IP RIP ~チザイの雑談~

知的財産(Intellectual Property)の「かゆいところに手が届く(Reach the Itchy Place)」お話です。

著作『ノンタンの絵本と著作権』[リッキー]

GWが終わりましたね。GWいかがでしたでしょうか。

 

私は、旅行に出かけることもなく子供たちと毎日戯れていました。子供たちもあまり大きくないので、今しかこんな時はないなと満喫しています。そして、毎日のように絵本の読み聞かせをしますが、ノンタンの絵本を読むことも多いです。昔、読んでもらったなぁと思う本を今は読み聞かせする立場です。

 

絵本

 

さて、比較的新しめのノンタンの絵本では、本のカバーにこんな記載がある絵本があります。比較的新しめとはいうものの、私が子供時代に読み聞きしていない絵本ですけれども。

 

この作品は、生前キヨノサチコさんが紙芝居用に描かれていた原稿を、ご遺族の協力を得て、一部修正し、絵本にしたものです。

 

この作品は、2003年に出版された『ノンタン・タータンあそび図鑑』の中の「ノンタンたいそう1・2・3!はい!」のページを、ご遺族の了解を得て再構成し、新しく絵本にしたものです。

 

 

どうしてこのような記載があるのでしょうか。真実とは異なるかもしれませんが、著作権法の条文から読み解いて、推測したいと思います。

 

著作権法には、著作者が存しなくなった後の人格的利益の保護が定められています。どういうことかというと、著作者がお亡くなりになった後も著作者が生存しているときと同様に著作者人格権を侵害する行為をしてはならないというものです。

 

著作者人格権には、公表権、氏名表示権、同一性保持権が含まれます。簡単に言えば、公表権は未公開の著作物を公開するか否かを著作者が決められるという権利、氏名表示権は著作物に著作者の名前を掲載するか掲載しないか及び掲載する場合に実名にするかペンネームにするか等決められる権利、同一性保持権は著作物を勝手に改変されない権利です。そして、著作者人格権は著作者に一身専属しており、著作者が亡くなると消滅します。

 

このため、著作者がお亡くなり著作者人格権が消滅した後も、著作者を保護するためにこのような条文があるのです。そう、好き勝手にノンタンの話を書き換えられないようするためです。

 

好き勝手にノンタンの話を書き換えたらどうなるのでしょうか。書き換える行為は改変に当たりますので、同一性保持権と関連してきます。もし、この書き換え行為が著作者の意を害するような改変だとした場合には、遺族が改変行為を差止たり、改変行為により名誉を失墜させるようなことをしていれば名誉回復の措置請求を行うことができます。

 

ここからは想像になりますが、出版社は、遺族の協力や了承を得て、絵本にしやすいように改変をしたのだと思います。著者の事情をよく知る遺族の協力や了承を得ていれば、作者の意を害するような改変になることもないとも思います。

 

それにしても、ノンタンの絵本は大人になってから読んでも楽しいですね。絵本を読みだすと、テレビに気を取られていた子供が絵本のところに駆け寄ってきます。子供にとってもテレビよりも楽しいものなのでしょう。

 

まとめ

 

ノンタンの絵本にあった記載を基に、著作者がお亡くなりになった後の人格的利益の保護について記載してみました。亡くなった著作者の著作物を勝手に改変して、著作者の意を害するような行為を慎みましょうという内容です。著作権法はこんなところも保護しているんだ、と気づきになってくれたら嬉しいですし、より著作権法が身近になってくれたらさらに嬉しいです。

 

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リッキー