IP RIP ~チザイの雑談~

知的財産(Intellectual Property)の「かゆいところに手が届く(Reach the Itchy Place)」お話です。

著作権の雑談「奨学金ルポ事件」[リッキー]

前回から、

著作権等の

知的財産権侵害

に該当しない行為

について、

 

民法上の不法行為

の成立が認められる

事件を見ています。

 

前回までは下記の

事件を見てきました。

 

民法上の不法行為が認められた事件

 

木目化粧事件

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/767/014767_hanrei.pdf

 

翼システム事件

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/333/034333_hanrei.pdf

 

ミーリングチャック事件

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/945/009945_hanrei.pdf

 

通勤大学法律コース事件

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/781/032781_hanrei.pdf

 

 

民法上の不法行為が認められなかった事件

 

北朝鮮映画事件

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/813/081813_hanrei.pdf

 

釣りゲータウン事件

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/492/082492_hanrei.pdf

 

ディスプレイフォント事件

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/575/084575_hanrei.pdf

 

放置少女事件

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/590/090590_hanrei.pdf

 

さて、今回はこちら。

今回は、奨学金ルポ事件です。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/428/091428_hanrei.pdf

 

どのような事件だったか

といいますと、

 

控訴人は、

奨学金制度の

「金融ビジネス」化の

動きを批判する論稿の

執筆を依頼され、

 

論稿を完成させ

ました。

 

重たい奨学金

 

その中に控訴人が

著作物性があると

主張する部分が

含まれていました。

 

  • 2004年度(平成16年度)をターニングポイントと捉えたこと
  • 2010年度(平成22年度)の「利息収入」及び「延滞金収入」、同年度期末の「民間銀行からの貸付残高」及び「年間の利払い」並びに「サービサー」からの「回収」額及び「手数料」額を示したこと

 

これらの部分です。

 

裁判所は、

 

転換点については複数の記事

によって示されていたこと

だと判断しました。

 

また、各種数値については、

個性が表現されたものでは

ないとの判断をしています。

 

つまり、著作物性が

認められませんでした。

 

それでは、民法上の不法行為

はどうでしょうか?

 

デッドコピーだと控訴人は

主張しています。

 

デッドコピーだから、

特段の事情があって、

民法上の不法行為

認められるべきとの

主張でした。

 

ところが、裁判所は、

特段の事情はないと

判断しています。

 

もとの記載に、

著作物性がないからです。

 

それに、

奨学金問題が広く認識され、

公開資料から把握もでき、

 

被控訴人は、脚注に

控訴人の資料を参考として

記載していた

 

など、が考慮されました。

 

やはり、

民法上の不法行為

認められませんでした。

 

まとめに代えて本日の痒い所

 

  • 事実や数字を記載しただけでは、個性は認められにくい

 

  • デッドコピーだからといって、民法上の不法行為が認められるわけではない

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

今週も知財の雑談を楽しみましょう。

今週は、奨学金をテーマに雑談するのはいかがでしょうか。

 

私も奨学金は借りましたが、無事、返済し終わりました。

 

リッキー

 

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