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知的財産(Intellectual Property)の「かゆいところに手が届く(Reach the Itchy Place)」お話です。

弁理士「付記試験(特定侵害訴訟代理業務試験)体験記 その2」【MI】

こんにちは。MIです。

先週の付記試験体験記が意外と好評で「内容的なところも是非!」というお声をいただきました。ありがとうございます!

というわけで、今回は引き続き付記試験体験記を書いてみたいと思います。試験勉強用に作ったリストも紹介させていただきます。ご参考になればうれしいです。

 

 

付記試験の基本構成

付記試験は、午前(9:30~12:30)の事例問題1と、午後(14:00~17:00)の事例問題2の2部構成です。事例問題1が特許系の問題、事例問題2が商標・意匠・不競法系の問題です。事例問題2は商標系が多いですが、それに不競法(商品等表示(2条1項1号))が絡んできたり、たまに意匠が出て(H23年度等)、それに不競法(同上&形態模倣(2条1項3号))が絡んできたりする感じです。それぞれに、問1(起案;訴訟書類の作成)と問2(小問;民法・民訴法の問題)が出題されます。

 

起案(問1)について

起案は、「原告側(訴状等)」のパターンと「被告側(答弁書等)」のパターンがあります。受験生の負荷を高くし過ぎず、原告・被告双方からの視点を試験するための工夫と思いますが、事例問題1が「原告側(訴状等)」なら事例問題2は「被告側(答弁書等)」で、毎年交互に出題されるのが通例のようです。

今回(R3年度)は、事例問題1が「被告側(答弁書等)」で、事例問題2が「原告側(訴状等)」でした。

 

起案(問1)の勉強法

私は「規範」を覚えることに注力しました。規範が立てられれば、「当てはめ」はまあ何とかなる(無理矢理書ける)と思ったためです。以下に覚えた規範と過去問との対応リストを載せますので参考になればと思います。

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私は、耳で聞く勉強が合っているので、読み上げソフトを使って、規範のテキストデータを音声データに変換して聞くこともしました。

 

知らないと「当てはめ」ができない(難しい)問題も?!

とはいえ、知っていないと回答が難しいものもあります。過去問の中で、私としては、以下のパターンが印象に残っています。

  • 原告商標の周知性を、被告商標の要部抽出の根拠とする(周知だから強く支配的)
  • 被告が通常使用権に係る商標と非同一の商標を使用している場合に、当該通常使用権の抗弁に反論(通常使用権の抗弁は専用権の範囲のみ)

特許では、「出願経過の参酌」や「公知・公用」あたり、意外と出てこないことがあるので、自分なりの文章を作っておくといいと思います。

小問(問2)について

小問は、民法と民訴法の問題が各1題ずつ出題される感じです。近年は、割と両者の区別がハッキリしている印象があります。また、年度によって難易度が全然違う!というのを感じました。

 

民法・民訴の勉強法

私は起案よりもこちらに時間を費やしました。ベタですが、弁理士会の有料研修(eラーニング)([集]令和元年度 民法に関する基礎研修(東京)第1~7回、[集]令和元年度 民事訴訟法に関する基礎研修(東京)第1~7回)を受講したのと、当該研修のテキスト(「弁理士知財担当者のための民法」と「弁理士知財担当者のための民事訴訟法」;ともに村西大作先生著)を読むのと、過去問で勉強しました。他の入門書も読もうかと思いましたが、付記試験のためには上記のもので十分と思います。ある段階から、自分で問題の事例を拡張して考えられるようになり、面白くなりました。

 

eラーニングの受講方法

私は、全部で4~5回(4~5周)くらい聞きました。とは言っても、スマホでも聞けるし、2回目以降は倍速再生できるので、それで2周ほどは通勤やランニング中に聞いていただけです。ある程度勉強が進んだ段階で、4回目にまたしっかり聞きました。そのときに作ったのが、以下のリストです(ちょっと長いので、民法・民訴法ともに第6回の講義分のみ紹介します)。以降は、これを使って、苦手・間違えた部分を何回か聞きました。

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おまけ1(対策講座について)

受験生(能担受講生)が減っている関係で、対策講座の開講も減っているようです。私としては、お金で解決できるなら、、、とのことで、日弁(日本弁理士クラブ)主催の講座(有料;25,000円)と、村西先生の直前まとめ講座(有料;15,000円)は受講しました。効果はもちろんあったと思いますが、40,000円の出費はなかなか痛かったです。

おまけ2(ボールペン談義)

3時間の記述式試験なので、相棒になるボールペンは、気分転換も兼ねて結構試しました。

  • エナージェルインフリー(0.5mm)
  • ジェットストリーム(0.7mm、1.0mm)
  • ユニボールシグノ(0.7mm)
  • アクロボール(1.0mm)
  • bren(0.7mm)

私は、割とインクがジワっと出て太めの線が好きなので、最終的には、エナージェルインフリー(0.5mm)を使いました。皆さんもいろいろ試してみてください。

 

おわりに(勉強を振り返って)

なんだかんだ正直勉強は大変ではありました。上記の対策講座に加えて、私は勉強仲間にも恵まれて自主ゼミをしっかりできたので、それは良かったです。まだ自分の結果は出ていませんが、試験的には1年で受かるべき試験だと思います。その一方、内容としては、弁理士として今後も継続して勉強していかないといけないものとも思います。

先回も言いましたが、興味のある方は是非チャレンジしてみて欲しいなと思います。

本日も、最後までお読みいただきありがとうございました!