IP RIP ~チザイの雑談~

知的財産(Intellectual Property)の「かゆいところに手が届く(Reach the Itchy Place)」お話です。

弁理士「発明者さんと打ち合わせする前の事前準備」[らるご~]

今年は妙に早い梅雨入り、変な世の中ですね。こんにちは、事務所勤務の弁理士らるご~です。特許の仕事を始めてから結構な年月が経ちましたが、未だにこの仕事の難しさにいつもハラハラさせられております。そんな中でも特にハラハラするのが、発明者さんとの打ち合わせです。発明者さんの発明に対する意向や思いを尊重しつつ、その発明を特許という形に落とし込むというのは、毎度毎度ホントに大変です。そこで、今回は、「発明者さんと打ち合わせする前の事前準備」(私らるご~の場合)についてお話ししたいと思います。

 

1.資料の読み込み

まず初めに、新規の特許出願の依頼があると、多くの場合、その出願したい発明の内容を説明した資料が送られてきます。そして、打ち合わせ当日までに、その資料の内容を穴が開くほど読み込みます。そのように読み込んで内容が理解できれば良いのですが、理解できなかった場合は、インターネットで検索したり、その分野の専門書にあたったりもします。インターネット検索では、専門用語の検索や、Jplatpatでその発明者が以前に関わっていた公報を探したりもします。

勉強をしている人のイラスト(男性) 

2.質問事項をまとめる

資料の読み込みが終わった後、その資料に対する質問事項をまとめます。自分の場合は質問をリスト化しておいて、打ち合わせ時に適宜タイミングを見計らって発明者に質問します。ここで質問するにあたり、いつも気を付けている点は、「この質問は自分で調べれば分かるレベルのものか、発明者さんに聞かないと答えが得られないレベルのものか」ということです。自分で調べれば分かるレベルの質問をした場合、場合によっては、発明者さんに「この弁理士さん大丈夫か?」と思われることがあるため、 質問すべき事項であるか否かの判断には、常に細心の注意を払っています。

 

3.その発明をどのような特許に落とし込むかの想定

質問事項のリスト化と並行して行うのが、その発明をどのような特許に落とし込むかの想定です。どのような特許に落とし込むかというのは、どのような権利範囲を狙いにいくかと同義です。特許として取得すべき権利範囲の概形は発明者さんとの打ち合わせ時に確定するのですが、事前にその概形を想定しておくと、打ち合わせ時の展開がスムーズになると考えています。もう少し具体的に言うと、「今回の発明は、このような権利範囲を狙いにいく特許として捉えていますが、それで合っていますか?」という質問ができると、その質問をたたき台にして、議論がまとまりやすくなると考えています。

 監督官のイラスト(男性)

4.発明者さんの性格の事前把握

上述した1-3と比べて緩い感じですが、この点も非常に重要であると考えております。今度打ち合わせを行う発明者さんが、以前に自分の同僚と打ち合わせを行ったことがある場合、その同僚に発明者さんの性格がどのようであったかを聞いておきます。そのようにして事前に発明者さんの性格を把握しておくと、当日自分がどのようにふるまうべきか予め心の準備をしておくことができます。相手の人柄を事前に把握できているのと、そうでないのとでは、当日のハラハラ度合いが大きく異なります。このように事前に相手がどんな方であるかを把握できている打ち合わせは、そんなに多くないので、だいたいの打ち合わせは毎度ハラハラしております。

 

5.まとめ

 以上、私が「発明者さんと打ち合わせする前の事前準備」でした。事務所勤務の弁理士さんなら当たり前の話であったかもしれませんね。この記事をここまで読んだくださった方の中に発明者の方がいらっしゃいましたら、次回弁理士と打ち合わせをする際、お手柔らかにお願い致します。