GWも終わりましたね。いかがでしたでしょうか。
悪い天気が予想されていましたが、ふたを開ければ週末の土日の天気崩れる程度で済みましたね。
昨年、メタバースについて書かせていただきましたが、今回もメタバースのネタです。
メタバースについてもパブリックコメントが募集されていました。みなさんにもパブリックコメントの提出を・・・なんて書こうと思っていましたら、こちらの締め切りは5月7日まででした。GW明けまで待ってくれなかったのかと・・・。
「メタバース上のコンテンツ等をめぐる新たな法的課題等に関する論点の整理(案)」に係る意見募集|e-Govパブリック・コメント
基本的には、30日間の意見募集期間が定められるのですが、特別な理由があれば、30日未満の意見募集もできます。今回は、「案の策定に当たり検討事項が多く、当初予定よりも多くの期間を要していることから、30日の期間を取ることが難しいため」という理由だったようです。
さて、今回は、このパブリックコメントから、検討事項の一つである、現実空間と仮想空間を交錯する知財利用等についてピックアップしたいと思います。
課題1
実在する物品のデザインを模した仮想オブジェクトが、無断で作成され、公開・販売されるケースがある。
例えば、アバターの着る衣類です。
特許、意匠は、実在する物を保護する制度ですから、仮想空間に適用できるかというと・・・なかなか難しいように思います。意匠に関しては、「画像の意匠」を保護することができますが、「物品」を特定して権利を取得する観点から、適用が全くできないということはなさそうです。
ただ、現状では、仮想空間に保護範囲を広げることは意図されていないので、法改正が必要になりそうですし、慎重さも求められそうです。
となると、何で保護ができるのかというと、商標権や著作権ではないかと思います。
商標権は、自他商品識別機能、出所表示機能、広告宣伝機能を侵害から保護します。ということで、現実空間か、仮想空間かの区別はないと思われます。
たとえば、メタバース空間のこの建物はあのブランドがついているから、あのブランドもメタバース空間で何かやっているのかなとか、NFTを売っているのかなとか、思うと予想します。
そうすると、出所表示機能を発揮しています。現実空間と仮想空間との区別はなさそうです。
また、著作権は、デザイン等を保護する代表格ですし、こちらも現実空間か、仮想空間かの区別はないと思われます。デザインでしたら、同じものを現実空間でも仮想空間でもつかえるものが存在しえます。
ただし、商標権の場合は指定商品に仮想空間に関する指定商品役務を指定しておかないとならないですし、著作権の場合には著作物性(創作性含む)のハードルがあります。
著作物であるかでは、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するかがまず大きなハードルになります。文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属さないとなるとアウトです。また、創作性も、伝統的に著作物と認められる範囲にあっても、分野によって創作性のハードルが違うように思われます。
たとえば、以前書かせていただいたこちらの記事では、写真の著作物でありながらも、料理の写真については独特の判断があるように思いました。私が不慣れなだけで、業界では当たり前なのかもしれませんが。
また、こちらの記事では、電話ボックスを金魚鉢に見立てて電話ボックスの中に金魚を泳がせるのですが、これだけでは創作性が認められず、浮いている受話器からエアーが出ている点に創作性が認められています。
仮想空間だから創作性のハードルが下がるというようなことがあれば、現実空間と仮想空間を交錯する場合でも、著作権が秩序をもたらしてくれると思います。
そのような中、不正競争防止法が注目されています。不正競争防止法は、商品形態模倣行為を不正競争行為としています。この「商品形態」には実在する物が対象でしたが、今年の法改正により、無体物も含まれることになりました。不正競争防止法も、実在する物品のデザインを模した仮想オブジェクトが、無断で作成され、公開・販売されるケースを防いでくれそうです。
まとめ
メタバースに関するパブリックコメントを基に書かせていただきました。既存の法律でどこまでメタバース空間内で起こっている困った問題に対処できるか有識者が検討していますので、読みごたえがあると思います。あと、私の意見も書かせていただきました。パブリックコメントを提出してはいませんが・・・。
まだまだメタバース空間内で起こっている困った問題があります。次回も、紹介させていただければと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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