IP RIP ~チザイの雑談~

知的財産(Intellectual Property)の「かゆいところに手が届く(Reach the Itchy Place)」お話です。

著作権の雑談『立替マンション設計図事件』[リッキー]

前回まで、建築の著作物

を見てきました。

 

今回からは、図形の

著作物を見てみましょう。

 

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/124/085124_hanrei.pdf

 

繰り返しなり

しつこいのですが、

 

でも、大切なので、

なんどでも、著作物の

定義を振り返って

おきたいと思います。

 

  • 思想又は感情を
  • 創作的に
  • 表現したものであって、
  • 文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するもの

 

でしたね。

 

図形の著作物ならでは

の判断要素はある

のでしょうか。

 

判決文を見てみましょう。

 

そして,控訴人図面は,本件建物の設計図面であるから,著作権法10条1項に例示される著作物中の「地図又は学術的な性質を有する図面,図表,模型その他の図形の著作物」(著作権法10条1項6号)にいう「学術的な性質を有する図面」に該当するものと解されるところ,建築物の設計図は,設計士としての専門的知識に基づき,依頼者からの様々な要望,及び,立地その他の環境的条件と法的規制等の条件を総合的に勘案して決定される設計事項をベースとして作成されるものであり,その創作性は,作図上の表現方法やその具体的な表現内容に作成者の個性が発揮されている場合に認められると解すべきである。もっとも,その作図上の表現方法や建築物の具体的な表現内容が,実用的,機能的で,ありふれたものであったり,選択の余地がほとんどないような場合には,創作的な表現とはいえないというべきである。

 

建築物の設計図は、

図形の著作物

に該当するのは、

いいでしょう。

 

設計図を書く人

 

設計図ですので、

建築の著作物

ではありません。

 

なので、建築物

のように、

美術の著作物と

同じように、

 

独立して美的鑑賞の

対象となる必要は

ありません。

 

むしろ、図面なの

ですから、

 

その作図上の表現方法や

建築物の具体的な表現内容

が注目されます。

 

ここに個性が発揮

されているか?

 

創作性があるのか?

問われることになりますね。

 

建築物の設計図

についても、

創作性の判断では、

 

ありふれた表現

選択の幅

 

が見られるようです。

 

当然、ありふれた表現、

選択の幅が狭いとなると、

創作性は認められません。

 

まず,作図上の表現方法については,一般に建築設計図面は,建物の建築を施工する工務店等が設計者の意図したとおり施工できるように建物の具体的な構造を通常の製図法によって表現したものであって,建築に関する基本的な知識を有する施工担当者であれば誰でも理解できる共通のルールに従って表現されているのが通常であり,作図上の表現方法の選択の幅はほとんどないといわざるを得ない。

 

と説示されています。

 

建築物の設計図は、

意図したとおりの

施行ができるように

記載したら、

 

それだけでありふれた表現

から逃れにくそうです。

 

設計者が可読性を失って

までも変わった表現を

しないと創作性は

発揮しにくそうです。

 

また、選択の幅に

ついても触れられています。

 

建築に関する基本的な

知識を有する施工担当者

であれば誰でも理解できる

共通のルールに従って

表現されている

となると、

 

ルールをぶち破った

記載がないと、

選択の幅も

認められにくそうです。

 

施行担当者に

きらわれるような

設計図を書いていると

仕事になりません。

 

建築物の設計図で

著作物性を発揮する

ことは難しそうです。

 

ところで弁理士の中には

いろいろなバックグラウンド

を持った人がいます。

 

もちろん、昔は、

図面を作成していた

人もいます。

 

図面作成の経験のある

弁理士に、設計図の

著作物性を聞くと、

 

著作物性あるでしょう!

って返事が返って

きました。

 

たとえば、図面作製で、

重要な寸法に数字を

いれて、そうでもない

方は割愛することがある

そうです。

 

100センチ中10センチ

の部分が大切で、

90センチの部分の

重要度が劣る場合、

 

全体が100センチとの

寸法を書きますが、

次に10センチの寸法を

書いて、

90センチの寸法を書かない

のだそうです。

 

彼らに聞くと、

ここに思想又は感情が

表れているでしょうと

説明してくれます。

 

全体のどこの

部分が重要で、

重要でないか

がはっきりします。

 

このようなことは、

弁護士が代弁していない

かもしれせんね。

 

もしかすると、

今回の事件でも

主張のいかんによっては、

 

設計図に著作物性が

認められたかも

しれません。

 

まとめ

 

  • 建築物の設計図では、創作性判断時に、ありふれた表現か、選択の幅が広いか、判断される

 

  • 建築物の設計図は、施行者が施工しやすく記載ルール等が決まっており、ありふれた表現になりやすく、選択の幅も狭い

 

  • 建築物の設計図では、個性が発揮されておらず、思想又は感情が表現されていないと判断されることもあるが、主張の仕方次第では、違う判決を得られるかもしれない

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

今週も知財の雑談を楽しみましょう。

今週は、設計図の雑談を楽しむのはいかがでしょうか。

 

 

 

リッキー

 

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