IP RIP ~チザイの雑談~

知的財産(Intellectual Property)の「かゆいところに手が届く(Reach the Itchy Place)」お話です。

著作権「あなたの書いた文章も著作物!?」[YO]

著作物って、本や音楽、映画など身近にありますけれども、あなたの書いた文章も著作物ですよって言われたことありませんか?

 

でも、本当のところどうなのか。マニアックに検証してみたいと思います。

 

 

まず、調べるならウィキペディアですよね!?全然マニアックではない!?

 

ウィキペディアには、「特徴的に表現された創作物、例えば、工芸品、文学、音楽、絵画」、「著作権の対象となる知的財産である」とあります。まぁ、わかったような、わかってないような。

 

ちょうど、『著作権』というキーワードが出てきたので、著作権法も見てみましょう!うわっ!って思うかもしれないけれど、少しだけですから。著作権法第2条第1項第1号には、

 

①思想又は感情を

②創作的に

③表現したものであって、

④文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの

 

と定義されています。表現は小難しいけれども、各々の漢字は難しくないですね。

 

読んでみたら、・・・ん!?自分で書いた文章も著作物になりそうですね。正解は、著作物になる!一件落着!・・・って気もしますけれど、実は、「創作的に」という創作性の部分が結構な曲者なのです。

 

マニアックに検証してみたいといったのは、創作性についてどのような判断されているのか判決文を見てみましょうってことなのです。筆者が「面白い!」「そうだったのか!」って思った部分だけにしますから。

 

 

まずは、「平成23年(ネ)第10006号 損害賠償等請求控訴事件」を見てみましょう。

 

データ復旧サービスに関するウェブページのコンテンツ又は広告用文章が問題になっています。どんな文章が問題となったのでしょうか?全8つのうち1つだけ見てみたいと思います。

 

“控訴人文章1「データ復旧って何?」”

“被控訴人文章1「データ復旧サービスとは?」”

 

“控訴人及び被控訴人が業として行っているデータ復旧サービスの内容を説明する文章の見出しとして、データ復旧サービスはどのようなものなのかを問う疑問文である点で共通している。”

 

裁判所は、全体を眺めて、共通点を認定しています。確かに、疑う余地がありませんね。

 

“しかしながら、被控訴人文章1は、文章自体がごく短いものであり、また、Q&A方式の文章において、「データ復旧」というサービスを示す単語に「何?」という疑問を表すごくありふれた言葉を使ってデータ復旧サービスとはどのようなものなのかを問う疑問文で表現したものであって、平凡でかつありふれたものというほかなく、創作的な表現とはいえない。”

 

「データ復旧って何?」=『データ復旧』+『何?』と分解して、それぞれの単語を吟味していますね。また、どんな場面で使われる文章なのかも考慮されています。Q&A方式の文章で『何?』ってよく使われてそうですよね。そうすると、 “創作的な表現とはいえない”との判断に、なるほど!となります。

 

 

面白いと思ったポイント

☞文章が使われている場面を考慮して、ありふれた表現かどうか判断している

 

この事件を見ていると、自分で書いた文章が100%著作物に該当するとは言えなそうですね。