IP RIP ~チザイの雑談~

知的財産(Intellectual Property)の「かゆいところに手が届く(Reach the Itchy Place)」お話です。

著作権の雑談『映画の著作物』[リッキー]

次は映画の著作物に進みましょう。

 

映画の著作物は定義がないそうです。

 

映画鑑賞

 

著作権法は映画の定義を設けていないため、著作権法全体の趣旨あるいは立法の経緯、法常識から判断せざるを得ない。映画については劇場用映画を念頭に規定されており、従来は、映画とは写真を連続的にスクリーンに投影し、目の残像現象を利用して動きのある映像として見せるものと考えられていたが、現在では写真の手法によらず、コンピュータ・グラフィックスを用いたものが多い。また、必ずしも物語性は要求されるものではなく、記録的なもの、遊技的なもの、実用的なものであってもよい。

 

著作権法 第3版」 中山信弘著 有斐閣 115~116頁

 

映画と言うと、

劇場用映画がすぐに頭に

浮かびます。

 

製作費が膨大ですから、

まっさきに保護が必要と

理解しています。

 

なので、著作権法第10条にも

映画の著作物が列記されているの

かなと。

 

最近では、映画の著作物を

意識していたわけではないのですが、

こんなことがありました。

 

ブログではないですが記事を投稿

しようと原案を考えていて、

 

創作性のない表現を、創作性あり

にするにはどうしたらいいか?

のようなことを考えていました。

 

いくつか手法はあると思いますが、

一つは動画にしてしまえば、

選択の幅も広がりますから、

著作物性が認められやすくなる

のでは?

 

ということを書こうとしていました。

 

そうしたら、動画ならば、

映画の著作物になりますね。

 

映画の著作物であるならば、

上映権や頒布権が認められ、

他の著作物とはちょっと毛色が

異なってきます。

 

上映権は、平成11年法改正前は、

映画だけに認められていたようです。

 

平成11年法改正後は、

著作物一般に認められるように

なったから、

 

映画の著作物かどうか判断する

意味合いはだいぶ薄れつつ

あります。

 

ただ、頒布権だけは、どの著作物

にも認められるわけではないから、

映画の著作物に該当するか否かを

判断することは一定の価値がある

と思います。

 

平成11年頃まで話がもどったなら、

この話も外せません。

 

今となっては常識となってしまい

ましたが、当時は、画期的な判決

としてみなさんみていたのでは?

と思います。

 

ロールプレイングゲームソフトが

映画の著作物に該当するか?

 

ということに対して、平成14年の

最高裁判決で映画類似の著作物である

ことが確定しました。

 

映画の著作物は、頒布権があり、

ゲームソフトが一回売買されても、

その後自由にゲームソフトを売買が

出来ないとも考えられていました。

 

最高裁は、頒布権はあるが消尽する

という考え方を取っており、

 

中古品として、売買しても、

著作権の効力が及ばないとされています。

 

まとめに代えて本日の痒い所

 

  • 映画の著作物は、写真の手法によらず、コンピュータ・グラフィックスを用いたものが多い

 

  • 上映権は、平成11年法改正前は、映画の著作物だけに認められていたが、現在は著作物一般に認められている

 

  • ゲームソフトは、映画の著作物に含まれるが、頒布権は消尽する

 

今週も知財の雑談を楽しみましょう。

今週も著作権の雑談なんていかがでしょうか?!

 

リッキー

 

 

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