IP RIP ~チザイの雑談~

知的財産(Intellectual Property)の「かゆいところに手が届く(Reach the Itchy Place)」お話です。

著作権の雑談『プログラムの著作物の特殊性(3)』[リッキー]

プログラムの著作物は

後から、著作権法

中に取り込まれたので、

 

ちょっと異端な感じ

があります。

 

異端な感じのプログラムの著作物

 

条文上も、他の著作物とは

異なった規定が設けられて

います。

 

ということで、違いを

見てきました。

 

続きを見てみましょう。

 

第47条の3 プログラムの著作物の複製物の所有者は、自ら当該著作物を電子計算機において実行するために必要と認められる限度において、当該著作物を複製することができる。ただし、当該実行に係る複製物の使用につき、第113条第5項の規定が適用される場合は、この限りでない。

 

立法者は、「所有者」(47条の3)と「複製物を使用する権原を取得した」者(113条2項)とを意図的に使い分けており、47条の3の適用を受けるのは、プログラムの著作物の「複製物の所有者」に限定されている。つまり本条により複製し得る権原を、電子計算機で当該プログラムの複製物を使用する権原から導いているのではなく、複製物という有体物の所有権から導いており、その意味からプログラムの著作物の複製物の賃借人は、使用する権原を有してはいるが、所有者ではないため、47条の3の規定の適用を受けないことになっている。著作権法上、使用権なる権利は存在しないため錯綜した関係になっている。

 

著作権法 第3版」 中山信弘著 有斐閣 462頁

 

 

「所有者」と

「複製物を使用する権原を取得した」者と

で分けてしまうと、

 

所有者は、権利制限規定(47条の3)を

受けれられるけれども、

 

複製物を使用する権原を取得した者は、

権利制限規定(47条の3)を

受けられないということですね。

 

どうして所有者か否かで

切り分けてしまったのか?

 

疑問が残るということ

でしょうか?

 

45条を見てみると、

「美術の著作物若しくは写真の著作物の原作品の所有者」

という文言が登場します。

 

「所有者」とありますね。

 

「原作品の所有者」は

美術の著作物の場合、

一人に限定できそうです。

 

ネガフィルムの時代で

あれば、写真の著作物の

「原作品の所有者」も

一人に限定できそうです。

 

「所有者」を一人に

限定できる場合は、

所有者か否かで

切り分けることに

メリットがあったかも

しれません。

 

ただし、デジタルなもの

の場合、どうなんでしょうか。

 

プログラムの場合、

複製物との差がつかない

かもしれません。

 

NFTを使えば問題解決

なのかもしれませんが。

 

プログラムの著作物は、

美術の著作物、

写真の著作物

と同様に、著作物の仲間

ではあります。

 

しかし、細かな点を

詰めていくと、

相性の良くない部分が

出てきているようです。

 

また、写真の著作物も、

デジタル化されて、

 

原作品=データの状態では、

原作品による展示ができない!

ということもあるかもしれません。

 

データに基づき印刷した場合は、

原作品でなくて、

複製物にあたりそうですが、

 

原作品に複製物まで含まれる

ならば別な気もしますが、

どうなるのでしょうか。

 

ちょっと長くなりましたね。

残りは、また次回に。

 

まとめに代えて本日の痒い所

 

  • プログラムの著作物の複製物の所有者は、一定の要件の下、当該著作物を複製することができる

 

  • 著作権法第47条の3について、主語を、「所有者」にしてしまったことで、問題が生じている

 

  • 著作権法第45条にも「所有者」は登場するが、問題が生じないのは、プログラムの著作物と、美術の著作物・写真の著作物と、の著作物の種類による違いかもしれない

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

今週も著作権の雑談を楽しみましょう!

プログラムの著作物の変わりっぷりについて雑談するのはいかがでしょうか?

 

リッキー

 

 

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