IP RIP ~チザイの雑談~

知的財産(Intellectual Property)の「かゆいところに手が届く(Reach the Itchy Place)」お話です。

著作 『涼を誘う著作物』[リッキー]

真夏日になったり、過ごしやすい気温になったり、気温の変化の大きい日々が続きますが、身体が環境変化になれない時期であるので、くれぐれも体調にはお気を付けください。

 

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さて、雨が続き梅雨らしくなってきましたが、梅雨が明けると、また熱い夏がやってきますね。見た目にも涼しい著作物をご紹介します(夏が来たら、涼を楽しむためにまた見て下さい)。

 

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(出展:

https://www.asahi.com/articles/photo/AS20210114001936.html?iref=pc_photo_gallery_prev_arrow

 

電話ボックスに水が満たされていて、電話ボックスの水の中を赤や黒の金魚が泳いでいます。扉を開けると、電話ボックスから金魚が水と共に流れ出てきてしまいそうで、電話ボックスのドアを開けるのを躊躇してしまいますね(現物を見たことがないのですが、本当に水が入っているみたい)。知っている!という方も多いのではないでしょうか。

 

実は、今年の年初に大阪高等裁判所で判決が言い渡された事件の主人公なのです。

 

初めてこの写真を見たときは、斬新だなと思い、創作性があると思ったのですが、電話ボックスを水槽に見立てること、水槽に見立てた電話ボックスに金魚を泳がせることは、創作性がないと判断されています。金魚にはさまざまな種類があり、また金魚の数も幅広く選択可能であることが指摘されていたので、創作性が認められやすい傾向にありそうだと思ったのですが、金魚の数がありふれた範囲を脱していなかったようで、この点には創作性が認められませんでした。

 

それでも、この電話ボックスには創作性があると判断されています。どこにあると思いますか?

 

写真を見ても私は全然気づくことができなかったのですが、よーく見て下さいね。「受話器の穴から気泡が出ている」のです。つまり、水槽内の気泡発生装置の役割をなんと受話器に持たせていたのです。

 

これは斬新だなと思い、ここに創作性が認められています。しかも、電話ボックス内の水は公衆電話よりも高い位置まで水で満たされているため、受話器がフックから外れています。そして、水槽内を浮遊している受話器の穴から気泡が放たれているのです(ここは想像です)。

 

まとめ

 

涼を誘う著作物をご紹介しました。創作性の判断についてこんな風に判断するのかという部分が参考になるかと思います。

 

通常であれば、音声が変換された電気信号が通っているところを、なんと気泡が通っている。いわゆる置き換えですが、著作権においては、創作性を認められる際に寄与しました。また、特許においても、解決しようとする課題が違って、課題解決手段として置き換えが行われていると進歩性が認められやすい傾向にあるよなと思いました(著作権特許権を関連づけようとして、強引だったでしょうか・・・)。

 

なお、文章中、主観で斬新だと思うこと=創作性ありみたな関係があるように書いていますが、そうではないのでご注意ください。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました!!

 

追加情報(2021/8/29追加)

この判決が確定したと報道がありました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210827/k10013227781000.html

 

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リッキー