IP RIP ~チザイの雑談~

知的財産(Intellectual Property)の「かゆいところに手が届く(Reach the Itchy Place)」お話です。

著作権の雑談『住宅展示場にある住宅に著作物性はあるのか?』[リッキー]

 

応用美術には、

意匠権著作権の棲み分け

という問題がありました。

 

 

discussiong1.hatenablog.com

 

discussiong1.hatenablog.com

 

 

他の著作物には存在

しないのでしょうか?

 

ええ、存在するのです。

 

それが、建築の著作物です。

 

例えば、住宅展示場にあるような住宅に著作物性が認められるとなると、改変の制約を課されるという利便性の低い住宅を買うものは減るであろうから、著作物性が認められるがゆえに商品としての価値は下がり、著作者にとっても不利益な結果になりかねない。従って著作物と実用物の棲み分けを判断するという観点から、芸術性の判断をする必要が生じるが、芸術性のレベルは裁判所に判断させるべき問題ではないし、また裁判所で判断できる問題でもない。ここでいう芸術性のレベルの判断とは、客観的に見て機能性・実用性を追求したものであるか否かという判断であり、実用性本位の建築物は建築美術ではない。つまり、著作権法の保護を受けるものではないということを意味するに過ぎない。

著作権法 第3版」 中山信弘著 有斐閣 106ページ

 

 

せっかく買った住宅に

増改築ができないのは

不便ですし、

 

それぐらい自由にさせて

くれというのが購入者の

心理であると思います。

 

住宅

 

著作権法での保護は

適していないさそうです。

 

一方、令和元年の法改正

により、不動産がそもそも

保護対象でなかったのが、

不動産である建築物も

保護対象となりました。

 

どういう建築物が意匠法の

保護を受けられるのかは、

こちらもご参考ください。

 

 

discussiong1.hatenablog.com

 

 

建築の著作物については、

意匠権著作権の棲み分け

の問題が存在します。

 

しかし、その一部は、

令和元年の法改正で

解決が図られている

ように思えます。

 

庭園などは、やはり、

著作権法での保護が

図られるのでしょうね。

 

さて、増改築が問題

なのであれば、

 

著作権法第20条第2項第2号

の規定があるではないかと、

ご指摘を受けそうです。

 

建築物の増築、改築、修繕

または模様替えであれば、

同一性保持権の適用が

ありません。

 

これで安心か?と言われると、

同一性保持権が出てくると、

翻案権が気になります。

 

契約でも、同一性保持権、

著作者人格権の不行使の条項を

入れたりしますが、

 

譲渡契約の場合は、おそらく、

翻案権の譲渡も受けているはずです。

 

同一性保持権、翻案権の

境界がはっきりしないからでしょう。

 

著作権での保護は、

まだ解決すべき問題が

いくつかありそうです。

 

やっぱり、住宅展示場にある住宅

については、意匠権での保護が

適しているように思います。

 

まとめに代えて本日の痒い所

 

  • 住宅展示場にある住宅に著作物性が無い方が、購入者及び販売者にメリットがある

 

  • 建築物は令和元年法改正により、意匠法で保護が可能になった

 

  • 同一性保持権の規定が適用されない場合であっても、翻案権が気になる

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

今週も知財の雑談を楽しみましょう。

今週も著作権の雑談はいかがでしょうか?

 

リッキー

 

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