前回から、
美術の著作物について
見てきました。
仏壇彫刻事件
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/301/014301_hanrei.pdf
今回は、黒烏龍茶事件です。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/167/037167_hanrei.pdf

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/167/037167_option1.pdf
さて、これに
著作物性はある
でしょうか?
そもそも著作物性ですが、
復習してみましょう。
(a)思想又は感情を
(b)創作的に
(c)表現したものであって
(d) 文芸 学術 美術又は音楽の範囲に属するもの
でしたね。
などの文字が読み取れます。
これらの文字は、
情報伝達をしている
だけのようですので、
思想又は感情を
伴っている感じではありません。
「商品名, 発売元, 含有成分,特定保健用食品であること,機能等を文字で表現したものが中心で 黒,白,及び金,の三色が使われていたり,短冊の形状や大きさ,唐草模様の縁取り,文字の配置などに一定の工夫が認められるものの」
と判決文の中にあります。
黒,白,及び金,の三色を使うこと
短冊の形状や大きさ
唐草模様の縁取り
文字の配置
には、一定の工夫が
あることから、
創作性を認めても
良さそうなニュアンスが
窺われます。
もちろん、これらは
表現であることに
疑いはありません。
となると、あとは、
(d) 文芸 学術 美術又は音楽の範囲に属するもの
だけが問題となる
でしょうか・・・
ところが、これは、
文芸、学術、音楽
の範囲でなく、
美術の範囲にあり
そうです。

となると、ハードルが
一段上がりましたね。
いわゆる応用美術の領域に属するものは,鑑賞の対象として絵画,彫刻等の純粋美術と同視し得る場合を除いて,これに含まれないことを示していると解される
とあります。
純粋美術と同視
できるかと問われると、
飲料のパッケージ
ですからね
ハードルが高い気が
します。
応用美術であって、
純粋美術と同視
できないから、
著作物性が否定
されています。
最近では、箱売りされる
ペットボトル飲料は、
ペットボトルにラベル
が付いていないものが
売られていますよね。
箱売りでされないものも
ラベル剥がされちゃうと、
あとは、蓋でしか
何の飲料か判断が
難しくなります。
でも、箱買いするときは
箱で中身が分かれば
それでいいですから、
ラベル剥がされても
大丈夫ですよね。
ラベルが付いていないのは、
プラスチック削減
のためだと思いますが、
環境対応をやりすぎると、
ユーザビリティが低下
してしまいますね。
よいバランスはどこに
あるのでしょうか。
もしかすると、
ラベルデザインに
著作物性が認め
られやすかったら、
ラベルも剥がされ
にくかったかもしれません。
でも、著作物として
保護されにくいのであれば、
ラベルなくてもいいか
と思いやすいですね。
あとは、意匠や商標で
がんばって保護を図る
しか道はなさそうですから。
まとめに代えて本日の痒い所
- 美術の著作物には、純粋美術と応用美術がある
- 応用美術は、純粋美術と同視できなければ、著作権で保護されない
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今週も知財の雑談を楽しみましょう。
今週は、ペットボトルのラベルについて雑談するのはいかがでしょうか!?

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