IP RIP ~チザイの雑談~

知的財産(Intellectual Property)の「かゆいところに手が届く(Reach the Itchy Place)」お話です。

著作『オンライン授業の今後』[リッキー]

※「平成30年法改正の概要」を追加しました。また、修正を行っています。

 

新年度が始まりました。身の回りで大きな変化があった方も多いかと思います。著作権も、新年度になり、大きな変化がありました。何だと思いますか?

 

学校の授業の過程における資料のインターネット送信です(タイトルに記載していました・・・)。

 

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オンライン授業

何か変わったっけ?と思われるかもしれませんが、昨年度から、簡単に振り返りたいと思います。

 

昨年度からコロナウイルス感染拡大のため、学校が一時休校になったものの、オンライン授業が多くなりました。それは、「授業目的公衆送信補償金制度」について当初の予定を早めて令和2年4月28日から施行されたからです。そして、令和2年度に限り、補償金金額を特例的に無償とすることとされていました。

 

その補償金が、無償から有償に変更になります。これは大きな変化ではないでしょうか!?

 

0.平成30年法改正の概要

 

ICTを活用した教育を推進するために法改正が行われました。補償金を支払うことにより、著作物を無許諾利用できる範囲が拡大しました(https://sartras.or.jp/wp-content/uploads/seidogaiyo_bunkacho_202012.pdf)。

 

平成30年法改正前は著作権法第35条により、以下のことが無償・無許諾で可能でした。

●対面授業で使用する資料を複製(印刷)・配布すること

●対面授業で使用した資料や講義映像を遠隔合同授業等(同時中継)で他の会場に送信すること

 

しかし、平成30年法改正前は著作権法第35条により、例えば、以下のことについて権利者毎に許諾が必要でした。

●対面授業の予習・復習用の資料をメールで送信

●対面授業で使用する資料を外部サーバ経由で送信

●オンデマンド授業で講義映像や資料を送信

●スタジオ型のリアルタイム配信授業

 

平成30年法改正により、これらのことも無許諾・有償で可能になりました。

 

 

1.補償金額

 

さて、補償金はいくらぐらいなのでしょうか?文化庁の資料によれば、

 

  • 大学・・・720円/年
  • 高校・・・420円/年
  • 中学・・・180円/年
  • 小学・・・120円/年
  • 幼稚園・・・60円/年

 

高いと思われますか?それとも安いと思われますか?

 

5万人の学生がいる大学は、720円×5万人=3600万円を、指定管理団体SATRAS(サートラス、https://sartras.or.jp/)に支払うことになります。その後は、分配業務受託団体が権利者に分配を行います。高いな~というようなニュースを見聞きした覚えがあります。

 

2.オンライン授業の問題点

 

補償金の額が高いかのどうかの問題については、文化庁で認可されたものですから脇に置いておいて、コスト以外のオンライン授業の問題点について検討してみたいと思います。

 

Q1.オンライン授業の録画を後日、生徒等に視聴させることはできるか?

 

上記の補償金を支払うことが可能になります(著作権法第35条第2項)。

 

 

Q2.オンライン授業で事前の配布資料を画面に投影することはできるか?

 

上記の補償金を支払うことが可能になります(著作権法第35条第2項)。

 

著作権なるほど質問箱(https://pf.bunka.go.jp/chosaku/chosakuken/naruhodo/answer.asp?Q_ID=0000441

)の以下の記載は、これからも影響があるでしょう。

 

ただし、この特例はその著作物の種類や用途、送信の形態などから判断して、著作権者の利益を不当に害しない場合に限られていますので、市販のドリルなど生徒一人一人が購入することを前提に販売されている教材などを送信することはできません。

 

 

 

とありますので、市販のドリルを先生だけが購入して、画面に映してドリルの問題をその授業内で生徒等に解かせるのは問題となるでしょう。

 

 

3.まとめ

 

オンライン授業において著作物を利用するために、無許諾・有償の制度が作られ、令和3年度からは補償金の無償も終了します。補償金は、授業料の一部として最終的には生徒等に転嫁されることになると思いますが、その支払いの問題を解決するためのファイナンシャルプランもセットで提供されるとよいなと思いました(最近、私は、ファイナンシャルプランニングの勉強に熱心です)。また、この補償金制度は、現在の生徒等の中でも将来クリエータになる人には恩恵がある話であるから、良い話に思えます。

 

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リッキー