IP RIP ~チザイの雑談~

知的財産(Intellectual Property)の「かゆいところに手が届く(Reach the Itchy Place)」お話です。

商標『パロディ商標の運命』[リッキー]

今でもパロディ商標出願なされているようです。

 

そもそもパロディとは?

 

パロディ(英語: parody、ギリシア語: παρωδία)とは、他者によって創作された文学音楽美術演説などを模倣した作品、あるいは作り替える行為そのものを指す。

後述の通り定義は幅広く、ユーモア皮肉などの付加が必須なものから、それらが全くないものまで含む。

 

 

超有名な事件と言えばこれなのかもしれないのは、「パロディーモンタージュ事件」です。

 

複数のスキーヤーが白い雪山に複数の滑走痕を残しながら白い雪山を滑走する原画に対して、白い雪山の頂上に自動車のゴムタイヤを置き、複数のスキーヤーが自動車のゴムタイヤの溝形状の滑走痕を残しながら自動車のゴムタイヤから逃れるかのような情景を彷彿させるパロディを作成した事件です。同一性保持権を侵害していると判断されています。

 

スキーヤー滑走

 

商標にもパロディは多くあります。

 

最近ではこんなのがあるようです。

 

のん兵衛

 

どん兵衛のパロディに見えますね。


www.youtube.com

 

有名なパロディ商標

 

★フランク三浦

スイスの高級時計「フランク・ミューラー」のパロディ商品「フランク三浦」です。

 

「フランク・ミューラー」と「フランク三浦」とは、称呼が類似するが、外観はカタカナ漢字を組み合わせているから「フランク・ミューラー」と明確に区別し得るとし、観念は「フランク三浦」の名または名称の日本人ないし日本人と関係を有する人物が想起され、高級時計を想起させる「フランク・ミューラー」と大きく相違すると判断しています。

 

また、称呼が類似するだけで、称呼が類似するだけで出所が識別される実情もなく、出所について誤認混同が生じる恐れがないとも判断しています。

 

★シーサー

アメリカライオンのピューマから命名した四足動物の外観について外観上の際は認められるものの外観全体の印象は相当似通ったものであるということができると判断しています。

また、シーサーの商標からは何も生じないが、引用商標からは「プ ーマ」又は「ピューマ」の称呼を生じ、「PUmAのブランド」としての観念を生じるものであると判断しています。

また、指定商品には取引者、需要者にも共通性があるとしている。本件商標を使用した商品は、原告又は被告と一定の緊密な営業上の関係等を誤信させる恐れがあると判断しています。

 

★クーマ

同じくアメリカライオンのピューマから命名した四足動物の外観については看者に外観上酷似した印象を与え、観光土産は土産店のみならずデパート等でも販売されているという取引実情も考慮して出所に混同を生ずる恐れがあると判断しています。

 

面白い恋人

石屋製菓は「白い恋人」を製造しています。吉本興業の子会社は「面白い恋人」を販売し、石屋製菓に商標権侵害を理由として訴えられましたが、その後、和解が成立しましました。和解が成立したので、裁判所でどのような判断がなされたのかは明らかではありません。一度は揉めた両社ですが、近年ではコラボしているようです。

 

 

パロディ商標のその後(令和3年(行ケ)第10101号~第10104号)

 

シーサーについて出所に混同を生ずる恐れがあると判断されましたが、また別の商標登録出願をし、商標登録を受けていました。

 

これらに対して、出所に混同を生ずる恐れがあると訴えられましたが、これらの登録商標が登録から5年を経過しており、除斥期間を経過していること、不正の目的がないことを理由に4条1項15号に該当しないと判断されています。

シーサー関連商標

黒色の「SHI-SA」の文字部分があり、「🄫」があったりなかったりします。

 

「SHI-SA」の下に比較的小さく表記された「OKInAWAn ORIgInAL」及び「gU ARDIAn ShIShI-DOg」の文字部分があります。これは、黒文字だったり、赤文字だったりします。

 

また、黒色の「SHI-SA🄫」の文字部分が、「JUMPING SHI-SA」に置き換えられたものもあります。

 

そして、シーサーのデザインが4つとも微妙に異なります。

 

4つの商標とも、外観、称呼、観念が、原告の商標と異なると判断されています。どうしたら、外観、称呼、観念が異なると判断されるのか、参考になると思います。

 

原告は、裁判において、動物図形と文字部分を分離して、前回同様に動物図形が類似すると主張しました。

 

しかし、上記の4つは動物図形よりも文字部分が大きな面積を占めています。文字部分が自他所品識別機能を発揮しているから、文字部分を捨象し動物図形だけに着目することはないと判断されました。

 

まとめ

 

パロディ商標についてまとめてみました。結果としては、人間はパロディを愛してやまないことがわかりました(笑)。ただし、違法なことはしないようにしましょう。

 

シーサー事件のあと、シーサーの商標について別の判決があることをいまさらながら知りました。これらからは、外観、称呼、観念が異なると判断されるには何をどのくらい異ならせるといいのか参考になるようにも思いました。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

リッキー

 

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