IP RIP ~チザイの雑談~

知的財産(Intellectual Property)の「かゆいところに手が届く(Reach the Itchy Place)」お話です。

特許・弁理士「小学生に特許制度を伝えたい!」【MI】

こんにちは。

いよいよ年の瀬大晦日。今年はコロナ禍で、知財業界も例外ではなく、外で知財の話をする機会は減ってしまいました。

そんな中ですが、過日、地元の小学校にお邪魔しまして、「職業について学ぶ」というテーマで話す機会をいただきました。私(弁理士)の他に、保育士さんや大工さんなどいらっしゃったんですが、なかなか弁理士は人気がないようで、、、なかなか私の話を聞きに来てくれた子が少なかったです(泣)。割と優秀そうな子が渋々(先生に頼まれて?!)来てくれてた感があったのが印象的でした。

ということで、今回は、もっと知財(特許制度)を身近に!弁理士を人気のある職業に!子ども(主に小学生)向けの知財活動について考えてみたいと思います。

 

 

弁理士会の活動について

教育用教材の提供

日本弁理士会のホームページでは、学校教育用の教材が提供されています。

www.jpaa.or.jp

小中学校向けとして、動画「はつめいってなあに?」や「パン職人レオ君の物語」、「工作教室」のネタが提供されています。

弁理士会では、これらの教材を基に出張授業もしています。私も、委員会の活動の中で、「パン職人レオ君の物語」をアテレコで上演したり、各種「工作教室」の講師として小学校で講義したことがあります。

 

入り口としての「工作教室」

これらの教材の中だと、「工作教室」は盛り上がります。単に、動画を見せるよりは、積極的に取り組んでくれる感じはします。また、工作(物を作る)という目的がハッキリしているため講師による差が出にくい点、作った物が手元に残るため成果が見えやすい点、にもメリットがあるかなと感じます。しかし、ちょっとした違和感を感じることがあります。

 

「工作教室」で感じる違和感

それは、弁理士は「発明」の専門家というよりは「特許」の専門家ではないのかもっと「特許(特許制度)」についてしっかり伝えられないかということです。

広く「発明」について知ってもらうことで、結果「特許制度」の理解や利用が進むということはあると思います。が、もっと積極的に『「特許制度」を理解してもらう/メリットとともにデメリットも伝えたい!』というのがあります。

 

「親子発明教室」でやってみたこと

「発明」をさせて「出願」させる

そこで、これも過日に地元で開催した「親子発明教室(持ち時間:1時間)」で、『特許制度がない場合とある場合の結果の違い』を感じてもらえるようなチャレンジをしました。簡単に以下の通りです。

  • 工作は簡単なもの(市販のプロペラカー:下記参照)
  • 改造させる(速く走るための「発明」をさせる。太さや長さの違うゴム等を事前に用意。)
  • 「発明」を申告(出願)させる(付箋に書いて提出)
  • 競争する 

f:id:discussiong1:20201231085713j:plain

https://item.rakuten.co.jp/crafteriaux/23-724/?s-id=ph_pc_itemname

 

ポイントは『「発明」を申告(出願)させること』です。(早い順に並べておきます。)

そして最後に、『早い者勝ちで「発明」に「特許」があるとして、他の人の「特許発明」を使えないとしたら結果はどうなるか?』を考えてもらいました。実際にその改造を解除させることはしませんでしたが、『もし、特許を取った子以外は元に戻して、と言われたら、勝てるかな?』と。

 

子どもたちの反応

面白かった反応を2つほど紹介したいと思います。

<その1>

改造に集中して(orめんどくさがって)付箋を持ってこない子と、こまめに持ってくる子がいます。これは会社でも一緒だなぁと妙に納得しました。そして、持ってこない子は後から「それは自分が先に考えていた!」と主張します。これも一緒です。

<その2>

「ゴムを増やす」という発明が先に出ていたのに対して、「増やし過ぎると遅くなる。自分は4本がベストだと思った。」と進歩性(?!)を主張してくる子がいました。めちゃくちゃセンスを感じました。将来が楽しみです。

 

おわりに

私も小学生の子どもを持つ身として、教育について非常に関心を持っています。また、一法律家としては、法律や制度を理解して適切に使える人になって欲しいし、一専門家としては、特別なスキルを持つ人を尊敬しながら一緒に働ける人になって欲しいと思っています。

来年以降も「もっと知財(特許制度)を身近に!弁理士を人気のある職業に!」についていろいろ考えて、実行していきたいと思います。

最後に、私がよく小学生に紹介する名言で締めたいと思います。

  • 「アイデアとは、今あるものどうしの組み合わせ」(by ジェームス・W・ヤング)
  • 「私がかなたを見渡せたのだとしたら、それはひとえに巨人の肩の上に乗っていたからです。」(by アイザック・ニュートン

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

また来年もよろしくお願いいたします!よいお年を!