つではないのですね。

 

このQ&Aに記載されている通り、

個々の事項については執筆者が

著作権を有します。

 

百科事典全体については編集者が

著作権を有します。

 

ある事項について複製したい時、

執筆者と編集者と両方に複製の許諾を得る

必要があるのでしょうか?

 

執筆者に複製の許諾を得る必要がある

のは間違いありません。

(権利制限規定に該当する場合を除く)

 

編集物の著作権は、

素材の選択又は配列

について生じます。

 

複製する際に、素材の選択又は配列

までも複製してしまう場合には、

編集者にも許諾を得る必要があるでしょう。

 

著作権の保護期間は?

 

さて、編集者が個人の場合もあれば、

法人の場合も想定されます。

 

個人の場合は、原則、死後70年間

保護されます。

 

法人の場合、著作権の存続期間は

どうなるでしょうか?

 

法人の場合は、公表後70年間

保護されます。

 

「公表後」ってところがポイントです。

 

法人著作

 

そもそも法人が著作者になることがあるの?

と思われる方もあるかもしれません。

 

著作権法では、

[1]法人の発意に基づき
[2]従業員が
[3]職務上作成し、
[4]法人名義で公表される著作物については、
[5]就業規則等に従業員を著作者とする定めがない場合は、法人が著作者になる

のです!

 

もうだいぶ定着しているとは思いますが、

特許を受ける権利はもともと原始的に自然人に

帰属することになっていました。

 

平成27年法改正により、

特許を受ける権利が原始的に法人に帰属できる

ことになりました。

職務発明制度の概要 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)

 

それでも、法人が発明者となることはできません。

 

著作権特許権の大きな違いと言っても

いいと思います。

 

まとめに代えて本日の痒い所

 

  • 百科事典等の編集著作物には、素材の選択又は配列ついて著作権が発生する

 

  • 編集著作物の編集者が法人の場合は、著作権の保護期間は公表後70年

 

  • 法人は、著作者にはなれるが、発明者にはなれない

 

編集後記

 

著作権法の第12条では、

編集物(データベースに該当するものを除く。以下同じ。)

とありました。

 

編集著作物とデータベースの著作物は、何が違うのでしょうか。

 

まさにうってつけのQ&Aがありました。

 

Q:編集著作物とデータベースの著作物は、何が違うのでしょうか。

A:百科事典、新聞、雑誌、英単語帳など、その収録内容における素材の「選択」や「配列」に創作性が認められるものを「編集著作物」といいます(第12条第1項)。
一方、「データベースの著作物」(第12条の2)は、「選択」や「体系的な構成」によって、コンピュータが情報を識別して、必要な情報を選択できるよう整理統合されたものとされています。このように、「データベースの著作物」の場合、コンピュータにより容易に検索できるよう、情報の体系づけをしたり、キーワードを付すなど、編集著作物の成立要件である素材の「選択」又は「配列」とは異なった創作行為に着目している点が異なります。

 

異なった創作行為に着目している点が

異なるということです。

 

ところで、コンピュータにより容易に

検索できるようにしたときには、

誰もが同じようなデータベースにして

しまうのではないかと思います。

 

そうすると、著作物に成り得そうもありません。

 

また、著作物になるように考慮すると、

独創性が必要そうです。

 

独創性のあるデータベースは、

余程容易に検索することができない限り、

他の人が利用することはないのかなとも

思ったりします。

 

なかなかに、権利行使をしようとすると、

ハードルが高そうに思いました。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

今週も知財の雑談を楽しみましょう♪

 

知財への興味関心が薄い人でも、

著作権の雑談であれば、

楽しんでもらえるかなと思いますので、

著作権の雑談を楽しむのはいかがでしょうか?

 

リッキー

 

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