IP RIP ~チザイの雑談~

知的財産(Intellectual Property)の「かゆいところに手が届く(Reach the Itchy Place)」お話です。

特許「コロナ禍でも低下しない中小企業の出願マインドと所感」[らるご~]

夏真っ盛りの中、なんやかんやで始まったオリンピックを結構TV観戦している事務所勤務の弁理士らるご~です。本年度の弁理士試験の短答を受験された方々はお疲れ様でした!今回は、近年の中小企業さんの出願マインドについて書いていきたいと思います。

 

(1)中小企業さんの出願動向

先日、2021年版の「特許行政年次報告書」が発行されました。この報告書は、知財の国内外の動向等について取りまとめたものです。

特許行政年次報告書2021年版 | 経済産業省 特許庁

 また、この「特許行政年次報告書」に関して、以下のような記事を見つけました。

news.yahoo.co.jp

「特許行政年次報告書」や、上記のyahoo記事によりますと、2020年度の国内企業全体の特許出願件数のうち中小企業によるものの割合は、17.5%(39789件)であり、コロナ禍であるにも関わらず、2019年度から引き続き過去最高となっているそうです(以下のグラフは、「特許行政年次報告書」から参照したものです。)。全体の出願件数が減って中小企業による出願件数があまり減っていないということではあるようですが。

 

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このグラフを見てみますと、細かな分析は置いておくとして、少なくともここ5年間において中小企業さんによる出願マインドは一定の水準に保たれていることが分かります。特に注目すべきは、コロナ禍に入ってからの2020年においても、前年と比べて出願件数(出願者数)が大きく変動していない点かと思います。

 

(2)個人的な経験による所感

特許事務所に勤務している私は、比較的大きな企業さんの出願案件を担当することが多いのですが、これまでに中小企業さんの出願案件も数多く担当してきました。私の経験という狭い範囲の中ではありますが、その中で感じたことは、自分が駆け出しだった頃(遠い昔の話ですが)と比べて、近年担当させていただいた中小企業さんの方が、特許出願に懸ける情熱が強いということです。ここでいう情熱が強いというのは、「なんとかして特許を取ってビジネスに役立てよう」とか、「今は知財についてよく分からないが、弁理士に色々聞きながら勉強して、主体的に知財を活用していけるようにしよう」といった意気込みとも言えます。近年お付き合いのあった中小企業さんらがたまたま情熱が強かっただけかもしれませんが、私個人の経験としては、確実にそのように感じています。そのため、コロナ禍でも中小企業さんの出願マインドがあまり低下しなかったのかもしれません。

やる気に燃える人のイラスト(女性会社員)
ただ、上記したyahooの記事によれば、「19年に制度を拡充させ運用が始まった中小企業向けの特許料金の減免制度や手続きの簡素化などで、中小の特許申請数が伸びたとみられる。」とあることから、近年の中小企業さんによる出願マインドがコロナ禍でも低下しなかったのは、そうした制度の改善があったからと考えるのが概ね妥当なようですね。主観を垂れ流してすみませんでした。

 

3.まとめ

 以上、「コロナ禍でも変わらない中小企業の出願マインドと所感」でした。事務所勤務の弁理士としては、大企業さんによる膨大な数の特許出願の一助となることも大切ですが、中小企業さんと二人三脚で特許出願していくことも同様に大切です。というか個人的には、後者の方がこの仕事の本質ではないかと思っています。そうした中小企業さんとの二人三脚の際、頼りになるパートナーとして認めてもらえるよう日々研鑽を怠らないようにしたいものです。とりとめのない文章でしたが、ここまで読んでいただきありがとうございました!