IP RIP ~チザイの雑談~

知的財産(Intellectual Property)の「かゆいところに手が届く(Reach the Itchy Place)」お話です。

商標「指定商品等を記載する時の注意点」【MI】

こんにちは。MIです。

ついにGWが始まりました!11連休の方もいるとのことで羨ましいです。私は、しっかり間の平日は出勤です。。。

さて、今回は、先日弁理士会から「商標審査便覧の改訂に伴う実務上の注意点について」の案内があったときに考えてみたことを書いてみたいと思います。商標についてそこまで得意ではないので初心者向けですが、逆に基本的なことを知ってもらうor振り返ることができるかなと思います。お付き合いのほど、よろしくお願いします!

 

 

「指定商品・役務」って?

商標登録出願をするときには、「商標(マーク)」と「指定商品・役務(以下、まとめて指定商品等といいます。)」を記載します。要は、「そのマークを何に使うのか」を書くということです。

商標権は「マーク+指定商品等」で権利範囲が決まるため、「指定商品等」の指定は非常に重要です。出願に関しては、極端な話、マークが全く同じでも指定商品等が全く違えば登録される可能性があります。

 

指定商品等の「区分」って?

「指定商品等」は、明確に、かつ定められた「区分」に従って書かないといけません。「区分」は、政令で決まっており、下記のページ等で調べることができます。

 

類似商品・役務審査基準〔国際分類第11-2022版対応〕 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)

特許情報プラットフォーム|J-PlatPat [JPP] (inpit.go.jp)

(「商標]タブから「商品・役務名検索」)

上記の特許庁URL内の「各類に属する商品及び役務の概要」は、各区分に属する商品等の大まかな枠を知るのに役立ちます。

info11.pdf (jpo.go.jp)

また、「Toreru Media」さんが、表形式で見やすい「商標の区分一覧表(分類別)」を公開してくれています。

わかりやすい!商標の区分一覧【2022年最新版】 | Toreru Media

 

今回の注意点のポイント

今回の注意点の基になる改訂は、去年(令和3年3月)に行われたものです。その中でも「指定商品又は指定役務の審査に関する運用について」がポイントになると思います。

46_01.pdf (jpo.go.jp)

特に上記資料の「5.」項のところで、要するに「これからは、区分を考慮して指定商品等の材質や用途等について特定する」ということです。

上記資料の例で言えば、区分を「第6類(卑金属及びその製品)」として「郵便受け」を指定した場合、それは「金属製郵便受け」と特定(限定して解釈)するということです。

 

「今まで」と「これから」の違い

今まで(令和3年3月以前)であれば、「第6類 郵便受け」と書いた場合、以下の拒絶理由が出されていました。

  • 「何製」か不明確(商標法6条1項)
  • 金属製以外のものは当該区分に属しない(例えば、石製のものは第19類)(同条2項)

それに対しては、以下のような対応がされてきました。

  • 商品を「金属製郵便受け」に補正
  • 材質による適切な区分&商品を追加や分割(「第19類 石製郵便受け」等)

そして、これから(現在)は、「区分を考慮して指定商品等の材質や用途等について特定する」結果、上段の対応が不要になる一方、下段の対応ができなくなります。

 

よく考えると恐いかも、、、?!

ぶっちゃけ、材質や用途によって「区分」が違うなんてことを知らかった(又は気付かなかった)場合、「今まで」は拒絶理由によって気付くことができました。その上で、「金属製」のみで良ければ「金属製郵便受け」と補正するし、「石製」も欲しければ「第19類 石製郵便受け」を追加すれば良かったわけです。これからはそれができません。

また、上記の「郵便受け」の例の場合、「金属製(第6類)」、「石製(第19類)」、「金属製又は石製のものを除く(第20類)」の類似群コード(特許庁が指定商品等の類否を判断するために付けているコード)が一緒(19B35)なため、特許庁での審査における後願排除効という意味では、限定解釈されてもある程度の効果はあると思います。しかし、侵害訴訟時には、取引の実情等を踏まえて「金属製(第6類)」の商標権で「石製(第19類)」の商品を排除できない可能性もあります。

出願時に、適切な区分、当該区分に含まれる材質&用途の範囲、他区分の指定の要否をしっかり検討することが必要です。特に「○○製」とか「○○用」という記述があったら要注意です。他の材質や用途についても権利化が必要かどうか検討しましょう。

 

疑問点

特許庁の資料の例(郵便受け)はわかりやすいのでいいんですが、どの区分に属するか微妙なものの場合はどうなるのでしょうか?上記の運用が適用されて「区分+商品等の記載」で出願人が材質や用途等を特定したと解釈された結果、他区分の追加補正や分割ができないケースが出てくるのでしょうか?複数の区分に跨がる商品のセット物とかはどうなるのでしょうか?そのような場合は上記の運用は適用せず、従来通りの対応を許容してくれるのでしょうか?

いろいろ分からないことについては、今後情報収集&勉強していきたいと思います。

 

おわりに

最後まとめきれずに申し訳ありません。私としては、指定商品等について考え直すキッカケになったので非常にありがたかったです。

今回(とはいえ1年以上前、、、)の改訂については、これから自社で商標出願をしようと考えるような方にとっては、若干厳しめの方向の改訂かなとも思います。商標権取得を広めていきたい者としては、あまり厳格に適用しないで欲しいなと思います。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました!

 

 

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