朝晩少しだけ暑さが和らいできましたね~なんて話をしていました。
最近、バスに乗って通勤することも多いのですが、バスに関する著作権の話をしたいと思います。
バスの行き先表示も電光掲示板ではなくて、液晶ディスプレイで表示されていることがほとんどかと思います。
電光掲示板のバスにもたまに乗りますので、少し古めのバスも、まだまだ健在なのかなと思います。
さて、バスに乗っていて気づいたことあります。
気づきを簡単に整理すると下記の表のようになります。
- 新しいバスは、数駅先までのバス停が液晶ディスプレイに表示されるが、古いバスは、次のバス停が電光掲示板に表示される。
- 新しいバスでは、次のバス停の音声案内のみで静かだが、古いバスでは、次のバス停の音声案内がありバス停近くの商店等の広告も放送される。
- 新しいバスも古いバスも、バス車内の壁に広告が貼られている。
これらと著作権の関係を見てみましょう。
著作権の関係とは、どの種類の著作物と関係がありそうか、どの支分権との関係がありそうかです。
著作物には大きく9つの分類があります。
- 言語の著作物
- 音楽の著作物
- 舞踊又は無言劇の著作物
- 美術の著作物
- 建築の著作物
- 図形の著作物
- 映画の著作物
- 写真の著作物
- プログラムの著作物
また、著作権は支分権の束とも呼ばれており、複数の権利が集まったものを著作権と呼んでいます。
行き先表示と著作権の関係
新しいバスでは、数駅先までのバス停が液晶ディスプレイに表示され、古いバスよりも進化しました。このバス停の表示方法に創作性はあるのでしょうか?
創作性のない表示も、創作性のある表示もできると思いますので、創作性を発揮することはできると思いますが、(私の身の回りの)現状の表示では、創作性ありと思える表示を見かけていません。
もし、創作性があるとしたら、数駅先までのバス停を表示する図は、図形の著作物に該当するのではないかと思います。
また、ディスプレイに表示し、公衆に直接見せることが目的としていますから、上演や上映にあたると思います。
音声案内と著作権の関係
音声案内では、行き先を述べます。「次は○○」のような案内ですので、この程度であれば、創作性が無いとして、創作性は認められないでしょう。ただ、ユニークな発音をしたらもしかしたら・・・なんて思いますが、最終的なことは、訴訟事件になって裁判所に行ってみないとどうなるかよくわかりません。特許等のように登録原簿があるわけではないので、この辺のはっきりしたいところが著作権の弱みかもしれません。
古いバスでは、音声案内で広告が流れますが、これも創作性のない広告と創作性のある広告に分かれると思います。
もし、創作性があるとしたら、言語の著作物になるでしょう。
また、公衆に直接聞かせることを目的としていますから、上演にあたるでしょう。映してないから、上映にはあたらないと思います。
あと、行き先案内や広告は、録音された音声を再生していますので、口述にも該当します。条文には、公に口述する、としか記載されていませんが、録音物を再生することも含まれると著名な著作権の書籍には記載されています。
壁広告と著作権の関係
壁広告にはいろいろな文章やいろいろな図形、そして、キャラクターも使われています。言語の著作物や図形の著作物をふんだんにつかっており、さぞかし創作性があるものだろうと思っていたのですが、いつもこの事件(平成29年(ワ)第6322号)を思い出します。
コンタクトレンズのチラシの事件なのですが、
- 他社との価格や送料等のちがいを表形式にしてまとめている
- 検査代金、受診時間の上に×のマークが重ねてあり、検査代金、受診時間不要を表している
- 視力検査表などの模式図がある
- 「なぜ検査なしで購入できるの?」という解説欄がある
のような構成に特徴のある広告です。
特徴があるからと言って、創作性があることにはならないのですね。これらは創作性が無いと判断され、結果、このコンタクトレンズのチラシは著作物でないから、著作権の権利行使が認められなかったという事件です。
この事件を読み返すと、創作性のハードルは自分の感覚よりもより高いところにあるのだなと思います。
かといって、パクリを推奨しているわけではないのでお間違えの無いようお願い申し上げます。
他人の創作物には敬意を払い、パクリはやめましょう。他人の創作物を超える、あなたオリジナルの創作に価値があるからです!!
まとめに代えて本日の痒いところ
- 行き先表示に創作性があるとしたら図形の著作物に該当する可能性があり、著作権のうち上演権や上映権が関わってくる
- バスの音声案内に創作性があるとしたら言語の著作物に該当する可能性があり、著作権のうち上映権や口述権が関わってくる
- バスの壁広告に創作性があるとしら言語の著作物や図形の著作物に該当する可能性があるが、裁判例にあるように、創作性が認められにくい
編集後記
新幹線のアナウンス、日本語の部分は毎回車掌さんがマイクでしゃべっている感じがして、韓国語や中国語、英語の部分は録音が再生されている気がします。
生の声は臨場感があって良いっていうはからいなのでしょうか?!
また、日本語のアナウンスは、上演や口述に当たり、英語等のアナウンスは上演ではないが口述にあたるのでしょうか?
なんか線引きが難しいなと思いました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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