前回まで図形の著作物
を見ていました。
立替マンション設計図事件
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/124/085124_hanrei.pdf
富山市住宅地図事件
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/325/014325_hanrei.pdf
ゼンリン地図事件
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/250/091250_hanrei.pdf
今回は映画の著作物
をみてみましょう。

見返してみると、
いつの間にか
月日は流れ、
だいぶ古い判決に
なってしまった
感があります。
中古ゲームソフト事件(東京高裁)
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/586/012586_hanrei.pdf

映画の著作物は
何かほかの著作物
と比較して、
特別な著作物
という感があります。
その象徴ともいうのが
「頒布権」でしょう。
劇場用映画の作成には、
巨大な資本を必要
とするため、
その投資の回収を
適切に行える
ように、
消尽のない権利が
与えられています。
ただ、頒布権については、
映画の著作物であれば
なんでも有するわけでは
ありません。
これは、最高裁の判断が
でていましたよね。
中古ゲームソフト事件(最高裁)
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/335/052335_hanrei.pdf
頒布権は消尽しない
と思っていたら・・・
消尽するのか!
そんな驚きがありました。
そんな映画の著作物には
どのような要件が
課されているので
しょうか。
法2条3項の文言によれば, 同条項の定める要件は,①映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現されていること(いわゆる表現の要件),②物に固定されていること(いわゆる存在形式の要件),③著作物すなわち「思想又は感情を創作的に表現 したものであって,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するもの」(法2条1項 1号)であること(いわゆる内容の要件),の3要件に分けられる。
③はいつも確認している
著作物の定義です。
それに加えて、
①②が増えている
印象です。
著作権法の2条3項
には、映画の著作物
の定義があります。
https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000048
2条3項の要件が
そのまま①②となって
いますね。
この要件に対して
あてはめがなされて
います。
①本件 各ゲームソフトは,いずれも,「眼の残像現象を利用して動きのある画像として見 せる」という,映画の効果に類似する視覚的効果を生じさせる方法によって,人物・背景等を動画として視覚的に表現し,かつ,この視覚的効果に音声・効果音・背景音楽を同期させて視聴覚的効果を生じさせていること,
②本件各ゲームソフトの影像は,いずれも,ゲームソフトの著作者によって,カメラワーク,視点や場面の切替え,照明演出等が行われある状況において次にどのような影像を画面に表示させて一つの場面を構成するか等,細部にわたるまで視覚的又は視聴覚的効果が 創作・演出されていること,
③本件各ゲームソフトは,いずれも,著作者により創作された一つの作品として,CD-ROMという媒体にデータとして再現可能な形で記憶されており,プログラムに基づいて抽出された影像についてのデータが,ディスプレイ上の指定された位置に順次表示されることによって,全体として連続した影像となって表現されるものであることが認められる。
ちょっと順番が
前後している
感じではありますが、
①では映画の効果に
類似する視覚的効果を
生じさせることが、
③では、物に固定
されていることが
②では、カメラワーク、
視点や場面の切替え、
照明演出等が行われ、
思想又は感情を
創作的に表現した
ものであって、
文芸、学術、美術又は音楽
の範囲に属するもの
であることが、
わかります。
ゲームソフトも
映画の著作物に
含まれることに
なりました。
当時は画期的でしたが、
現代では定着して
いますね。
まとめに代えて本日の痒い所
- 映画の著作物には、ゲームソフトも含まれる
- 映画の著作物は、いつもの著作物性の他、表現の要件、存在形式の要件が加わっている
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今週も知財の雑談を楽しみましょう。
最近見た映画はなんでしょうか?

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