IP RIP ~チザイの雑談~

知的財産(Intellectual Property)の「かゆいところに手が届く(Reach the Itchy Place)」お話です。

知財『知財経営の実践に向けたコミュニケーションガイドブック』[リッキー]

4月21日に特許庁から下記の発表がありました。

 

「知財経営の実践に向けたコミュニケーションガイドブック~経営層と知財部門が連携し企業価値向上を実現する実践事例集~」について | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)

 

ガイドブック

 

知財経営の実践に悩む企業では、経営層、知財部門が、知財部門の役割を、既存事業等を守るための知財管理として限定的に捉え、相互のコミュニケーションもその範囲内に留まっています。そのため、知財経営の実践に悩む企業では、知財部門の役割に対する意識を変えることが必要です。

 

資料が置かれているフロントページには上記のような記載があります。やはり、「知財部門の役割を、既存事業等を守るための知財管理として限定的に捉え」と課題として記載されてしまうと、これが悪なのかというと実はそうではないと思うのです。

 

 

平成19年特許庁作成資料



 

untitled (jpo.go.jp)

 

平成19年(2007年)に戻ってみると下記のような資料があります。この時点では、知的財産管理を戦略的にやりましょうと特許庁が旗振りをしています。

 

特許庁が間違ったことをしているのかと言えば、そうではないと思います。この時点では、発明が生まれたら、兎にも角にも出願する。そして、権利化する。このようなパターンに陥っていたと思います。

 

権利を振り返ってみたら孤立点のようになんらまとまりもなく、権利行使しようにも、簡単に回避される。そのような現実があったのかと思います。

 

今では当たり前ですが、「群管理」というのがキーワードだったように思われます。これは孤立点のような権利とは違い、権利回避が困難にするという効果があったと思います。

 

 

さて、「群管理」達成したから次は何かというと、楠木健氏の「ストーリーとして競争戦略」、小川紘一氏の「オープン・クローズ戦略」と流行が続いていくのではないかと思います。

 

オープン・クローズ戦略の後は、競争ではなく「共創」ですね。もの消費からコト消費へユーザ嗜好が変わっていくのに合わせて新事業が必要になったのが背景にあるかなと思います。コロナ前後に始まったトレンドでしょうか。

新事業創造に資する知財戦略事例集~「共創の知財戦略」実践に向けた取り組みと課題~について | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)

 

 

ざっくりと群管理からこのような流れがある中、なかなか知的財産の活用が進まないことへの解決策の提案と考えられます。

 

知財部門の役割として、権利化のみならず、知的財産の可視化や事業アピールまで役割としたり、社会課題解決のための知的財産活用を役割としたり、しています。

 

また、知財部門と経営層との間に、知識や情報の量及び質のギャップが存在していることが課題として挙げられています。

 

これも平成19年(2007年)に戻ってみると、「CIPOの設置と役割」ということがしっかりと提案されています。CIPOがこの課題を解決するために役割を果たすべきはずですが、おそらく設置されていないのでしょう。今日も課題として挙げられ理由だと思います。

 

CIPOを設置できないとすればどうしたらいいか。

 

知財経営の実践に向けたコミュニケーションガイドブック』にはその事例が記載されていると思います。知財部門は、経営層に目線を合わせて、経営層に刺さる言葉を使えるようになろう。それが提案されているのだと思います。

 

まとめ

 

知財経営の実践に向けたコミュニケーションガイドブック』について紹介しました。知財部門が新たな役割を持て、変化しろと叱咤激励を受けた感じがします。知財本来の役割を忘れることなく、新たな役割も模索していきたいと思います。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

リッキー

 

 

 

 

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