特許と聞くと、“複雑な構造の機械”や“画期的な医薬品”などの発明を保護するものと思われがちです。そこで、今回は、「え、こんなものでも特許になっているんだ!」という事例について紹介します。
それは、「いきなりステーキ」の「ステーキの提供システム」です。
そうそう、あの「いきなりステーキ」の特許です。
実際に特許として認められている権利の内容は以下の通りです。
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・お客様を立食形式のテーブルに案内するステップと、
・お客様からステーキの量を伺うステップと、
・伺ったステーキの量を肉のブロックからカットするステップと、
・カットした肉を焼くステップと、
・焼いた肉をお客様のテーブルまで運ぶステップとを含む
ステーキの提供方法を実施するステーキの提供システムであって、
・上記お客様を案内したテーブル番号が記載された札と、
・上記お客様の要望に応じてカットした肉を計量する計算機と、
・上記お客様の要望に応じてカットした肉を他のお客様のものと区別する印しとを備え、
・上記計量機が計量した肉の量と上記札に記載されたテーブル番号を記載したシールを出力することと、
・上記印しが上記計量機が出力した肉の量とテーブル番号が記載されたシールであることを特徴とする、ステーキの提供システム。
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読み慣れていない人からすると、カタい言葉で書かれているように感じるかもしれませんが、上記した特許は、要は「いきなりステーキ」で注文を行う際の一連のオーダーシステムについての特許なのです。
特許によって保護される「発明」とは、特許法の第 2 条第 1 項において、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」と定義されていますが、「いきなりステーキ」のオーダーシステムについても、この「発明」に該当するとして、特許が取得されています。
このように、特許と言っても、権利として保護される発明には色々なバリエーションがあります(例えばアイスクリームの製造方法とかも)。
なお、この「いきなりステーキ」の特許が存在するにも関わらず、今や世間には「いきなりステーキ」と似たような業態(名称)のお店がたくさん存在しています。おそらくこのようなお店では、「いきなりステーキ」の特許で特定されるオーダーシステムとは少しだけ異なるシステムを採用することによって、「いきなりステーキ」を運営するペッパーフードサービスから訴えられることをなんとか回避しているものと考えられます。
マネされるということはそれだけ優れた発明であることの裏返しではあるのですが、露骨にマネしているもの(もしくはマネしていることを微塵も隠す気がないもの)を見ると、「生きていく」ってことは大変なんだなぁと感じずにはいられません。最後、話が逸れてしまいましたかね。ではでは。