前回から言語の著作物
の有名な裁判例を
見ています。
前回まで。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/627/036627_hanrei.pdf
ラストメッセージin最終号事件
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/818/013818_hanrei.pdf
今回は、
YOL(ヨミウリ・オンライン)事件
です。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/350/009350_hanrei.pdf
オンライン記事の見出し部分
についての著作物性が否定
されました。
簡単な復習として、
「ありふれた表現」
には創作性は、
認められません!
否定された見出しと、
その特徴を見てみましょう!
「マナー知らず大学教授,マナー本海賊版作り販売」
マナーという語句を
掛け合わせた語呂合わせ
です。
記事見出しにおいて
駄洒落や語呂合わせが
行われるのは珍しい
のでしょうか?
編集記者でなくとも
標準的な成人日本人程 度の
日本語力がある者であれば、
誰でも思いつく
とのことで創作性が否定
されました。
確かに私も、
がんばれば書けそうな
気がしてきます。
「A・Bさん,赤倉温泉でアツアツの足湯体験」
これは夫婦の熱愛の
熱さと、
温泉の熱さをかけ
あわせた、駄洒落ですね。
駄洒落はダメな
感じがしてきますね。
駄洒落に著作権が
発生すると、
おちおち駄洒落も
発声することが
できません。
生活しにくくて
たまらないですね。
AIとカメラで行動が
監視される時代に
なりましたが、
AIと音声で言動も
監視できそうですが、
創作性の基準が
このままであれば、
駄洒落を発して、
損害賠償を取られる
というような
ことにはならなそうで
よかったです。
「道東サンマ漁,小型漁船こっそり大型化」
こっそり、と聞いて、
なんだか悪いことを
想起させる記載ですね。
つまり、言い換えです。
これには、思想又は感情が
ともなっていそうです。
でも、こっそりと書くと
何だか悪いことを
していることを想起する
のは、多くの人が
可能かと思います。
でも、判決文には、
ずるさは感じられないと
あります。
おっ、おお、
ずるさは感じないのですね。
ちょっと差を感じました。
「中央道走行車線に停車→追突など14台衝突,1人死亡」
「国の史跡傷だらけ,ゴミ捨て場やミニゴルフ場…検査院」
「『日本製インドカレー』は×…EUが原産地ルール提案」
これら3つは、
→や…や×
という記号に創作性が
あるのではないかと、
主張がなされました。
ただ、これらの記号には
創作性は認められませんでした。
→や…や×
を使っただけで、
されてはたまった
ものではないですね。
一字一句違わない文章を
書いたとしても著作権侵害は
ごめんです。
裁判所は、このような
観点から判決をしているので
しょう。
一般市民は,控訴人のようなマスコミに接することにより世の中での事象を知るのであるから,一般市民の時事報道に関する表現はほとんどマスコミに依拠せざるを得ない。このような状況の下で,「記事見出し」に著作物性を肯定し,各マスコミにその著作権を肯定したならば,マスコミ以外の一般市民は表現方法を失うことになる。結局,一部のマスコミだけが表現や情報を独占する不当な事態を招く。
良かった!
まとめに代えて本日の痒い所
- 駄洒落や語呂合わせの短文には創作性は認められない
- 言い換えの短文には創作性は認められない
- 文中に記号を伴う短文には創作性は認められない
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今週も知財の雑談を楽しみましょう!
創作性を伴わない短文にはどのようなものがあるか、雑談してみるのはいかがでしょうか。
★★IP RIPは、Yuroocleさんに参加させて頂いております★★