IP RIP ~チザイの雑談~

知的財産(Intellectual Property)の「かゆいところに手が届く(Reach the Itchy Place)」お話です。

著作権の雑談『AIと著作権に関する考え方のパブリックコメント』[リッキー]

 

パブリックコメントの結果が発表されています。

 

文化審議会著作権分科会法制度小委員会(第7回) | 文化庁 (bunka.go.jp)

 

同じ提出者であっても、

論点ごとに仕分けされているので、

数が多く見えますが、

 

390を超える意見となっています。

 

意見を出そう!

 

注目度の高さがうかがえますね。

 

どの意見も興味深いのですが、

これだけの量を理解するのは、

骨が折れます。

 

いつも偏見が入っているのは

否めないのですが、

 

意見の全体を俯瞰してみたいと思います。

 

利用者側の意見

 

法整備については、

現状、満足しているように見えます。

 

(著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用)

第三十条の四 著作物は、次に掲げる場合その他の当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合には、その必要と認められる限度において、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

著作権法 | e-Gov法令検索

 

権利者側は、「利益を不当に害する」

の範囲を広げたいと思われますところ、

 

利用者側としては、「利益を不当に害する」

の範囲を狭くしておきたい、

という意見が見られます。

 

パブリックコメントでは、

AIの学習用に、

情報解析に活用できる形で整理したデータベースの著作物

を複製する行為は、

「利益を不当に害する」

であると事務局がコメントしています。

 

「大量の情報を容易に情報解析に活用できる形で整理したデータベースの著作物が販売されている場合に、当該データベースを情報解析目的で複製等する行為」は、従来から法第30条の4ただし書の該当例として例示しているものです。

 

私も機械学習がどんなものか、

振れてみたいなということで、

社内の講習を受けたことがあります。

 

講習ではすでにあるプログラムを

順次動かしていくだけなのですが、

 

AIの学習用データをつくる苦労を

聞かせてもらいました。

 

著作権法の条文のどこにもありませんが、

やはり汗水流して創作した創作物は

保護されて然るべきだなと感じました。

 

これが反映されているのだなと、

理解しています。

 

また、AI生成物が著作権を侵害した

場合に、学習データセットの除去が

将来の侵害予防措置として考えられて

いるのですが、

 

利用者側、特に、AI事業者にとっては

学習データセットの除去をさせられたく

ないとの思いも垣間見えます。

 

また、AI事業者としてはAI利用者が

著作権侵害をしたときに、負担を負いたく

ないはずです。

 

イノベーションの停滞を理由に、

負担が軽減する方へなんか

持っていきたい。

 

そう見えますね。

 

著作権者側の意見

 

新たな法整備を求める声も

依然として強そうです。

 

自身の著作物を、学習に使用されて

いるのに、対価が貰えないからですね。

対価を求める声があるのは、

もっともだと思います。

 

30条の4の「利益を不当に害する」

の類型を増やそうとしているとも

見えます。

 

(電子計算機による情報処理及びその結果の提供に付随する軽微利用等)

第四十七条の五 電子計算機を用いた情報処理により新たな知見又は情報を創出することによつて著作物の利用の促進に資する次の各号に掲げる行為を行う者(当該行為の一部を行う者を含み、当該行為を政令で定める基準に従つて行う者に限る。)は、公衆への提供等(公衆への提供又は提示をいい、送信可能化を含む。以下同じ。)が行われた著作物(以下この条及び次条第二項第二号において「公衆提供等著作物」という。)(公表された著作物又は送信可能化された著作物に限る。)について、当該各号に掲げる行為の目的上必要と認められる限度において、当該行為に付随して、いずれの方法によるかを問わず、利用(当該公衆提供等著作物のうちその利用に供される部分の占める割合、その利用に供される部分の量、その利用に供される際の表示の精度その他の要素に照らし軽微なものに限る。以下この条において「軽微利用」という。)を行うことができる。ただし、当該公衆提供等著作物に係る公衆への提供等が著作権を侵害するものであること(国外で行われた公衆への提供等にあつては、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものであること)を知りながら当該軽微利用を行う場合その他当該公衆提供等著作物の種類及び用途並びに当該軽微利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

著作権法 | e-Gov法令検索

 

と軽微な利用については、

権利制限がなされていますが、

看過できない状況のようです。

 

事務局のコメントには、

 

「軽微」であるか否かは、利用に供される部分の占める割合、その利用に供される部分の量、その利用に供される際の表示の精度などの外形的な要素に照らして最終的には司法の場で具体的に判断されることとなります。

 

 

とあります。

 

生成・利用段階においては、

既存の著作物の著作権侵害が生じた場合、

AI 開発事業者又はAIサービス提供事業者も、

侵害者に含まれることを歓迎しています。

 

利用者だけを侵害者とするのは妥当

でないと思います。

AI 開発事業者又はAIサービス提供事業者も

一定の責任があるというべきでしょう。

 

 

著作権法の目的は、1条にあります。

 

(目的)

この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。

 

著作権法 | e-Gov法令検索

 

どうバランスを取ると、

文化の発展に寄与するのか、

意見が多数出ているというところでしょう。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

今週も知財の雑談を楽しみましょう。

今週は、パブリックコメントを話題に、知財の雑談を楽しむのはいかがでしょうか。

 

リッキー

 

 

 

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