前回から
プログラムの著作物
を見ていました
製図プログラム事件
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/333/011333_hanrei.pdf
今回も
プログラムの著作物
です。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/059/081059_hanrei.pdf
まず、プログラムに
ついて確認がされて
います。
プログラムとは,「電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものとして表現したもの」(著作権法2条1項10号の2)であり,
とあります。
その上で、創作性が
判断されるとあります。
創作性は、
下記のような観点から
判断されることが
多いです。
- 何らかの個性が発揮されているか
- ありふれた表現か
- 選択の幅
のいずれか、または、
これらの組み合わせで
判断されます。
前記第2の1の「争いのない事実等」と証拠(甲13,15ないし17,乙11,12,証人A3,証人A2,被告A1)及び弁論の全趣旨によれば,①原告プログラムは,Microsoft社の「Visual Studio.net」という開発ツールを使用し,「C 」というプログラミング言語によって書かれたソースコードからなるものであること,②これらのソースコードは,別紙1記載の37のソースファイルに格納されており,すべてをA4サイズに印字すると,約1000頁余りの分量に及ぶこと,③原告プログラムのうち,MainForm.csの原告ソースコードは,原告プログラム全体の約4割のサイズを占め,原告ソフトで表示されるメイン画面における処理全般を行うプログラムであるところ,その中には,別紙3記載のとおりの298の関数(321の関数中,「対照なし」のものを除いた分)が含まれていること,④原告プログラムは,パソコンを機能させて,その画面上に,その時々の株価データ等に基づいて,増田足と呼ばれる株価チャート(前記第2の1(2))を作成,表示するほか,増田影足,6色帯,6色分布図及び増田レシオと呼ばれるグラフ等(前記第2の1(3)オ(ア)ないし(エ))を作成,表示するなどの多様な機能を実現する株価チャート分析のためのプログラムであることが認められる。
プログラムの対象は、
株価チャート分析
のためのものである
ようです。
また、C言語で書かれた
プログラムのようです。
37のソースファイルに
分かれており、A4サイズで、
1000頁あまりの
量になるとのこと。
だいぶ大きいように
思えます。
プログラミングの
本を買って、模写して、
動いた!動いた!
と喜んでいるレベル
の私ですので、
びっくりな量です。
さて、このプログラムに
創作性があるのかというと、
膨大な量のソースコードと
298の関数があり、
ありふれた表現にならず、
何らかの個性が発揮されて
いないというのは困難
と判断されています。
もしかすると、
ソースコードだけでは
ダメだったかもしれ
ないですが、
関数の多さが決め手
だったかなとも
思えます。
関数を絡めたら、
バリエーションも
相当数になります。
さすがに同一に
なるのは無理があり
そうです。
しかるところ,原告プログラムは,上記アのとおり,株価チャート分 析のための多様な機能を実現するものであり,膨大な量のソースコード からなり,そこに含まれる関数も多数にのぼるものであって,原告プロ グラムを全体としてみれば,そこに含まれる指令の組合せには多様な可 能性があり得るはずであるから,特段の事情がない限りは,原告プログ ラムにおける具体的記述をもって,誰が作成しても同一になるものであ るとか,あるいは,ごくありふれたものであるなどとして,作成者の個性が発揮されていないものと断ずることは困難ということができる。
そんなところも
あって創作性が
認められているのかなと
思いました。
しかも、298の関数
のうち178の関数に
おいて、
自動生成コードが1割
以下と言うのも
個性が発揮されている
と考えられたのかも
しれません。
ここらへん、
自動生成コードとの
差を主張したのは
うまいですね。
プログラムの分量が
多いものに関しては、
創作性が無いと
期待するのは危ない
ですね。
むしろ、創作性がある
という心づもりでいる
ことが大切に思います。
まとめに代えて本日の痒い所
- NEW増田足事件においても、何らかの個性が発揮されているか、ありふれた表現かの観点から創作性が判断された
- ソースコードの量が膨大となるとの主張は、創作性を認めてもらうのに寄与した可能性がある
- 関数が多く用いられ、自動生成でないものも多分に含まれていたことも、創作性が認められる後押しになったと考えられる
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今週も知財の雑談を楽しみましょう♪
今週もプログラムの著作物について雑談するのはいかがでしょうか?

★★IP RIPは、Yuroocleさんに参加させて頂いております★★