IP RIP ~チザイの雑談~

知的財産(Intellectual Property)の「かゆいところに手が届く(Reach the Itchy Place)」お話です。

著作権の雑談『図形の著作物の保護対象は広い』[リッキー]

前回は、建築の設計図を

取り上げました。

 

 

discussiong1.hatenablog.com

 

 

図形の著作物に属しますが、

図形の著作物はこれだけでは

ありません。

 

最初は地図ぐらいしか思い

浮かばなかったのですが、

地球儀も、3次元ですが、

図形の著作物です。

 

地球儀

 

とくに2次元という縛りは

ありませんからね。

 

また、機械の設計図も、

図形の著作物に該当するでしょう。

 

ただし、機械の設計図は、

入社した当初に研修で、

手書きの研修を受けました。

 

一定のルールにしたがって、

記載していきますから、当時の

記憶を頼りにすると、創作性を

どこに認めるのか難しいように

思います。

 

つまり、創作性を発揮しにくい

と思われます。

 

一方で、図形の著作物は対象が

広いことから、美術の著作物との

境界線が問題になるようです。

 

前回こんなことを記載していました。

 

その建築物を建てるための設計図

は図形の著作物と言えます。

 

絵画みたいに美術の著作物には

ならないの?

 

そんな疑問もでてきそうです。

 

ものすごく単純化してしまえば、

絵画も建築物の図面も、線で表現

されていると言っても過言では

ないでしょうから。

 

でも、美術の著作物は、著作物性

のハードルが高かったですよね。

 

独立して美的鑑賞の対象になら

なければなりません。建築物の図面

にうっとり・・・とうことも、

 

建築家を目指している学生等の

間ではあるのかもしれませんが、

図面の著作物として先に認められ

やすそうです。

 

 

この例はいい例ではないかも

しれませんが、美術の著作物との

境界線が問題になることを示唆

できているのではないか・・・

と思ったりします。

 

いつも参照している、

著作権法 第3版」 中山信弘著 有斐閣

には下記の記載があります。

 

 図形の著作物の範囲が広いため、一方では美術の著作物との境界が問題となり、また他方では実用品との境界が問題になる。美術の著作物と図形の著作物とでは法的効果が異なるため(45条、46条、47条)、両者を区別する実益があり、また実用品との境界は著作物性の有無に関わる重要な問題である。

 美術との境界については厳格な境界を設けることは難しい。10条は例示であり、ある著作物が図形の著作物でありかつ美術の著作物である場合もあり得る。例えば国土地理院の地図は学術的なものであり、典型的な図形の著作物であって美術の著作物に特有の規定は受けないのに対し、装飾的要素の強い地図は図形の著作物と美術の著作物の双方の性質を有しており、美術の著作物ともなり得る。

 

著作権法 第3版」 中山信弘著 有斐閣 112頁

 

確かに地図は表現方法が

豊富です。

 

中には美術の著作物の性質

を兼ね備えていそうです。

 

ただ、同じ地図を複製しても、

この部分は図形の著作物で、

あの部分は美術の著作物で、

となり、

 

この部分には権利制限規定が

働くが、

あの部分には権利制限規定が

働かないと、

 

細かな分析が必要になりそうです。

 

まとめに代えて本日の痒い所

 

  • 図形の著作物には、建築図面も含まれるが、地図、地球儀等も含まれる

 

  • 図形の著作物は対象が広いことから、美術の著作物との境界線が問題になる

 

  • 地図が美術の著作物に該当する場合、複製した地図の部分ごとに、権利制限規定が働くか働かないか分析が必要となる

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

今週も知財の雑談を楽しみましょう。

今週も著作権の雑談はいかがでしょうか?

 

 

リッキー

 

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